犬の避妊と去勢によって防げる病気

避妊・去勢をすれば、さまざまな病気を予防できるという点が一番のメリットです。
どんな病気が予防できるのか、具体的に見ていきましょう。

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目次

1.避妊によって予防できる病気(メス)

◆乳腺腫瘍

避妊しておくと乳腺に腫瘍ができにくくなります。発情を3回経験するまでに避妊をすると95%以上の確率で腫瘍は発生しません。
3回以上発情した犬に関して、避妊の意味がないかというと、そうではありません。発情を繰り返すほど乳腺腫瘍の発生率は上がりますので、早めにやっておくに越した事はありません。昔は乳癌ができてから避妊しても意味が無いと考えられていましたが、乳癌切除時に同時に避妊した犬の方が明らかに延命率が高いことがわかりました。高齢でも避妊はやっておいた方がいいです。

◆子宮蓄膿症

5歳くらいからとても増加するのが子宮蓄膿症です。放置すると死亡する疾患ですから手術で治療することになりますが、発見が遅れると治療費も高額になります(避妊手術の3〜6倍)。避妊手術をしていれば完全に予防できます。避妊をしていないメス犬のすべてがかかるわけではありませんが、とても多く見られる病気です。

2.去勢によって予防できる病気(オス)

◆精巣腫瘍

胎児の時には、精巣は腎臓の少し下あたりにあります。これが靭帯にひっぱられて股の付け根の穴をくぐり陰嚢まで落ちてきます。涼しい方が精子の形成に都合がいいために外にぶら下げておくのです。しかし、精巣が陰嚢まで引っ張られる途中で止まってしまう場合があります(停留睾丸や片睾丸、陰睾などと呼ばれます)。多くは、ふたつある精巣のどちらか一方ですが、両方とも止まってしまう場合もあります。外から見ると精巣が無いように見えますが、体内のどこかに隠れて存在します。

精巣が体内に隠れていると、温度の高い状態に置かれるため腫瘍化しやすくなります。腫瘍化する確率は、正常な犬と比較して13〜14倍と言われています。ほとんど腫瘍になるものだと思って結構です。さらに、腹部に隠された腫瘍は発見が遅れて手遅れになる場合が多いです。4歳くらいから腫瘍の発生率が上がりますので4〜5歳までに停留睾丸の犬はさっさと去勢をしてしまったほうがいいでしょう。去勢してしまえば通常の去勢した犬と全く同じです。

◆会陰ヘルニア/前立腺肥大/肛門周囲腺腫

これらは男性ホルモンが悪影響を及ぼして発症する病気です。
未去勢犬の、病気の代表としてあげられるのが会陰ヘルニアです。尾の付け根にある左右の筋肉が薄くなってしまい、穴が開く場合があります。この部位から直腸や膀胱が出てくるので便秘や排尿障害を起こします。手術で穴を塞ぎますが、再発率が高く費用も高額です。

前立腺肥大も高齢の未去勢犬では頻繁に見られます。血尿から始まりますがあまり大きくなると直腸を圧迫して排便ができなくなる場合もあります。

3.避妊・去勢後は肥満に注意!

避妊・去勢のデメリットは太りやすくなるという点です。避妊・去勢をするとホルモンの変化により空腹感が増しますので、欲しがるままに食べさせると太ります。この仕組みを利用して、家畜の牛や豚(オス)は太らせるために去勢されるほどです。手術前から太っている犬の場合はなおさら注意が必要です。

手術をしたことによって体力が無くなるとか、病気に対する抵抗が弱くなるなどと心配する飼い主さんもいますが、その心配は全くありません。
数千分の一くらいの確率でホルモン性の脱毛があるとの報告はあります。が、ほとんど見られません。
一番の短所としては、手術時に全身麻酔の危険をはらむということでしょう。

4.去勢で性格は変わるの?

「うちの犬は吠えてうるさいので去勢したい」「散歩の時、犬が思い切り引っ張って大変なので去勢したい」と言う飼い主さんもいますが、去勢手術は性格や体力にはなんら関与しません。去勢したら大人しくなるとは期待しないほうがいいです。
ただし、ものすごく凶暴な犬の場合は去勢で攻撃性が半減する場合もあります。

最後に…
このように、避妊・去勢はメリットが多くあります。避妊・去勢をした犬の方が病気は少なくなりますので、結果として平均寿命が2年ほど長くなります。もし、手術がまだであれば5歳までにというのが避妊去勢を考える節目だと思います。5歳を迎えたらホルモン性の高齢疾患がいろいろ出てくる時期なので、それらの回避のために避妊・去勢はとても有効な予防手段です。

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