関西地方で特に好まれる「葉ネギ」はカロテンやビタミンCを多く含み、緑黄色野菜に分類される健康野菜です。旺盛に分けつする「九条太葱」や「浅黄系九条葱」がオススメの品種です。小ネギとして利用するなら、夏の暑さに強い「小夏」や秋から春どりの「小春」がよいでしょう。今回は中サイズの「中ネギ」の育て方を中心に葉ネギの栽培法をご紹介します。
種まき 6月(定植8月)
プランターに条まきし、発芽したら株間2〜3cmほどに間引きます。
本葉が4〜5枚まで育ったら、株間13cmに定植します。
【ポイント】
3〜5月にタネまきして(3月中はビニールトンネルで保温)夏までは小ネギとして利用し、夏に間引いて中ネギ用の苗にすることもできます。
葉ネギのコツ1 種まき
プランターは<レリーフプランター650>程度の大きさがあれば、十分育ちます。大株を育てたいときは大きなプランターを使うか、株間を広くして栽培してください。 土は標準のもので大丈夫です。古い土を使う場合は適切な酸度にするため、苦土石灰を加えます。加える量は<レリーフプランター650>で20gほどです。土全体によく混ぜてください。
<プランターサイズと植え方>
■レリーフプランター550
(幅約55.4×奥行約24.1×高さ約18cm)
植え方:1条
■レリーフプランター650
(幅約65.3×奥行約24.5×高さ約18.5cm)
植え方:1条
全6サイズ 全2色 水はけをよくするスノコ付 テラコッタ調の模様入りプランターです。
全6サイズ 全2色 水はけをよくするスノコ付 テラコッタ調の模様入りプランターです。
団粒構造で保水・通気・排水性に優れたゴールデン粒状培養土の野菜用です。
追肥 7月〜11月、3月
緩効性肥料を20日おきに条溝施肥します。また、週2回液肥を与え育成を促進します。
葉ネギのコツ2 肥料と水やり
摘み取りながら収穫している株を長持ちさせるために、肥料を常に効かせ、水を欠かさないようよう心がけましょう。 病気はあまり出ませんが、薄黒いカビが生える「べと病」や斑点状に黒いカビが生える「黒斑病」が出たときは、早めに病気の葉を切り取って、捨ててください。
収穫 10月下旬〜4月上旬
定植後、60〜70日後から収穫できます。 生長点から2枚の葉を残し下葉から摘み取り収穫する方法と、地際から刈り取って収穫する方法があります。
【ポイント】
3〜5月にタネまきして中ネギサイズまで育てた株を根ごと掘り上げて「干しネギ苗」とし、さらに大株に育てることも可能です。
葉ネギのコツ3 冬の管理
寒さには強いものの、冬は生育が鈍くなります。真冬も柔らかい葉を収穫したい場合は、11月下旬以降ビニールトンネルをかけて生長を促進するとよいでしょう。
トンネル内が蒸れるようなら、片側の裾を2〜3cm上げて換気してください。
葉ネギのコツ4 干しネギ栽培
「干しネギ苗」とは、根から掘り上げたネギをカラカラになるまで干したものです。 干すことで発根がよくなり、大株に育つという利点があります。
苗は園芸店などで購入するか、春にタネまきして中ネギにまで育った株や前年から栽培している古株を使いましょう。 中ネギや古株を使う場合は、6月下旬から7月上旬に掘り上げ、束ねて軒下など日陰に吊るし、約1ヶ月間干しておきます。
干しネギ苗は植える直前に左の図のように切り整えます。
8月上旬から9月上旬に株間6cmで1株ずつ植えます。
本葉が5〜6枚、草丈60cmほどに生長したら、地際から刈り取り収穫します。
九条ネギは再生力が旺盛な野菜です。地際から切り取っても、左の写真のように、すぐに新しい葉が伸びてきます。
タネまきの翌春にはトウが立ってきます。ネギボウズを摘み取って株の負担を少なくし、株の充実を図ってください。
※上岡先生の「プランター菜園のコツ」に掲載されている写真等は、上岡先生が自宅屋上で育てた野菜を撮影したものです。
※栽培スケジュールは、兵庫県明石市が基準となっていますので、皆さんのお住まいの地域に合わせて栽培時期を調整してください。
上岡先生プロフィール

上岡 誉富(うえおか たかよし)
園芸研究家。愛媛県出身、現在は兵庫県在住。農林水産省園芸試験場勤務を経て、兵庫県農業試験場淡路・宝塚分場長で退職。その後、園芸相談などを勤めながら園芸研究家として活躍。(株)タキイ種苗「園芸新知識 野菜号増刊 野菜ガイド」で執筆中。自宅でも野菜づくりを実践しており、屋上でプランター菜園を始めて15年以上。
著書
『かんたん!プランター菜園のコツのコツ〜上岡流 写真図解でわかる逸品づくり(農文協)〜』
プランターでの野菜栽培の基礎の基礎から48種の野菜の作り方までが、分かりやすく豊富な写真と図で解説。上岡先生のプランター野菜づくりのコツをもっと知りたい時はこの本を!