
北国、岩手でのガーデニングです。元々は和風のお庭に10年前よりバラが加わり、そのコラボレーションにはずいぶんと悩みました。今は日本の植物や庭石を活かしながら、華やかなバラとの調和のとれたしっとりとした庭景色を目指し、エンドレスのお庭仕事を継続中。そして、バラの時期だけでなく、早春には山野草、夏はアナベルや百合、秋には紅葉、冬はアマリリスと、四季それぞれの庭景色を満喫できるように心がけています。
喜びの春

早春に咲く可憐な山野草たちを見ていますと、優しい気持ちになると同時に、そのたくましさに心打たれます。このあと1か月、可愛い花々に次々バトンタッチされていきます。 カタクリはいつも通り、いつもの場所に、ふたり寄り添い静かに花びらを反り返らせました。周囲のキクザキイチゲの青い花たちに見守られているよう。今年はどこからか迷い込んだのか、白のイチゲも仲間入り。この山野草エリア(山野草の聖域と命名)に唯一入り込むことを許された宿根草、ティアレラは、キュートでチャーミングな大好きな花です。これらの山野草の色合いが庭作りに活かされているように思われます。
敷石の小径ではタイムがピンク色となり、嬉しくてつい行ったり来たり。数年前から敷石の周りを明るくしようと、斑入りの植物を入れてみたり、あれこれ試行錯誤中です。シンボル的な八重桜が開花。散った後の濃いピンクの絨毯まで愛でます。
オープンガーデン
2012年からオープンガーデンを始めました。写真は2015年。しっとりとした色合い中心に宿根草を配置し、同時期に咲く、シャクヤク、シラン、ミヤコワスレなど、日本古来の植物と共に、庭景色を作っています。バラのシュートの旺盛な伸びと共に、アーチの景色も年々ボリュームアップ!ウッドデッキ上のラベンダーラッシーのアーチは、今年は右のアイスバーグと出会う予定。シュートの誘引は、寒い寒い時期に行いますが、春の景色を妄想しながらの仕事は楽しみでもあります。
左から、2012年、2013年、2014年のメインの庭景色。いらして下さるお客様に庭をより楽しんでいただきたくて、毎年の工夫は欠かせません。お勧め景色の見える日陰エリアに椅子を置いたり、撮影スポットを考えてフレーム状にシュートを誘引したり、毎年新しいアイディアを考えるのも楽しみのひとつ。アーチはナチュラル感を出すためにアイアンは使わず、木の枝、ツルなどを利用しています。
フロントガーデンも賑やかになりました。手前のピンクはマチルダ。白のプロスペリティは新しいシュートだけでなく、古い枝にもたくさん蕾がつきますので、年々そのボリュームには、目を見張るものがあります。
バラだけでなく、クレマチスも庭景色には欠かせません。バラにはないブルー系、ダーク系などの色、と同時期に咲くバラとのコラボレーションも楽しんでいます。また、ベル型(つぼ型)クレマチスの可愛らしさには、ハートを射抜かれます。
オリジナル手作りコーナー
鳥たちの大好きなピーナッツリースは毎年人気で、作り方を必ず聞かれます。冬の間の手仕事、羊毛フェルトの鳥のオブジェはオリジナルで、こちらも大人気でした。廃棄寸前のリメイクした引き出しを額にみたてて、マイフォトを飾ったミニギャラリーコーナーも2年前からお目見え。ガーデンを回られ、お客様が帰られる時に見せてくださる満ち足りた笑顔、その笑顔を見られるだけで、最高に幸せな気持ちになるのでした。
夏の景色
7月からは様々な種類のアジサイやユリたちが庭景色の中心となり、バラが終わっても、心躍る景色が続きます。
ボリュームあるアナベルが作り出す白の不思議な世界に、赤紫や黄のユリたちが加わりメルヘンチックな雰囲気が漂います。8月のサルスベリのピンク、カサブランカの白やフロックスたちの作る眺めも大のお気に入りです。
半日陰での葉物、 葉形の魅力
半日陰では、葉物が魅力をアピール。斑入りのホスタ、アエゴボディウム、フウチソウの中で、日本古来の植物、細長い緑の葉のシランが引き締めてくれます。斑入りの葉の魅力は深い緑があってこそ引き立つものですね。クガイソウの葉と共に紫色の花穂がゆらゆら揺れる様子も大好きです。カンアオイの葉も惹かれます。
ミヤコワスレ、オミナエシ、シュウメイギク、シュウカイドウ、キョウカノコなど。日本古来のこれらの野の花たちは昔はどちらのお宅にも普通にあるものでした。四季を教えてくれる大切な大切な「和」の植物。囲まれていると心が落ち着きます。サギソウも球根を育てて数十年。真夏の暑い時期に涼を運んでくれます。
紅葉
様々なモミジの木々が、赤、オレンジ 黄に、色付いてきました。宿根草の黄色味を帯びた草紅葉も、秋景色の名脇役です。落葉後、庭石や地面に拡がる赤や黄のふかふかの葉の絨毯までその美しさを堪能します。
わが家は住宅街にありながら、たくさんの野鳥たちが集まってきます。冬鳥のツグミは控えめで臆病な性格。群れでやってくる大型のオナガたちは迫力満点。愛嬌をふりまくヤマガラはわがやのアイドルです。野鳥たちのため、実のなる木を植えたり、巣箱を置いたり、エサ箱やピーナツリースを作ったり。今では彼らのサンクチュアリとなっています。庭だけで、これまでに30種類もの鳥たちを見つけることができました。信じられます?
冬の楽しみ
長い冬を楽しく乗り切るために、様々なことを考えています。雪が積もるとイルミネーションのLEDはふんわりと優しい光となり、さらに美しさが増します。小鳥たちのためにピーナッツリースを作り始めて10年ほど。人が見ても楽しめるよう、このごろはデザインにも凝っています。餌のない冬の間は、窓ごしに眺める鳥たちに癒されます。そして、花のないこの時期の強い味方は、なんといってもアマリリスたち! 育て始めて数十年、10鉢以上のカラフルな大輪が春まで室内を彩ってくれます。
大窓からの景色
窓枠を額縁として、365日異なる「庭絵画」を楽しみます。春夏秋冬、雨の日も雪の日も、室内からも庭を望める大窓を設置しました。やがて、やってくる鳥たちの多さにも気づき、ガーデンバードウォッチングも満喫! 写真左は紅葉の季節。モミジ類の赤は鮮やかに、オレンジは色濃くなり、黄のエリアも広くなる、そうした変化に目が離せません。この日この時の美しさを一瞬たりとも見逃さないよう、心にもカメラにも焼き付けます。写真右は、真冬の寒々とした景色とは対照的な室内のカラフルなアマリリスたちが心を温めてくれます。
プロフィール
イブハト (ibuhato)さん
- 住まい
- 一戸建て
- ガーデニング歴
- 30年
- お気に入りの植物
- バラ クレマチス 宿根草 山野草 木々
- ホームページ
- イブハトの窓庭
編集部より
元々は和風造りだったというイブハトさんのお庭です。バラが加わることで、落ち着きのある華やかさが見事に表現されていますね。楚々とした山野草や色鮮やかな紅葉、雪景色など四季折々の風景の美しさに魅了されました。たくさんの野鳥たちがやって来るのもうなづけます。この景色を室内からも眺められるとは羨ましい限りです! これからもご家族や訪れる方々に愛されるお庭づくりを続けてくださいね。