犬の高齢化・痴呆について考える

30年ほど前までは犬の寿命は8〜10歳くらいと言われていました。
現在は16歳くらいまで生きる犬は珍しくありません。
獣医学の発展とともに犬の寿命も延びています。
人と似ていますね。犬の高齢化や痴呆を考えてみましょう。

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目次

犬の寿命と高齢の変化

<犬の平均寿命ってどれくらい?>
犬の平均寿命はどれくらいかというと犬種によっても寿命は異なります。

小型犬・中型犬で15〜16歳くらい。
大型犬では12歳くらいが平均的な寿命になります。
超大型犬のセント・バーナードやグレート・デーンなどは10歳くらいと言われていますし、腫瘍好発犬種のゴールデンレトリバーは10歳を越える例は他の犬種に比較するととても少ないです。

実は長生きするかどうかは遺伝子によって決まりがちなんです。20歳くらいまで長生きする犬は、長生きの遺伝子をもってるんですね。普通の犬はどんなに努力してもやはり平均的な寿命で終わってしまいます。

<高齢になるとあらわれる変化>
多くの病気がでやすくなります。腫瘍性疾患、子宮蓄膿やホルモンの過不足からくる病気、心臓や腎疾患など高齢になると若い時は見られなかった様々な病気がでてきます。これは人間と同じですね。

また、運動性が鈍ることも多いです。今までよく遊んでいたのに遊ばなくなってきたり、寝ている時間が増えたりします。

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犬の痴呆について

犬では12歳あたりから見られることがあり、16歳くらいになるとかなり当たり前にでてきます。猫は16歳くらいでも頭はしっかりしているものが多いです。

<軽呆けの症状>
認知障害症候群という病名がペットにも使われ始めました。(以下CDS)痴呆まではいかないけれど一歩手前だよというくらいの意味です。
●活動性が低下する
●"帰宅しても前ほど喜ばない""感情表現が浅くなる"などの飼い主との相互関係の減少
●"トイレの失敗""しかっても前ほど応えない"などのしつけの喪失
●現在おかれている立場の人、時間、状況などを正しく認識できなくなる
●やたら眠っている時間が増える
(ただし、これは高齢犬に多い甲状腺機能低下症でもおきますので鑑別が必要。)

<進行した痴呆の症状>
痴呆が進行するとCDSの症状が悪化するのに加え一番悩まされるのが昼夜の逆転、夜鳴きのようです。意味もなく夜中鳴きわめくので、近所に迷惑だったり飼い主が眠れなかったり。
そのほかにも進行した痴呆の症状として以下のような異常行動もよく見られます。

●意味無く同じ方向にぐるぐる回り続ける
●後退ができずに壁につきあたって身動きができなくなる
●部屋の隅で壁に頭をコツンコツンと当て続ける

似たものに前庭疾患といって平衡バランスがとれなくなる病気があります。
これは頭を斜めにしたり重症例では体軸と平行にぐるぐる転がり立ち上がれません。眼球をよくみると横方向に絶えず動いている事が多いです。
これは痴呆とは違い、内科的治療に反応する事もよくありますので受診が必要です。
医学的に老衰という診断名はないのですが、中枢神経の萎縮が進み体温、呼吸、心拍などのコントロールがきかなくなり亡くなっていくのであれば老衰といってもいいのかもしれません。
通常はここまでなる前になんらかの病気で亡くなる犬がほとんどです。

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治療と予防

<抗酸化物質の接種>
ビタミン類ビタミン類などがあげられます。
ビタミンEが代表ですがC、カロチン、セレンなども抗酸化作用があります。他、αリポ酸 Lカルニチンなども推奨されています。

<抗炎症物質の接種>
DHA免疫反応は炎症を抑える事により軽くなります。
人ではアスピリン系の抗炎症剤を持続投与されていた患者に痴呆が少ないということが報告されています。リュウマチでたまたまアスピリンを飲んでいたら呆けなかったということらしいです。
犬猫に同じ薬を投薬すると胃潰瘍、貧血になりますのであまり現実的ではありません。
そこで有望なのがω3(オメガスリー)と呼ばれる脂肪類です。聞き慣れた名前でいうとDHA(ドコサヘキサエン酸),EPA(エイコサペンタエン酸)などがそうです。これらは炎症性ロイコトエリンという因子を阻害して抗炎症効果を発揮します。皆さんご存じ魚の脂に含まれています。

これらの栄養素は呆ける前に予防的に接種しなければだめと考えられていました。細胞が無くなってから始めても遅いというのが理由です。
ところが、呆けてしまった犬に供与試験をしたところ改善される例が結構あることが確認されています。細胞数を現状維持のまま減少をくい止めることができれば、残った脳細胞が代償機能でがんばって少ないなりに機能を回復しているのでしょう。脳細胞が増えるとは考えにくいですから。
コンビニなどでもサプリメントとしてDHAやビタミン類は安価で手に入りますので気になる人は試してみて下さい。
シニアタイプと言われるフードの中にはこれらの栄養素が強化されたものも市販され初めています。

愛犬が高齢になっても末永く一緒に生きていきたいですね。痴呆の予防に人間が気を使うのと同様に愛犬にも気をつけたいものです。

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長生きさせるポイント

先に述べたように20歳まで生きるかどうかは遺伝子によるとしても、平均寿命までは全うさせてやりたいですよね。そのためには下記のポイントをご紹介します。

(1)フィラリア予防・ワクチン接種を行う
長生きさせるために大事なのは病気の予防措置です(フィラリアとその他の伝染病予防)。昔、フィラリアの予防が普及していなかった時代、犬の寿命は8歳〜10歳と言われていました。皆フィラリアで死んでいたわけです。現在はフィラリアの予防が広まった結果、フィラリアで亡くなる犬はごく少数になりました。これは予防医学の発展の賜です。

(2)避妊・去勢手術をする
避妊・去勢手術も病気の予防に有効です。手術をした犬の方が平均寿命は長くなります。

(3)食事管理をする
腎臓や肝臓などをいたわるには、若いうちからの、食事の管理が大切です。
また、高齢犬用のフードに変えることもおすすめです。
添加されるものとしては痴呆への配慮のためDHAやEPAといった脂肪酸を多く含ませていたり、関節疾患用のコンドロイチン等を含むなど微量のサプリメントの役割を担わせる物を含んだり、抗酸化物質を含んだりなど各メーカーいろいろ工夫をしています。
また高齢犬用といえば低カロリ−に感じますが、カロリーは通常食と比較してもあまり変わらないものが多いです。ライトタイプなどの肥満用フードを与えていた犬を高齢用フードに切り替えると太りますのでそこは注意しましょう。

(4)体重コントロールをする
体重を適切にコントロールすることも病気の予防に繋がります。

最後に...

年をとっても、愛犬には健康で、できるだけ長生きしてほしいですよね。そのためにも若いうちから適切な体調管理をして、老犬期にはさらに体調管理に気をつけてあげましょう。

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