ダックスフンドの歴史・特徴・性格・しつけについて

ここでは、ダックスフンドを飼うために知っておきたい、ビーグルの歴史から体の特徴など基本的な知識をご紹介します。

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目次

1.ダックスフンドの種類・特徴・体

ダックスフンドの歴史・特徴

世界には畜犬団体に公認された犬種が340種余り存在しますが、その中で特に個性的で知名度の高い犬種がダックスフンドです。

ダックスフンドはドイツ原産で、ドイツ語の発音からですと、ダックスフントになりますが、日本の畜犬団体・ジャパンケンネルクラブでは英語読みのダックスフンドと表記されます。どちらで呼んでも問題ありません。

ダックスの歴史・経緯

ダックスの先祖と考えられている犬は、スイス地方原産のジュラハウンドや中型のピンシェルなどの獣猟犬たちです。これらの犬を交配させて12世紀頃にダックスの基礎となる犬が誕生しましたが、ここから犬種として確立されるまで、数百年を要しています。

ダックスの基礎となった犬たちは、胴も脚も一般的な長さでしたが、穴に潜むタイプの獲物である、アナグマ、キツネ、野ウサギ猟に使われるうちに、少しずつ体型が変化し、そのような個体を人間が目にとめて繁殖に用いた結果、徐々に胴長短足の体型になっていきました。 ダックスフンドという名前は、ドイツ語でアナグマを意味するダックス(Dachs)と犬を意味するフント(Hund)が由来とされています。16世紀には、スムースコートから生まれた中毛の犬やスパニエル種を交配させてロング・ヘアードが誕生し、続いてシュナウザーやテリア種と交配させてワイヤー・ヘアードが誕生しました。

種類・ダックスのサイズ

ダックスにはスタンダード、ミニチュア、カニンヘンの3サイズがあります。 現在のスタンダード・ダックスは9kgほどの体重ですが、初期のダックスが活躍した16世紀当時は体が大きく、獰猛なアナグマと戦うため体重も最大で20kgくらいありました。

1875年頃に描かれた絵画から、当時のスタンダード・ダックスがアナグマと変わらない大きさをしていることが分かります。ミニチュア・カニンヘンダックスは野ウサギやネズミ、イタチなど小型の獲物を狩る為に作出されました。 初期のミニチュアダックスが登場した1900年代初頭は、たまたま小柄に生まれついたスタンダードッダックスに色々な小型犬を交配させていたため、見た目のばらつきが大きく、犬種を名乗るに至りませんでした。そこで1910年にスムースにはミニチュアピンシャー、ロングにはパピヨン、ワイヤーにはミニチュアシュナウザーを交配に使用することを決め、現在のような洗練された姿に発展していきました。

日本におけるサイズの規定

スタンダード:体重は約9kg、胸囲は35cm以上
ミニチュア:生後15カ月を経過した時点で胸囲を測定し、30〜35cmであること。
カニンヘン:生後15カ月を経過した時点で胸囲を測定し、30cm以下であること

ダックスの体

ダックス最大の特徴は胴長短足の外見です。 体高と体長の比は体高10:体長17〜18が理想の数値です。

柔軟な長い胴と短い脚は狭い穴の中で体の向きを変えやすく、臭跡をたどって獲物を探すのにも適しています。 長いマズルは嗅覚に優れ、力強い前足で穴を掘るのが得意です。 垂れた耳は地中のトンネル内で土が耳に入るのを防いでいます。

子犬期: 耳もまだ小さくコロコロと可愛らしい姿をしています。骨格が十分出来上がっていないので、過度の運動は避けます。

成犬期: 体も大きくなり筋肉がついて充実した外観となります。雌雄の体格差もはっきり判別できるようになります。

高齢期: 代謝が落ちて運動量も減るため、筋肉が痩せて真っ直ぐだった背線が下がり気味になります。背骨や腰に負担をかけないよう無理な運動は避けます。歯が抜けたり、白内障を発症する個体も多いです

ダックスの毛色・被毛

ダックスには全身ぴったりと張り付いたように滑らかな短毛のスムース・ヘアードと、見た目を優しい印象にしているロング・ヘアード、個性的な雰囲気のワイヤー・ヘアードの3種類があります。

スムース・ヘアードの毛色

◎ソリッドカラー
単色の毛色には濃い赤茶色のレッド、赤みがかったレディッシュイエローとイエローがあります。耳や背、脇腹に黒い刺し毛の入る個体もいますが、これも単色扱いです。原産国ドイツではレッドが最も人気のある毛色です。色素の濃さと健康は関係しており、鼻、唇、目の縁、パッドや爪なども含め体色が濃いほど良いとされています。

◎2色
黒や濃い茶色をベースに目の上、口元から喉、胸、腹部、足先、肛門周辺から尾の裏にかけてタン、またはイエローの斑が入ります。

◎ブリンドル
レッドかイエローベースに不規則な濃色の縦縞が入ります。

◎ダップル
大理石のような斑模様で、地色はブラックとレッドがあります。斑の大きさ、色の出方にも細かい規定があり、色素の薄い犬同士を交配に用いると高確率で目、耳、内臓などに障害が発生します。専門のブリーダーでも繁殖が難しい被毛カラーです。

ロング・ヘアードの毛色はスムース・ヘアードと同様です。

ワイヤー・ヘアードは、スムース・ヘアードで見られる毛色の他にイノシシの被毛に似た色のワイルドボア、枯葉色のドライリーフ、小麦色のウイートン、ごま塩色のソルトアンドペッパーも認められています。

いずれのカラーにも白斑の入ることがありますが、ごく小さいものが1つだけなら許容されます。

近年、レアカラーと表記された非公認カラーの子犬が高額で販売されていますが、非公認カラーには遺伝的な疾患を発生させる要素が多分に含まれているので、珍しいからと安易に求めたり、繁殖させるのはお勧めできません。

2.ダックスフンドの性格・しつけ

ダックスフンドの性格

ダックスは人間に対して友好かつ忠実な犬種です。 好奇心も旺盛で人間と行動をともにすることが大好きです。元気で明るいキャラクターは飼い主を存分に楽しませてくれることでしょう。ダックスは被毛タイプによって導入された犬種が違います。性格にもそれが傾向として現れています。

◎スムース・ヘアード
獣猟犬として作出されたので、勇敢で怖いもの知らずなところがあります。小動物に対して鋭敏で正しくしつけないと、無駄吠えや攻撃性が出やすくなります。

◎ロング・ヘアード
直接獲物と対決しない鳥猟犬の血が入っているので、おっとりと温和な性格です。ダックス9種の中でミニチュア・ロングの人気が高いのも納得できますね。

◎ワイヤー・ヘアード
シュナウザーなどテリア系の血が入っているので、テリア気質を受け継ぎ、やや頑固なところがあります。

毛質による性格の傾向は個性のひとつであり、決してマイナス要因にはなりません。飼う前には両親犬を必ず見せてもらい、健康でご自身や家族と相性の合う子を選びましょう。

ダックスフンドのしつけ方

ダックスは頭が良く、訓練も入りやすい犬種です。 子犬の頃は非常に愛らしいので、つい何でも許してしまいがちですが、やって良い事と悪い事の区別や主従関係は、はっきりつけておきましょう。 犬種の特性上、穴を掘る事が好きで、ソファーなどをボロボロにしてしまう事もあります。 庭があれば掘って良い場所を決めて遊ばせてみましょう。マンションなどで庭がない場合は河川敷や砂浜などに連れて行って存分に穴掘りを楽しませてあげましょう。掘った穴は埋め戻しておいてくださいね。

3.ダックスフンドの健康管理・お手入れ

ダックスの健康と病気

◎椎間板ヘルニア
ダックスは他犬種に比べ胴長短足であるため、高いところから飛び降りたり、ジャンプした際の着地の衝撃を肘や膝で十分に吸収しきれません。不要な衝撃を与え続けると背骨に負担がかかり、椎間板ヘルニアを発症させてしまいます。

日常の動作では階段の上り下り、ソファーからの飛び降りなどの回数は極力減らしましょう。段差のある箇所にはスロープをつけたり、抱いて上げ下ろすなどの配慮が必要です。滑りやすい床も関節を痛めますので、滑り止めのカーペットを敷くなどしましょう。

アジリティやディスクキャッチなど飛んだり跳ねたり、急激なダッシュやストップの運動はダックスの体型にふさわしくありません。このような競技を目的に犬を飼うなら、ダックスはその候補から外しましょう。

椎間板ヘルニアを発症した犬は、痛みを軽減させるため背中を丸めて立つようになります。高齢犬に、このような姿勢が多く見られますが、若年齢での発症も珍しくありませんので注意が必要です。

ヘルニアも軽度のうちは自力で歩け、神経も通っていますが、痛みや痺れから散歩へ行くのを嫌がったり、足をひきずるようになります。発見が早ければ、投薬や温熱療法、鍼治療で効果が得られます。

重度になると下半身の感覚が失われるため、痛みも便意も感じなくなり、垂れ流しの様態になってしまいます。手術をしても回復の可能性は低くなります。 もしもに備えて、ペット保険に加入する際は、椎間板ヘルニアの適用があるか、契約内容をよく調べてください。

普段から愛犬の様子をよく観察し、異変を感じたらすぐに獣医師に診てもらうようにしましょう。

◎遺伝性疾患 ダックスに多く見られる遺伝性疾患には、てんかん、股関節形成不全、進行性網膜萎縮症があります。 子犬を求める際には両親犬、兄弟犬の情報を快く開示してくれるブリーダーを選びましょう。

狂犬病予防注射やその他の予防ワクチン、夏場のフィラリア予防、定期的な健康診断は必ず受けましょう。

肥満と食事

ダックスは食いしん坊でおねだり上手なため、ついつい食べ物を与えてしまいがちです。 脚が短いので、太るとお腹が地面に着いてしまい、歩くのもままならなくなってしまいます。 ダックスを太らせるのは簡単ですが、痩せさせることは非常に難しいので、家族間で食事やおやつに関するルールを決めておきましょう。

肥満を恐れるあまり、栄養不足に陥ることもあります。低脂肪やローカロリーと表記されたフードやおやつ類が数多く出回っていますが、毎日運動を欠かさず、極端な体重の増加がなければ年齢に応じた食事内容で問題ありません。

元気で食欲があるのに痩せる場合は、寄生虫や糖尿病、ホルモン疾患の疑いがあります。不安な場合は早めに獣医さんに相談しましょう。

ダックスフンドのお手入れ

スムース・ヘアード、ロング・ヘアードは季節による換毛があります。 ブラシでまめに抜け毛を除去します。 ワイヤー・ヘアードはテリア種の特徴を持っているので、季節的な換毛がない代わりに、被毛は伸び続けます。定期的なストリッピングやトリミングをして、すっきりとした外観を保ちましょう。

スムース・ヘアードの手入れはとても簡単で、少々の汚れなら蒸しタオルで拭くだけでも綺麗になります。いずれも被毛の手触りが悪くなったり、臭いが気になったら入浴させます。バスタブで足を滑らせないよう、体を固定したり、バスタブの底に滑り止めのマットを敷くなどしましょう。

耳が蒸れやすいので、耳の中はよく見てあげましょう。悪臭がする場合は獣医さんで洗浄してもらったり、専用のローションで拭く方法もあります。

室内で飼う場合は爪の伸び過ぎに注意しましょう。長過ぎる爪で指先を痛めたり、カーペットなどに引っ掛けて転倒し、思わぬ怪我を負うことがあります。

歯磨きも定期的に行うと、歯石の沈着を防ぎ、高齢になっても状態の良い歯を保つことができます。

その他注意すること

体高が低いため、存在に気付かれず踏まれて怪我をすることがあります。混雑した場所ではカートに乗せる、キャリーに入れる、抱えるなどしましょう。 ミニチュア、カニンヘンは寒さに弱いので、冬場は暖をとれるベッドやハウスを用意しましょう。 胴と地面の距離が近いので、地面の照り返しの影響が大きく熱中症になりやすいです。アスファルトの道を歩かせるときは、気温や時間帯に注意しましょう。 胴が長いので抱き上げる時は背骨に負担がかからないよう、イラストのような抱き方をしてください。

ライター:R・Yamamoto

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