1.ビーグルの歴史・特徴

猟犬には獲物に応じて様々な種類の犬が存在し、ビーグルは嗅覚ハウンド種の中で一番小さい犬種です。
ビーグルの歴史
ビーグルの祖先は系統図から古代エジプト時代に存在していたグレイハウンドと考えられています。紀元前400年頃、ギリシャで書かれた文書にウサギ狩りが得意な犬についての記録が残っていることから、かなり早い段階で才能が見出されていたようです。ここからローマ帝国の侵攻や交易などで広く欧州にもたらされた先祖たちはヘンリー7世の時代からエリザベス一世の時代にかけて品種改良が進み、1890年にイギリスで犬種登録がなされ現代に至っています。
狩猟スタイルはパック(集団)でフィールドに展開し、互いが鳴き交わして獲物の居所を教えあい追い詰めます。このことからシンギング・ビーグル、森の声楽家などとも呼ばれています。
ビーグルという名称の起源は複数説あります。 フランス古語のbegueule (大きく口を開けた)とbeugler (大声で鳴く)、古い英語のbegele(小さい)、ゲール語のbeag(小さい)などです。
性格は獣猟犬ながら攻撃性も低く、パックで行動してきた経緯から友好的で仲間と認識すれば犬や猫のほか家畜などとも打ち解けることができます。嗅覚も非常に優れており、使役犬の代表格シェパードやラブラドールと引けを取らない汎用性の高い犬種で、小型ながら多産でデーターの収集に便利なことから生物医学研究の実験動物として用いられた側面もあります。
ビーグルは犬種として固定されるまで地域によってサイズのばらつきがあり、テリアの血を入れたワイヤーヘアードも存在しました。(1969年を最後に絶滅) 16世紀後半、特に小さなビーグルはポケットビーグルと呼ばれ、馬の鞍に装着した袋に入れて狩場へ運び、大型猟犬では手に負えない小さな獲物相手に活躍していました。イギリス王家もポケットビーグルを何頭も所有するなど愛好していたそうです。
ビーグルは犬種として固定されるまで地域によってサイズのばらつきがあり、テリアの血を入れたワイヤーヘアードも存在しました。(1969年を最後に絶滅) 16世紀後半、特に小さなビーグルはポケットビーグルと呼ばれ、馬の鞍に装着した袋に入れて狩場へ運び、大型猟犬では手に負えない小さな獲物相手に活躍していました。イギリス王家もポケットビーグルを何頭も所有するなど愛好していたそうです。
狩猟スタイルにも流行があり、同時期には貴族による馬を使った大規模なキツネ狩りが流行し始めました。これにはフォックスハウンドなど大柄でスピードのある猟犬が好まれるようになったため、ポケットビーグルはフィールドから姿を消しましたが、今と同程度のサイズであったビーグルは農夫らによる徒歩のウサギ狩りに重宝され、そのまま現代まで生き残ることとなりました。
日本の鹿児島地方には、サツマ(薩摩)ビーグルという日本犬とビーグル、バセットハウンド、ハリアーなどを交配して作出された地域的な固有種も存在します。非常に優れた能力を持ち、現在も実猟犬として活躍中です。
ビーグルの特徴
アメリカでは、15インチ(40cm以下)と13(33cm以上)インチの2サイズに分けられています。15インチは実猟犬、13インチは家庭犬としての道を歩んでいます。体重は体高に応じた重量で9〜11kgが理想です。日本とイギリスではサイズ分けはせず、33〜40cm以内をスタンダードとしています。小型でありながら、がっしりとした体型は頼もしく、活動中は尻尾が高く上がります。
被毛カラー
被毛カラーはハウンドカラーと呼ばれるもので、胸と腹部、四肢が白で頭部や背中に色が出ます。尻尾の先は白であることが必須で、体色はレバー以外であれば許容されます。スヌーピーのような背中と耳だけに黒い班の入った個体は珍しい部類です。
2.ビーグルの飼い方・しつけ
ビーグルは小型で短毛なことから飼いやすいイメージですが、吠え声が体に似合わず大きく、ご近所トラブルに発展することもあります。居住環境も充分に考慮してください。
子犬を得るには信頼のできるブリーダー、ショップを選んでください。 可能であれば犬舎訪問をし、親犬や兄弟犬を見せてもらいましょう。 快適に過ごせる場所が確保できれば屋外飼育も可能ですが、できる限り家族の顔が見えるような場所に犬舎を設置しましょう。 長時間の留守番は寂しがり屋のビーグルには堪えます。無駄吠えや破壊活動などを防ぐためにも常に家族の誰かが家にいるか、家を開ける時間を半日程度に留めることが好ましいです。
*子犬期
幼い頃は黒い毛の占める割合が多いですが、成長とともに茶色い部分が現れるなど、かなり見た目が変化します。頭部に黒が残る子もいれば、ほとんど茶色くなる子もいます。
ワクチンが済むまでは他犬との接触や不特定の犬が排便するような場所は避けてください。嗅覚ハウンドなので幼くても地面の匂いを嗅ぐなど猟犬としての片鱗を見せ始めます。興味からなんでも口にしますので、散歩の際は危険なもの、不潔なものが落ちてないか充分注意してください。 時々毒エサが撒かれるなどの事件も起きていますので、草むらを散歩させるときは特に注意が必要です。犬を先に歩かせると、餌になるような物を見つけた際、素早く口に入れて吐き出させる前に飲み込んでしまいます。散歩は飼い主が主導権を握り、犬は半歩後を歩くリーダーウォークを早い時期に教え、徹底させましょう。
*成犬期
骨格も整い、長時間の運動にも耐えられる体になってきます。もとは一日中野山を駆け巡るタフな猟犬ですので、たっぷりと運動させてしっかり筋肉をつけてあげてください。 運動が足りていれば室内でもイタズラなどの破壊活動をすることもなく、ゆったりと過ごすことができます。ドッグショーへの出陳や繁殖を考えてないのであれば、コンディションの良い時期を見計らって不妊手術を受けましょう。スケジュールなどは掛かりつけの獣医師と相談してください。手術後は性衝動が無くなる分、食欲に興味が向かいますので食べ過ぎや盗み食いに注意してください。
*高齢期
加齢とともに毛色も薄くなり活動もゆったりしてきます。 筋力を維持しないと背骨が内臓の重さを支えきれずに撓み、ヘルニアを発症しやすくなります。若い頃のような激しい運動は負担になってきますので、長めの距離をゆったり歩かせましょう。水の近くであれば水泳も足腰の負担少なく良い運動となります。
高齢になると、長時間の散歩も億劫になってきます。家で寝てばかりでは精神的な刺激が無くなるので、車やカートなどに乗せて公園やドッグランへ連れて行ってあげましょう。
暑さ寒さにも弱くなってきます。夏の散歩は早朝か、アスファルトの熱が冷めた夜間にしましょう。冬は暖かいベッドを用意し、寒がるようでしたら服を着せてあげましょう。
ビーグルのしつけ
ビーグルは団体行動が得意です。仲間の行動を見て学ぶことも多いので身近にお手本となるような先輩犬がいたらトレーニングに付き合ってもらうのも良い方法です。
ビーグルで寄せられる困りごとのトップが吠えグセですが、なぜ吠え続けるのか原因によって対処方法を考える必要があります。
●散歩の前や飼い主家族の出入りで興奮し吠える場合。
お出かけ、帰宅の際は静かに振舞います。大げさなセレモニーを習慣にしてしまうと、わずかな気配でも興奮し、大騒ぎするようになります。 散歩の前に吠え続ける場合は静かにするまでリードをつけないようにします。 大声で叱ると飼い主も一緒に興奮していると思い、さらにエスカレートしますのでリードを持ったまま座り、犬が座って少しの間静かにできたら褒め、それからリードをつけるようにしましょう。
●不安と恐怖
子犬の頃に怖い思いをしたり、もともとシャイな性格の子は苦手な物や場所を嫌って吠え続けます。この時は威勢の良い吠え声でなく悲鳴に近いような声を発します。恐怖を覚える対象には近づけないか、慣れさせるかのどちらかしかありません。 慣れさせる場合は距離をとって対象物を観察させることを続け、飼い主だけが近づいて危険がないことを知らせるために大きなあくびをして見せるなどの方法があります。病院を怖がる子は診察が終わったら、とびきりのおやつやおもちゃを与え、診療後の印象を良くしましょう。 雷の音は環境音楽や動画サイトに映像がありますので低音量で聴かせる方法を試してみましょう。この時も飼い主は平然を装い、リラックスした様子を見せるようにしましょう。いずれも一回や二回では改善されません。根気よく続けてください。
●警戒心が強い場合
犬はどの種類もテリトリーに対する意識を持っています。 ビーグルだけが特別強いという訳ではありませんが、もともと吠えることが仕事だった彼らは僅かな刺激でも吠えてしまう傾向があります。 郵便や新聞配達の人、彼らの乗ってくるバイクに吠えてしまう場合は、それらに対する情報不足から吠えている可能性があります。可能であれば配達の人に会わせ、飼い主が穏やかに挨拶する様子を見せるだけでも犬は納得し、安心するようになります。
●退屈
犬に最も良くないことが退屈です。活動的なビーグルは長時間なにもしないでいると退屈からストレスを溜め、出かけたい気持ちを吠えることで発散しようとします。 基本的にビーグルに向いているのは活動的でフットワークの軽い人です。町内をぶらっと一周し、排泄だけで散歩が終わりと考えているような飼い方では彼らは満足しません。愛犬にもう少し時間を割いてあげてください。
●要求鳴き
吠え声に慌てて飼い主が要求に折れてしまうと、犬は吠えることがとても有効な手段と思うようになります。これは非常に良くないパターンで、要求に折れるたび飼い主の地位は下がり、犬がリーダー格にのし上がってしまいます。普段の生活でこのようなことが起きてないか自問しましょう。 もし言うことをきいてしまっているようなら、要求鳴きが始まっても応じず、背中を向けて無視します。犬が吠えるのを止め、座って静かにするまで相手にしないでください。常に主従関係を意識させるように心がけましょう。
いろいろ試してもうまくいかない場合は、犬よりも飼い主の接し方、コマンドの出すタイミングなどに問題があるかもしれません。しつけの様子を犬仲間に見てもらったり、プロの手を借りることも考えましょう。
3.ビーグルの健康・お手入れ
ビーグルの健康
ビーグルは体も頑丈で好発するような病気はありませんが、犬の中でも群を抜いて食いしん坊なので油断するとあっという間に太ってしまいます。 一旦太ると運動が億劫になり、食べることだけが楽しみになって、さらに太るという悪循環に陥ります。適正体重の維持が健康の基本となりますので、食餌や、おやつの量は決めておきましょう。肥満は万病の元であり、過重から足腰を痛めて歩けなくなるケースもあります。
高齢期になると白内障を発症しやすくなります。 視力が低下しますので、段差で足を取られる、家具にぶつかるような異常が見られます。遺伝的な原因として発症することもあれば、糖尿病などが原因で発症する場合もあります。除草剤や衣服の防虫剤に含まれる成分も原因となることがあります。 田園地帯に住んでおられる方は農薬の散布にも注意してください。
ビーグルのお手入れ
短毛種のビーグルは手入れが容易です。 普段はブラシで全身のチェックを兼ねてマッサージします。被毛の手触りが脂っぽくなって臭うようになったら入浴させましょう。個体差もありますが、耳垢が出やすく臭う子もいますので、耳の中はよく見てあげてください。歯石のチェックも行いましょう。
野外活動が大好きな犬種ですので、フィラリア対策とワクチン注射のほか、ノミやダニに対する予防も必要です。スプレーや滴下タイプの薬剤がありますので定期的な投与を忘れないようにしてください。野外で遊んだ後は連れ帰る前にノミやダニがいないかよくチェックし、パッドの間に草の種などが挟まっていないか確認しましょう。
その他気をつけること
ビーグルは地面の匂いを嗅ぐことが好きなため、毒ヘビのマムシやヤマカガシ、うっかりくわえると中毒を起こすヒキガエル、毒虫などに遭遇しやすいです。キャンプなどのアウトドアを楽しむ場合は周囲の環境に充分注意してください。マムシに噛まれても即死するようなことはありませんが、できる限り早い手当が望まれます。不測の事態に備え、現地の動物病院をあらかじめチェックしておきましょう。
ノーリードが許される場所であっても目を離さないようにし、首輪には必ずネームタグをつけましょう。小動物に反応して追いかけてしまうこともあるので、首輪に鈴やベルなどをつけておくこともお勧めします。
雪の多い地域では融雪剤の成分で目に炎症を起こすことがあります。雪解け時期の好天時は粉末となった成分が風で舞いますので、外出の際は注意してください。
ライター:R・Yamamoto
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