犬の気管虚脱

今回は、夏には特に注意が必要な病気を紹介します。気管虚脱は、気管が押し潰されたような形に変形して咳や呼吸困難を起こす病気です。

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目次

今回は、夏には特に注意が必要な病気を紹介します。気管虚脱は、気管が押し潰されたような形に変形して咳や呼吸困難を起こす病気です。
中年から老年のチワワ、ポメラニアン、マルチーズ、ヨークシャー・テリア、トイ・プードルといった小型犬種に多く認められ、その中でも特に肥満状態の犬に多く認められます。

原因

次の三つの要因が考えられます。

1.遺伝的要因

遺伝的要因で気管が変形し、気管虚脱を発症します。

2.肥満

遺伝的に気管が変形した犬が肥満になると、気管虚脱の発症率が高くなります。脂肪が気管を圧迫し、変形を促すのです。

3.心臓疾患

心臓疾患のような過呼吸を引き起こす病気に関連して、気管虚脱を発症することもあると考えられています。しかし(1)と(2)の要因と比べて、心臓疾患と気管虚脱の関連ははっきりとわかっていません。

症状

呼吸に合わせてガーヒー、ガーヒー、とアヒルの鳴き声のような音が発せられます。咳は発作性のもので、乾いた感じの空咳です。苦しくなってくると舌を巻くようにして呼吸します。
さらに呼吸困難な状態が続くと舌が黒紫色になりチアノーゼ(酸素欠乏状態)となってしまいます。
この状態が長く続き治療が遅れると、失神して倒れたり、救命できても脳や肺に回復不能な障害を残してしまう場合があります。

診断

レントゲン検査により診断されます。

治療

重度の呼吸困難でチアノーゼを起こしている場合は酸素吸入や保冷など迅速な処置が必要になります。

対策

1.ダイエット

肥満のワンコは、まず体重を減らすことから始めましょう。気管が元々弱い子でも発症リスクをある程度減らすことができます。

2.夏は過度の運動は避け、涼しく過ごす

夏の蒸し暑い時期には特に、高温の環境や過度の運動・興奮などに気をつけてください。発作を誘発する恐れがあります。

3.首輪の使用を見直す

散歩中、首輪の刺激による咳がひどい場合は、首輪をやめて胴輪(ハーネス)にすると良いでしょう。 ただし、中型犬・大型犬に対してハーネスを使用すると犬を制御するのが難しいため、ハーネスを使用すべきかどうか十分に考える必要があります。

気管虚脱は生活習慣上で対策が立てやすい病気でもありますが、初めての発症時や重度な状態になってしまった時には、すぐに動物病院で診察を受けるようにしましょう。

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