犬の分離不安症

常に飼い主の後を追いまわす犬っていますよね。料理中はキッチンの足下をうろうろ。リビングに移動するとチャッチャカついてくる。かわいいですよね。しかし飼い主から離れてしまうと不安のあまり体調を崩したり、問題行動を起こす場合は、分離不安症の可能性があります。

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目次

常に飼い主の後を追いまわす犬っていますよね。
料理中はキッチンの足下をうろうろ。
リビングに移動するとチャッチャカついてくる。かわいいですよね。
しかし飼い主から離れてしまうと不安のあまり体調を崩したり、
問題行動を起こす場合は、分離不安症の可能性があります。

1.分離不安症の症状

分離不安症の犬にとって飼い主と自分は一心同体。2人はいつも一緒。離れるなんて考えられない。いざ、飼い主と離れてしまうと不安で不安でしょうがなくなる。不安にかられて体調を崩したり、問題行動を起こすことがあります。

■体調の変化
・ 下痢や嘔吐、震え、食欲の不振

■犬の問題行動
・ 物を壊す
・ いつまでも鳴き続ける
・ 尿や糞を決まった場所以外でする

飼い主と離れることが引き金になり、これらの問題行動が引き起こされますが近年これを病気としてとらえるようになってきました。分離不安症と呼ばれます。
以前はしつけの不具合として捕らえていましたが、「孤独に耐えられず犬も苦しんでいるのを判ってあげよう」「病気だから治療すれば治る」…こんな考え方が主流になってきました。

<分離不安症か?他の原因との鑑別>

病気と決めつける前に、まず本当に分離不安症か他の病気かを鑑別しなくてはいけません。

例えば糞の不適切排泄の場合では…

・ トイレのしつけがそもそもできていない 
・ トイレに行く時間まで我慢できないほど長時間留守番をしている
・ 細菌、寄生虫などによる消化器の病気
・ 老齢による痴呆

などとの鑑別を要します。

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2.分離不安症の対処方法

犬が常に飼い主と一緒にいなくても大丈夫なように自立させるつき合い方に改善します(行動療法)。

<甘やかさないように接する>
分離不安症の場合、多くは極端な甘やかしや過保護な状態にあるはずです。犬が抱いてくれと甘えてくれば言われるがまま抱きかかえたり、布団に潜り込んできても導いてあげたりしていませんか。
つまり、犬主導型の接し方になっているはずです。この場合は犬の方が偉いと勘違いをしていて分離不安を抱えつつ、飼い主に噛みつく事もあります。
抱いてくれ、オヤツを頂戴…こんな犬の要求にもすぐには従わず、スワレ、オテ、マテなどの服従訓練をしてから犬の要求に応じます。本来、犬はリーダーに服従して誉めてもらう事を大変喜びます。

<飼い主が外出する時>
外出30分前からは犬に注意を向けない。無視して何気なく出かける。
最悪の出かけ方としては、「○○ちゃん、お留守番ね、いい子にしてね」と話しかけてから出かける方法です。多くの犬は「お留守番」などのキーワードを憶えてこの単語を言っただけで反応し始めます。
外出時に鍵の音や着替えや化粧などの出かける準備をし始めると犬もソワソワしだす場合も多いです。
こんな犬には出かける振りをして、でもすぐに戻って来て見せ、「別にこの行動をしたからといって独りになるわけではない」と学習させます。普段から出かけるふりをしてみせるわけです。

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<飼い主が帰宅した時>
また、帰宅時に犬が喜んで抱いてくれと駆け寄ってきても、興奮しているときはあえて無視します。5分も無視していれば落ち着いてくるのでそれから接してやるようにします。
そして、留守中に不適切な排泄行為をしていたとしても叱ってはいけません。何故しかられたか、現行犯じゃないと犬には理解できないそうです。

<その他>
犬が独りで居られる時間を徐々に長くする。一緒の布団に寝るなどはもってのほか。できればケージなどで静かに待てる練習を積んでいくといいでしょう。
家族全員で同じ接し方をすれば、3ヶ月くらいで改善をみる場合が多いです。

<精神安定剤を服用する>
行動療法に併用して精神安定剤を服用するとより成功率が上がります。脳内の神経伝達物質であるセロトニンが不足すると、不安、恐怖は高まりますがこれを薬で防ぐことができ、犬も楽に改善ができます。特に副作用の心配も少ない薬ですから動物病院で処方してもらうといいでしょう。

3.動物病院での治療例

動物病院で最もよく遭遇する、分離不安の軽度の症状は、消化器症状と震えです。
留守番をさせて帰ってみたら、震えが止まらない、吐いた、下痢をした、というのが一番多いです。不安による神経バランスの崩れからくるもので、多くの場合、放置しても勝手に回復しますが、吐き気が酷い場合はステロイドが効果的です。

多い犬では週に3度このような症状に陥る事も少なくありません。あまり多い場合は前述のような行動療法が必要な場合もあります。実際、薬によって(完全には止まらないまでも)軽くなるのなら分離不安症に間違いありません。

マンション暮らしなどで分離不安のために吠えて近所から苦情が来たというダックスも居ました。この犬は行動療法とともに塩酸クロミプラミンの投与を3ヶ月ほど続けたら改善しました。しかし全ての犬で治療がうまくいくとは限りません。やむを得ず、声帯除去の手術を施した犬もいます。

4.かわいがるだけが犬の幸せではない!

多かれ少なかれ、日本の室内犬のほとんどが分離不安症の症状を持っていると思います。日本人の犬に対する考え方が「ただかわいがるだけ」の存在になっているためだと思います。「犬は家族」…これは大いに結構ですが、「動くぬいぐるみ」ではありません。

「自分の子供よりも犬がかわいい」という人がよくいます。自分の子供だと「いけないことはいけない」とちゃんと躾けるのですが、どうも犬にはいけないことをそのままにして犬の言うなりになり、それをかわいがっていると勘違いしている飼い主さんが多いのではないかと思います。犬が自立できるように、子犬のころからしっかりしつけましょう。

最後に…
犬の分離不安症は飼い主の過度な愛情が原因になることもあり得ます。かわいがるだけの存在ではく、いけないことはいけないと教えてあげることも犬の自立に繋がります。しっかりしつけを勉強してくださいね。

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