飼育している愛犬から人に感染する病気がいくつかあります。
その中でも危険度から言えば狂犬病が一番です。
今回は狂犬病の感染について予防法や対処法などをご紹介します。
1.狂犬病とは?
狂犬病ウィルス(ラブドウィルス)が原因です。感染した犬は神経細胞を犯され100%死亡します。治療手段はありません。
神経症状が主な症状です。目に付く物全てに噛みつくなど凶暴性を発揮したり、沈鬱型といって身動きしなくなるタイプもあるようです。
喉頭神経を犯されると飲み込む事ができなくなり、涎を常にたらし続けるだけではなく水を飲むと気管に吸ってしまい、水を飲むたびに溺れるようになったり痙攣発作の引き金になったりするため、しまいには水を見ると怖がるようになる犬もいるようです。
おそらく狂犬病の別名:ハイドロフォビア(怖水病)という病名はここからで言われるようになったのでしょうね。
<狂犬病の感染が発見された動物の例>
米国・・・アライグマ、スカンク、コウモリ
ヨーロッパ・・・キツネ
アフリカ・・・ジャッカル など
◆狂犬病の症状
狂犬病に罹患した動物は狂騒型といって噛みつき騒ぐタイプと、沈鬱型といってショボンとしてしまうタイプに別れます。
2.狂犬病が人間に感染する可能性
狂犬病は人畜共通感染症です。
狂犬病に罹患している犬の唾液中にはウィルスが排泄されますのでこの犬に噛まれると人間にも感染します。
人の症状も犬と同一で治ることはありません。
このような全てのほ乳類に感染するという病気ほど多くの動物に感染しますからやっかいなのです。できることならば日本の検疫を先進国並に厳しく行い、狂犬病のワクチンは打たなくてもいいようになってくれたら飼い主の負担、動物病院の負担は大分減ると思います。
また、「日本にはウィルスはいないだろう」という事になっているので、万が一犬に噛まれても狂犬病の心配をすることはほとんど無いというのが現状です。
3.狂犬病の感染地域
<狂犬病の感染地域は広い!>
狂犬病がどんな地域で出ているかっていうよりもほとんど世界中で出ているので、出ない国を挙げた方が簡単です。
◆狂犬病が発生していない国
意外に少なく、多くは島国です。
私たちの日本もそうですが、他は台湾、ニュージーランド、オーストラリア、ハワイ、グァム、イギリス、アイスランド、ノルウェー、スウェーデン、フィージー、とまあこんな具合。
◆狂犬病が発生している国
アメリカやEC諸国など先進国でも狂犬病は未だに発生してるんですね。
2014年のデータでは、狂犬病で死亡した人は世界で毎年60,000人、動物に噛まれた後にワクチンを接種している人は1,000万人。
中国では、2008年に、すべての犬に狂犬病予防接種を義務づけましたが、2008年の狂犬病による死者は、2,400人を超えているそうです。
4.狂犬病の感染を防ぐには?
<狂犬病の感染を防ぐには「ワクチン接種」が大事!>
狂犬病に感染している動物に噛まれても発症前にワクチンを接種すれば発症に至りません。
しかしワクチン接種についての知識が広まっていなかったり、ワクチンが手に入りにくい地域では、残念なことに犬の殺処分が行われています。中国の雲南省牟定県では狂犬病対策として2006年9月に県内の犬を5万頭以上殺処分したそうです。中国での犬の狂犬病予防率は3〜5%だそうです。これでは狂犬病の蔓延を防ぐことはできません。
一方の日本ですが、予防率は40%ほどだろうと予測されています。
もしも、日本に狂犬病の犬が侵入した場合、半分以上の犬に感染するのか?と心配になりますが、疫学的にいうと、予防接種率が50%を越えていれば感染がそう簡単に広がることはないそうです。放し飼いの犬はそう居ないですし爆発的に広がる心配はないでしょう。
海外旅行に行くときにはむやみに現地の犬猫に近寄らないことが我が身を守る最善の策となります。
<もし海外で犬や猫に噛まれた場合の対処法 >
傷口をよく洗います。絞り出すように徹底的に洗います。唾液中にウィルスが入っていますので身体に侵入するウィルスの量を減らすのが大事。
狂犬病ウィルスは消毒が容易で、アルコールなどでも簡単に死滅します。何もなければ洗剤でもよいです。
ウィルスの量が少なければ感染が成立しない場合もあります。
噛まれて感染が成立してもワクチンを接種すれば多くは発症をまぬがれます。
初回ワクチンを接種をゼロ日として0,3,7,14,30,90日の6回ワクチン接種というのがプログラムです。
海外旅行に出る前に狂犬病のワクチンを接種していた場合は噛まれてからもう一度注射するだけでよいそうです。
犬の飼い主には、愛犬に狂犬病ワクチンを接種することが義務づけられています。しかしただワクチンを接種するだけでなく、狂犬病について正しい知識を持ち、冷静に行動しましょう。