犬のフィラリア症

心臓、肺動脈の中に20cm程の寄生虫が付く病気です。犬のよくかかる代表的な病気です。犬で屋外飼育の場合、3年予防をしていない場合、9割がた感染していると思って間違いないでしょう。フェラリアの寿命は犬の場合5−6年です。

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目次

原因

フィラリアの成虫が(20―30m)右心室、肺動脈に寄生することによって、循環器障害、呼吸障害、肝腎疾患等をおこします。媒介は蚊によっておこります。吸血の際にたくさんの子虫を皮膚から注入します。それらが数ヶ月をかけて成長し、心臓のなかに雄と雌のフィラリアが寄生した場合たくさんの子虫を産みます(ミクロフィラリア)。
このミクロフィラリアを蚊が血液といっしょに吸血して他の犬に感染させたり、フィラリアを寄生している犬自体に再感染させていきます。ミクロフィラリアそのものは一度、蚊の体内に入らないと成虫にはなれません。

診断

血液検査で調べます。昔は血液を顕微鏡で見てミクロフィラリアの有無で診断していましたが、今は抗原検査によって診断します。採血後10分ほどですぐに診断できます。

症状

寄生数が少ないときは無症状です。数が増えるに従い咳が見られるようになってきます。散歩中に『ゲーッ ゲーッ』と吐き出すような、喉に何かつまったような動作をするようになったらかなり進行しています。
安静時にこのゲーッゲーッが出るようであれば重症。フィラリアで来院する飼主さんの多くが喉に骨か何かつかえたようだとおっしゃってきますがこれはまぎれもなく咳です。
また呼吸器意外にも循環霜害から肝臓に負担がかかったり腎臓が悪くなったりと様々な症状をていしてきます。
末期では腹水の貯留や血尿などもみられます。

恐ろしいVCS

フィラリアが本来の寄生部位である右心室から後大静脈という太い血管に移動した状態を後大静脈症候群(ヴェナケバシンドローム VCS)といいます。
この状態はある日突然やってきます。急に呼吸が苦しくなり立てなくなる。赤血球は破壊されるため血色素尿という赤い尿が出ます。VCSに陥ると早い犬では数時間で死亡します。もっても2日くらいでしょうか。
救命法として手術で虫を取り出すしかないのですが、麻酔に耐えられずに死んでしまう犬も多いのが現状です。
寄生数が少なくてもVCSになる犬もいますので、フィラリアの感染が確認できたなら、症状が出ていなくても早期の治療に入るべきです。

治療

成虫駆虫剤を使用しますが心臓内に寄生する虫なので、腸内の寄生虫のように死体が出ていけません。
死んだ虫が肺の血管を詰まらせることもありますので、駆除後最低でも1ヶ月は注意が必要です。
咳などがみられる場合は強心剤、利尿剤、降圧剤などを使用します。こちらの薬はフィラリアが消えても継続しなくてはならないケースが多いです。
重度のフィラリア症は駆虫に成功しても心不全は残ります。肺の血管の蛇行と炎症から咳が消えない犬も多いです。予防が簡単なのに対して治療はかなり面倒です。

予防

毎月一回、予防薬を飲ませるだけで簡単に予防できます。錠剤、顆粒、チュアブルと剤型も豊富。今年は背中に付ける薬も発売されました。年に1度注射をする薬もありますが副作用が強いので全ての犬にむくわけではありません。
重要なのはすでに感染している犬に予防薬を投与した場合重大な副作用が出るという点です。
死亡例もあります。毎年予防はしていても検査が必要なのはそのためです。
予防薬とはいいながらフィラリアの薬は、ミクロフィラリアの治療薬みたいなものです。1ヶ月に一回、寄生したフィラリアが成長する前に駆虫しているのです。よって内服終了してから蚊に刺されると感染は成立します。そこで、もう蚊に刺される心配がない という月を最終の投薬月と設定します。逆に、飲ませはじめるのは蚊が発生してからでも間に合います。10月の始めに投薬終了してしまいフィラリアに感染する犬が多くいるので注意しましょう。

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