自分の犬にはいつまでも、健康で長生きして欲しいですよね。
そこで重要なのが、病気の早期発見です。
今回は、病気の早期発見と健康状態のチェックもできる、犬の定期健康診断を特集します。
検査にはどんな項目があるのか?どれくらいの期間で行ったらよいのかなど、
獣医さんに伺いました。
1.検査について
<検査をする前に>
人では健康診断の前に絶食することが多いですが、犬猫での通常スクリーニング検査(スクリーニングとは広く浅く検査をしてどこか悪いところが無いかを拾う検査のこと)では絶食は指定されません。人のようにお酒も飲んだりしませんので、検査の前に「特にこれをしない」などというのはありません。
しかし、食後の時間帯によっては検査の数値に影響がでる項目も存在します。食後に高くなる数値としては中性脂肪が筆頭で、脂物を食べると数時間後には必ず上昇します。
通常の正常値は空腹時でのものですから、食後の高脂血症は誰しも当たり前なので、検査の数値が高い場合は食事の影響も考慮します。同様に血糖値やアンモニアも食事の時間により上下します。完璧を期すならば、12時間絶食となりますが、人間ドックのようにこの日と予約して検査に行くことは少ないですから、絶食を指示されることはありません。
<検査を受ける頻度と項目>
Q.検査を受ける頻度は?
特に気になる症状などがなければ、年に1度くらいの検査が一般的です。数値に異常項目があれば、半年に一度や数ヶ月に一度と検査の間隔を短くしていきます。
Q.検査を受ける頻度は?
基本的には、下記の6項目を受けておけばよいでしょう。
・ 一般的外貌の身体検査
・ 完全血球計算
・ 血液生化学検査
・ レントゲン検査
・ 尿検査
・ 便検査
この検査で、何が異常があれば、腹部エコー検査、胸部エコー検査、内視鏡検査などを行います。
<各検査項目の費用>
気になるのが、費用がどれ位かかるかですが、費用は病院により開きがあります。各動物病院で確認してみてください。
(参考)今回健康診断を受けたテッツ犬猫病院での価格はこちら↓
初診料 ¥1,050
尿遠心分離検査 ¥1,050
血液一般検査 ¥1,800
血液生化学検査 ¥3,700
レントゲン検査 ¥3,700
検便 ¥950
尿紙検査 ¥530
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計 ¥12,780−
2.実際に検査を受けてみよう〜血液検査1
実際に健康診断を受けてみよう!という事で、犬の病気Q&Aでもお馴染みの、テッツ犬猫病院で健康診断を受けてきました!
<今回検査を受ける犬のプロフィール>
名前:ムサシくん
種類:チワワ
性別:オス
年齢:4歳
病歴:引越しをきっかけにアトピーになったことがあるが、現在は完治。
心配な点など:歯磨きをさせてくれないコなので、歯が心配・・・。
<各検査項目>
・身体検査・・・
外見からの検査です。歩行状態、口腔疾患、眼、耳、皮膚、聴診による呼吸音、心音、腹部の触診など。特に特別な道具を必要としませんが、見た目のこの検査で病気の手がかりが見つかる事が多いです。
この検査は費用が安価で短時間で済みますので頻繁にやってもらってもよいでしょう。
(写真下コメント)歯、皮膚、耳等様々なところを見ていきます。ムサシくん、とっても嫌そうです(笑)。
・完全血球計算・・・
血球容積、赤血球数、白血球数、血小板数、ヘモグロビン濃度を計測します。
現在はフルオートの検査装置が多くの病院で導入されていて、血液1滴ほどで計測可能です。とても便利な機械ですが、猫では血小板の数値があまり信用できません。 採血をして、検査を行います。
(写真下コメント)採血をして、検査を行います。
3.実際に検査を受けてみよう〜血液検査2・尿検査・便検査
・血液生化学検査・・・
肝臓、腎臓、血糖値、などを広く浅く検査していきます。人の血液検査と同じです。
・血液生化学検査・・・
胸部では心臓の形と大きさ、肺の形やレントゲンの透過度、血管の太さ、気管の太さと位置などを観察します。
腹部は肝臓や腎臓、膀胱、脾臓、胃、腸などの臓器の位置とサイズから異常がないか確認します。
こんな感じで寝かせられて、レントゲンを撮っていきます。(写真は再現シーンです。)
寝かせられる時に激しく抵抗したため、口輪をはめられてしまいました・・・。
撮れたレントゲンはこんな感じ。臓器がくっきりと写っています。
・尿検査・・・
赤血球、白血球、尿蛋白、ビリルビン、尿糖などの量をメインに見ます。人用の検査機器ですと、それに加えてケトンやウロビリノーゲン、なども検査されます。見る数値としては尿の比重です。これで尿の濃度が分かります。遠心分離検査では尿結石や細胞を調べます。
〔尿の採取方法〕
飼い主さんが尿を取って、液体の状態で持参する場合が多いです。
以下の2つの方法のどちらかで尿を採取します。
☆排泄中に、きれいな容器に尿を受ける
☆室内トイレのペットシーツを裏返し、防水面で尿を受け止める
尿の採集には、注射器が便利で、病院でもらえます。棒の先にスポンジがついた尿採集専用の道具もありますので、それを利用してもよいでしょう。
無い場合は小さいビニール袋などでも検査可能です。
尿はなるべく新鮮なものがよいです。時間が経過すると尿のアルカリが増えて、本来ないはずの尿結石が析出して検査結果が悪く出ることもあります。
理想をいえば検査直前にとるのが一番ですが、6時間以内でしたらさほど悪い数値にはなりません。6時間以上の保存が必要な場合は冷蔵庫に保存します。
・便検査・・・
便の検査は直接顕微鏡で細菌、原虫類の有無、浮遊法で寄生虫卵の有無を調べます。
〔便の採取方法〕
トイレでしていたものを、そのまま拾ってください。乾燥すると検査ができませんので、前日のウンチはラップなどにくるんで硬くならないようにします。
4.検査結果と診断
検査結果は比較的すぐ出ます。(10分くらいしか待ちませんでした。)
ムサシくんの結果はこうなりました!
<検査結果>
◇体重…2.8kg
◇身体検査…乳歯の残存、歯石が溜まっている(中程度)。体が細い。(できれば乳歯は抜いた方がよい。歯磨きをすること。5歳になったら歯石除去を。痩せているので、3.2kgぐらいまで太らせた方が良い(+0.4kg)。
◇完全血球計算…総たんぱく値が低い。痩せすぎが原因? (今のところ大丈夫)
◇血液生化学検査…とくに異常なし
◇レントゲン検査…とくに異常なし
◇尿検査…尿が薄い。水をガブ飲みしている? (今のところ大丈夫)
◇便検査…とくに異常なし
(写真下コメント) 検査結果は一つ一つ紙にまとめられ、報告されます。
診断結果について飼い主さんの感想:
えーっ!!うちのコが痩せすぎ!?(2.8kg)・・・チワワにしては重い方だと思っていました・・・。これから、ごはんの量を増やします。
歯石は前から気になっていました。でも、全身麻酔をするのが怖くて・・・もう一度、歯磨きにチャレンジしてみます。乳歯の抜歯についても検討します。今日は、健康診断を受けて良かったです!!
<受けてよかった!健康診断での病気早期発見例>
口臭が気になるということで歯石を除去することになったオスのビーグル12歳。麻酔前に血液検査を行いました。
本人いたって元気で食欲も旺盛、やや肥満気味ということですが、肝炎をあらわすGPTが500ALP。GGTも高い数値を示しました。エコー検査を行うと胆嚢に胆泥が溜まっていました。
歯石除去を延期して肝臓の薬を服用開始。聞けばほとんど人間様の食事を一緒に食べているそうで、ドッグフードへの切り替えを指示。
2ヶ月後にはGPT,GGTともに正常値に落ち着き、胆泥の量も減少していき歯石の除去も無事に行えました。
グルメ犬の食いしん坊犬は肝炎を潜在的に患っている事が多いです。症状が出てからだと治すのも難しい場合があります。
このコはエコーで脂肪肝も確認されましたので、現在ダイエット中です。
軽くて持ち運びやすいペットキャリーです。前面と天面に扉がついた2ドアタイプ。【商品コード:P251123F】
上扉が付いているため、ペットの出し入れがラクラク!扉を収納してハウスとして使えます。【商品コード:P226404F】
いつも一緒におでかけできる軽くて丈夫なポリエステル製のキャリーです。【商品コード:P531365F】
最後に…
健康診断は、愛犬の健康状態が数値で分かるので、適切な健康に対するアドバイスを受ける事が出来ます。
もっと早く見つけられていれば・・・と後悔しない為にも、病気の早期発見が大切です。愛犬の為にも、年に一度健康診断を受けましょう。