排泄物でみる健康〜犬のうんち・おしっこチェック〜

犬のウンチやおしっこ(尿)といった排泄物は健康チェックのバロメーターになります。ウンチやおしっこの回数・量・色・臭いなどによって健康状態を確認することができますが、健康な時とどう異なるのでしょうか。異常が見られた時には動物病院で獣医師に診てもらいますが、普段から病気にかからないための健康チェックや対策をご紹介します。

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目次

犬のうんちやおしっこと言った排泄物は健康チェックのバロメーターとなります。
「ちゃんと出しているか」というのもこれまた大事な指標ですね。
「うんち」や「おしっこ」のどんな事に気をつければよいのでしょうか。

1.犬のうんちの回数について

<うんちの回数>
正常な排便の回数というのは特に決まりがありません。毎日3回以上うんちをする犬もいれば、1日1回の犬もいるでしょう。「何回だったら異常である」とは言い切れません。普段のうんちの回数と比較してどうなのかで判断します。

<回数が少なくなったら?>
回数が少なくなったからといって即便秘だとは言えません。排便ポーズをとっても便が出せなければ、便秘の疑いが強いです。食べないと便は出ません。食欲不振が続き、排便もなくなると便秘を心配する方が多いですが、便が出来てない場合も多いです。

<回数が多くなったら?>
消化率の悪いフードを食べていると、便の回数が増えます。特に肥満系のフードは食物繊維が多く、不消化物からウンチの量が大量になります。フードを消化率の良いものへ変更するとウンチも少なくなります。不安な場合は、動物病院にフードを持っていき、獣医師にチェックしてもらいましょう。

また、回数が増えるのは大腸で下痢になっている場合が多いです。大腸性の下痢の場合はゼリーの様な粘液便もよく見られます。出口に近いために出血が目立ちやすく、「血便だ!」と慌てがちですが、大腸性の下痢からの出血は大事には至らない事が多いです。頻繁に少量ずつうんちをしていれば下痢の場所は大腸の可能性が高いです。

一方で小腸性の下痢の場合は回数はあまり増えません。水様便になりやすく、一回に出る下痢の量も大量です。小腸で出血した場合は深刻な病気も多いです。この場合は黒色からケチャップをどす黒くしたような便になります。大腸の下痢の場合、犬の様子は普段とあまり変わりませんが、小腸性の下痢の場合は元気・食欲が消失することが多いです。

<排便ポーズをとっても出ない時>
便秘はもちろんですが、「しぶり」と言って大腸に炎症があって実際に便が溜まっていないのに便意だけを催す時も何度もポーズをとります。
便秘では前立腺や会陰ヘルニアなどが原因の場合もあります。慢性の場合は、動物病院で獣医師の診察や検査を受けた方がよいでしょう。

2.犬のうんちの色・量・臭い・硬さについて

<うんちの色>
正常なうんちは茶色です。赤ければ血便というのは誰でもわかりますが、黒くても血便の場合があります。胃からの出血ですと、どす黒くコールタールのような軟便になります。
ビーフジャーキーなどのオヤツには紅い色素をたっぷり使用したものも多く、これが便にまざり真っ赤なうんちになることもありますので要注意です。
決まったフードだけを与えていれば、うんちの色は毎回同じ色のうんちになり判断の目安になります。
オヤツや人のおかずを与えると毎日便の形や色は変化しますので見分けるのが困難です。

<うんちの臭い>
これも決まったフードだけを与えていれば同じ臭いになるはずです。
異常な時の特徴的な臭いとしては

・血液の臭い   ・硫黄の臭い

などが気付きやすいところです。

<うんちの量>
太くて適度な柔らかさのうんちを大量に出すと「快食快便」と思ってしまいます。しかし、実際はうんちの量が多いフードは消化率が悪かったり、混ぜ物でかさを増やしていたりする事が多いです。良質のフードは与えた量に比較して意外にうんちの量が少ないものです。
肥満犬用のフードが良い例で、カロリーを減らし、食べた気にさせるために嵩上げするのに大量に食物繊維が混ぜ込んであります。
このために肥満用フードはうんちが異常に大きくなります。うちの子は一般食なのにやたらうんちが太い!という場合はフードの質を見直してみるのも良いかもしれません。

<うんちの硬さ>
正常なうんちの硬さは処理をする際に、手でつかんでも形が崩れず地面にも汚れがほとんどつかない程度の硬さがある状態がよいとされています。
いつもより硬くコロコロとした便の場合、食事の量が少なかったり腸の病気で便秘の可能性があります。
一方、やわらかい便の場合は水分の取り過ぎやフードが愛犬に合っていないことが考えらます。その他にはストレスによって下痢になってしまうこともあります。
うんちの硬さに異常が見られた時には、原因を知り早めに対処できるようにしましょう。

<うんちに異常が見られたら 〜うんちに虫が入っていた!?〜>

愛犬のうんちに虫が出た場合、気持ち悪いのはわかりますが、出た現物を動物病院に持参しましょう。
出てくる虫は瓜実条虫(サナダムシ)が圧倒的に多いのですがこの虫、検便しても卵が糞の中に出てきません。検便では診断できないのが条虫類です。「こんな形でこんなに長くて・・・」と一生懸命説明されても回虫なのか条虫なのか判断しかねることが多いです。
虫が出たといってよくよく見たら実はエノキ茸だったりしたこともありますので。

3.犬のおしっこの回数について

うんちと同様、「ちゃんと出しているか」という事は大事なポイントですね。おしっこのどんな所に気を付け、どんなところを見ればよいのでしょうか?排尿と健康の関係を紐解いていきましょう。

<おしっこの回数>
「尿が出ない」と来院する方はとても多いです。膀胱炎になると炎症が刺激をする為、膀胱がカラッポの状態でも尿意をもよおします。人で言うところの残尿感と言うところでしょうか。実際、膀胱には尿は溜まっていないので出ませんが、そのポーズだけを繰り返し、数滴ずつチョンチョンと排尿します。
これがあたかも尿が詰まって出ないかのように飼い主には見えるのです。本人は何度もトイレに行きたくて大変ですが、そんなに危険はありません。膀胱炎が治れば回数も落ち着きます。

しかし、本当に出なくなる場合もあります。
雄は尿道が長い為、結石や膀胱炎で発生した血や細胞の屑などが尿道に閉塞することがあります。便秘で2週間うんちがでなくても死んだりはしませんが、尿が2〜3日出なくなると尿毒症ですぐにアウトです。
閉塞して24時間以内であれば問題ない範囲ですが、48時間だと多くは尿毒症の症状が出て危険な状態になっています。72時間出ないと半分は死にます。
胱炎でも閉塞してもトイレに何度も行くので、区別がちょっと難しいです。
閉塞した場合は見るからに苦しさが違います。「詰まったかな?」と思ったら当日か翌日までには病院へ行くようにしましょう。
雌は尿道が太いので閉塞することは滅多にありません。

4.犬のおしっこの色・臭い

<おしっこの臭い>
尿の臭いは分かりやすいものだと、糖尿病。特徴的な甘い匂いがする場合があります。また、血尿が酷いと鉄臭い血の匂いがする事もありますね。膀胱の麻痺が起きると尿が全部絞りきれず、膀胱内部で細菌が発酵して臭いが出ることもあります。

<おしっこの色>

●色が薄い方が危険!?
尿の色が薄く、たくさん排尿すると何となく調子が良さそうに見えるらしいですが、これは落とし穴。過剰に水分を摂取すると尿が薄くなるのは当たり前ですが、そうじゃない場合も多いです。
代表は腎不全。腎臓の機能が衰え、尿を濃縮することが出来なくなると薄い尿しか作れなくなり、大量に薄い尿を排泄します。水分がどんどん失われるので、喉が渇きたくさん水を欲しがります。

飼い主としては「水を飲むから尿がたくさん出るのだろう」と思うのですが、実際の仕組みは逆で、尿に水分を取られてしまうので水を飲まざるを得ないのです。この状態で余計な事を考え、「水を飲ませなければおしっこをしないだろう」と水分を制限すると、たちまち脱水をおこし体調は悪化します。実は、薄いおしっここそ要注意なのです。

●色が濃い
「尿の色が濃い」といって来院される飼い主さんは結構多いのです。しかし、色が濃いだけではあまり病気とは関係ありません。飲む水の量が少なければ必然的に尿は濃くなり、色も濃くなります。
たくさん運動した後などは、水分を呼気とともに出すので体液の量も少なくなり、筋肉からの色素も混じって余計に濃く見えます。このような場合は大抵元気なので、気にする必要はありません。

気をつけるのは黄疸の尿です。黄色といっても山吹色のような黄色になります。あきらかに黄色の色調が違く、ビールを濃くしたような色となります。怪しいと思ったら目の白目の部分を確認します。何となくでも黄色く見えたら黄疸ですので、即刻動物病院で獣医師に診てもらいましょう。
尿の普通は黄色ですが、膀胱炎やネギ中毒など、赤血球の破壊でも赤色尿になります。薄い出血の場合は赤に見えず、茶色に見える事が多いです。

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