肥満が原因で起こる病気

猫が太っていても、それが標準だと思っている飼い主さんはいませんか?
肥満は病気の原因にもなり、特に猫では生命に関わる場合も珍しくありません。
今回は肥満が原因でおこる病気についてみていきましょう。

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目次

    肥満が原因で起こる病気

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    猫が太っていても、それが標準だと思っている飼い主さんはいませんか?
    肥満は病気の原因にもなり、特に猫では生命に関わる場合も珍しくありません。
    今回は肥満が原因でおこる病気についてみていきましょう。

    1.どこからが肥満?

    <肥満の見分け方>

    ◆体重で見分ける
    通常の猫ではオスが5.5kg、メスで3.8kg位が限度です。体格の大小はありますが(メインクーンなどの大型猫を除けば)この数字を越えたら肥満かもしれません。

    ◆脂肪の厚さで見分ける
    肋骨(あばらぼね)を外から触ってみる方法が、簡易的方法としてよく用いられています。肋骨を触ってみて、コリコリと感触があり「これが骨だな」とわかればセーフ。肋骨の位置がよくわからない場合は肥満の可能性があります。

    猫の肥満を見た目で判断して、そう間違いはないと思いますが、獣医さんに肥満だと言われて「うちの子はデブじゃない!」と怒る飼い主さんもいます。飼い主さんの主観が入ってしまうのですね。

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    <こんな飼い方が猫を肥満にする!>

    ◆置き餌
    一番の原因は“置き餌”。いつでもお皿に山盛りのキャットフードが置いてあるので、猫はちょっと食べて休み、ちょっと食べてまた休み…と1日中食い放題。これが1番の太る原因です。1日に摂取してよいカロリーを測り、その分だけキャットフードを置くのは問題ありませんが、制限無しの食い放題はいけません。

    ◆多頭飼育の場合は要注意!
    多頭飼育の猫は争って食べる傾向にあり、置き餌でさらに肥満になりやすいです。複数の猫が居る場合は、猫によって食べる量が違うので、たくさん食べる猫が他の猫の餌まで食べてしまいどんどん太る場合があります。

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    2.肥満で増加する病気(1)脂肪肝・肝硬変・心筋症

    ◆脂肪肝・肝硬変
    肥満の猫で多い病気としては脂肪肝です。過剰な脂肪は肝細胞の内部まで入り込み、やがて肝細胞は脂肪と置き換わってしまいます。この状態を脂肪肝といいますが、ほとんどの猫は無症状です。血液検査をしても異常値にならずに見過ごされる場合も多いです。肝臓はグリコーゲンという栄養を貯蔵していて、1〜2週間全く食べないような状況でも肝臓からグリコーゲンを放出するために健康な猫では問題は起きません。
    しかし、脂肪肝の猫ではこのグリコーゲン放出ができない場合があります。なんらかの病気にかかって1週間ほど食べられない状況になった場合、見た目では栄養の貯金がありそうな、太った猫の方が案外簡単に死んでしまう事が多いです。

    脂肪肝が進むと肝細胞は脂肪になり、肝臓を支える支持組織だけになり肝臓は小さく萎縮して固くなっていきます。これを肝硬変と呼びます。こうなると末期症状でほとんど回復する事はありません。
    また肝硬変に至らなくても脂肪肝の猫は肝リピドーシスという急性肝炎を起こして短期のうちに死亡することがよくあります。

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    ◆心筋症
    多量の脂肪は心臓にかなりの負担をかけます。心筋症は、通常は無症状ですが突然後ろ足を痛がり、1〜2日のうちに死亡するという病気で、猫では最も苦しい病気の1つです。肥満の猫は心筋症にかかる率が高くなります。
    1度心筋症にかかると完治する手段はなく、支持療法(※)のみになりますので、薬も生涯飲み続けなくてはいけません。肥満だけが心筋症の原因ではありませんが、やはり過度の肥満には注意が必要です。
    (※支持療法とは病気の根本的な治療ではなく、その症状を改善するだけの治療のこと)

    3.肥満で増加する病気(2)糖尿・椎間板ヘルニア

    ◆糖尿病
    昔、猫は犬ほど糖尿病にはならないと言われていました。しかし現在は犬よりも猫の方が糖尿病罹患率が高くなっているかもしれません。糖尿病にかかる猫の多くは極度の肥満です。7kgを越えるとかなり確率が高くなるようです。人と違って猫はインスリンでの血糖コントロールが難しく、血糖値を安定させるのが非常に難しいです。
    生涯インスリンを注射するわけですが、多くの猫はインスリンを必要としてから2年で亡くなってしまいます。猫エイズなどよりも怖い病気です。昔より糖尿病の猫が増えた要因は肥満の猫が増えたからだと言えるでしょう。

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    ◆椎間板ヘルニア
    過度の体重は背骨に対する負担も増加しますので椎間板ヘルニアになる場合があります。犬に比較すると猫の椎間板疾患は非常に少ない病気ですが、肥満猫では増加傾向にあります。

    4.猫のダイエット方法

    肥満にさせないためのポイントは、食事の管理につきます。運動しても猫は痩せません。もともと基礎代謝が大きい動物なので、多少の運動では体重を減らすほどのカロリー消費にはなりません。

    <正しい食事の量は?>
    現在肥満の状態で6.5kgの体重があったとすると、フードのパッケージに表示されている6.5kg体重の給餌量を与えるのは間違いです。理想的と思われる体重での給餌量を与えるのが正解です。

    <減量する場合の食事の量は?>
    もし減量しなくてはいけない場合、理想体重の給餌量のさらに20%少ない量を与えます。かなり少ない量になってしまうので、空腹のために猫がねだり続ける事も多いです。この場合は肥満専用フードを使用すると、量を食べても満腹感が得られやすいです。
    動物病院では超低カロリーフードなども扱っていますので、一般の肥満用フードでもまだ満腹にならない場合は相談してみるとよいでしょう。

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    最後に…
    肥満はさまざまな病気の原因になることがわかりました。この機会に、あなたの愛猫が肥満になっていないかどうか、チェックしてみましょう。もしも肥満だった場合は、おやつや食事の量を上手に調節して、減量してあげましょう。猫は、自分で食事の量を調節することができないので、飼い主さんがしっかり管理することが大切です。

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