犬の副腎皮質機能亢進症(クッシングシンドローム)

副腎皮質ホルモンが過剰に分泌されるため、脱毛や肝臓の腫大などの症状を引き起こす病気です。犬に脱毛症状が見られても、食欲はあるので気にかけない飼い主さんがほとんどですが、突然死することもある危険な病気です。

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目次

原因

副腎皮質ホルモンが過剰に分泌されることが原因です。過剰に分泌される理由は、以下の3つのパターンがあります。

1.下垂体性クッシング

脳下垂体に腫瘍ができ、副腎皮質を刺激するホルモン(ACTH)が多量に作られ、副腎皮質ホルモンが多量に作られる。

2.副腎腫瘍性クッシング

副腎皮質に腫瘍ができ、たくさんのホルモンを分泌する。

3.医原性クッシング

副腎皮質ホルモンの過剰摂取(外用薬でも起きる)。

症状

1.左右対称の脱毛

多くの場合、頭部としっぽを除き毛が薄い、もしくは無い状態になります(脱毛の見られないパターンもあります)。免疫が低下するため、慢性の皮膚炎をおこすことも多いです。副腎皮質の亢進だけでは痒みはでませんが、二次感染により、真菌、アカラス、アレルギー、細菌感染などで痒みが併発する事が多いです。

2.食欲亢進・喉の渇き

やたら食べたがり、喉が渇くようになります。

3.筋肉はやせているのにお腹だけ出ている

脱毛と同時に肝臓も悪くなります。脂肪と、肝臓にできた腫瘍が大きくなり腹部がぽっこりと膨らみタル状の体型になります。

診断

血液検査で診断しますが、手間と時間がかかります。2〜3日入院し、犬が病院に慣れてから、ストレスのかからない状況で朝9時に採血。すぐにACTHという薬を注射して2時間後にまた採血。ACTHの注射前と後のコルチゾール(ホルモンの一種)の値で診断します。これですべて診断できるわけではなく、次はデキサメサゾンという薬を注射してまた検査…という具合に何度も採血と検査が必要です。

治療

副腎皮質ホルモンの産正を抑制する薬を投与します。現在2種類の薬があり(OPDDD、ケトコナゾール)、どちらも大変高額です。そのため、すべての病院に治療薬があるわけではありません。また、高額の治療費がネックになり、治療の途中でドロップアウトしてしまう飼い主さんがかなり多いです。

治療開始の当初は毎日内服し、副腎皮質ホルモンの抑制が見られたら、あとは1週間に1〜2回の内服でOK。内服後2ヵ月ほどで徐々に発毛しはじめる場合が多いです。発毛しても投薬を止めるとまた再発します。また、OPDDDで治療していても突然死亡する例はあります。

予防

予防の方法はありません。手遅れになる前に早めに診断して治療するしかありません。

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