感染経路
ウイルスは感染したネコの血液中や脳脊髄液、唾液に存在し、主にケンカの咬傷により唾液を介して感染すると考えられています。
感染例のうち、外出ネコと室内飼いのネコを比較すると圧倒的に外出ネコに多く、また雄ネコは雌ネコの2倍以上と報告されています。
また、感染した母ネコから生まれた子ネコは、(100%感染するわけではありませんが)感染の可能性は高いです。
症状
病期は以下の5つのステージに分かれます。
- 1.急性期
- 感染後2週以降に見られ、1〜2ヶ月持続します。この時期にあわせて抗体検査が陽性になります。発熱、リンパ節腫大、下痢、白血球減少症などが現れますが、はっきりしないこともあります。
- 2.無症状キャリアー
- 急性期の症状が消失する時期で、持続期間は2〜4年くらいです。
無症状であっても抗体やウイルスは陽性です。 - 3.持続性全身性リンパ節腫大
- 全身のリンパ節の腫脹がみられますが、この期間は2〜4ヶ月と短いため見逃されることが多くあります。
- 4.AIDS関連症候群
- 全身のリンパ節腫脹の他、数々の慢性の病気(口内炎、呼吸器・消化管・皮膚疾患)が起こります。
通常1年程続きますが、長期間この状態のまま生存するネコもいます。 - 5.後天性免疫不全症候群
- 重度の削痩(やせる)、貧血、悪性腫瘍、日和見感染症など。
特徴的な疾患としては、いずれも慢性的な口内炎、呼吸器感染、皮膚や耳の感染などです。
またダニや回虫の寄生や、真菌の感染も併発し、猫伝染性腹膜炎も起こりやすいと言われています。
腫瘍は消化器型リンパ腫をはじめ、多くの悪性腫瘍が認められています。
おおむね感染から死亡までの平均期間は5年、また(5)の段階まで症状が進むと余命1〜2ヶ月と言われています。
診断
血液検査によって抗体価を調べ、感染の有無を検査できますが、感染して1ヶ月以内の時は抗体価がまだあがっていないことがあり、そのときには検査しても分かりません。
また、感染した母ネコから生まれた子ネコが生後6ヶ月以内の場合には、母親からの移行抗体が残っている可能性があり、検査したときに疑陽性と判定されることがあります。
治療
ウイルスに対する治療はなく、現在起こっている疾患に対する治療でしかありません。
感染に対しては主にインターフェロンや抗生剤が使用されます。
予防
残念ながら現在予防するためのワクチンはなく、感染すると治療方法もありません。
外に出なければ感染しない病気なので、外に出さないで室内で飼ってあげるのが一番の予防です。
ウイルス自体はネコの体外では非常に不安定で、室温で数時間しか感染力は持続せず、太陽光線、熱などで容易に感染力を失います。