下痢の症状
下痢を起こす疾患は、腸内の分泌過剰、透過性の変化、蠕動運動の亢進によって、水分量の増加を起こします。
腸は主に小腸で消化、吸収、分泌を行い、大腸はほぼ水分吸収のみ行います。
よって小腸性の下痢では症状も重く、小腸で過剰に分泌された水分を大腸が吸収しきれずに下痢になります。
大腸性の下痢では水分の吸収能の低下によって下痢はおこります。大腸の粘液が下痢と一緒に出る事が多く、ゼリー状の便になったり鮮血を伴ったりもします。
ペットが下痢をした場合、お家で観察するポイント
・下痢の回数(一回に大量か、何回もしぶるなど)
・性状(水っぽい、粘液状など)
・色(血が混じる、黄色い、白いなど)
・吐き気はあるのか
・最近、変わったものを食べたか?
たんなる消化不良の場合、食事を一回抜き、腸を休めることによって治る場合もあり
ますが、抵抗力のない仔猫の場合は、生命に関わることも多いので病院へ行きましょう。また検便で原因がわかることも多いので、糞便を持参したほうが確定診断への近道です。
下痢の原因
下痢の原因にはウィルス性、細菌性などいくつかの要因が挙げられます。
- 1.ウィルス
- ・パルボウイルス
ウィルス性の下痢では比較的頻繁に見られ激しい嘔吐と下痢を伴います。死率の高い最も恐ろしい伝染病です。
・ジステンパーウイルス
下痢の他、目やにや鼻水、神経症状も現れます。 - 2.細菌
- ・カンピロバクター
下痢をしていない猫にも小量見られる場合があります。顕微鏡で観察すると他の菌に比べてかなり動き回るコイル状の細菌です。螺旋菌群をひっくるめてカンピロと言ってしまう傾向が業界にあるのでかならずしもカンピロでない場合があります。
・サルモネラ
食中毒で有名な菌です。血清型により毒性もさまざまです。
・大腸菌
こちらは普通にも腸内にいる細菌ですが、中にはO−157のように毒性の強いものもあります。細菌による下痢は人に感染する可能性もあります。その他細菌性の下痢は数知れず多く存在します。 - 3.寄生虫
- 回虫、条虫、鞭虫など大型の寄生虫や、ジアルジア、コクシジウム等原虫といわれる 小型のものまでたくさんあります。成猫よりも子猫で多く見られます。
- 4.自律神経のアンバランス
- 強い恐怖やストレスなどで腸の蠕動や分泌が亢進、もしくは減退するために下痢になります。
- 5.その他
- ・腫瘍
高齢のペットに多く、小腸のリンパ腫、や腺癌など。人間とちがって、大腸がんは比較的少ないです。年寄り慢性の下痢は要注意です。
治療
下痢の治療としてはまず、原因となる疾患の治療が第一。
それにに加えて、重度の下痢によっておこる脱水や電解質の補正が必要になる場合があります。また、荒れた腸粘膜を保護するお薬や、腸の動きを整えるお薬などを必要に応じて投与することもあります。小腸性の下痢をしている時は粘膜のバリアが弱くなっているのでかなり大きな蛋白(ペプチド)まで体内に捕りこまれます。よって小腸性の下痢をしているときに食べたものが食時性アレルゲンとなってしまう危険性が非常に高いです。
人間で下痢におかゆというのはあながち間違いではないようですね。粥であれば、アレルゲンになる可能性は低いと思われます。まれに猫が下痢をしたからと正露丸を飲ませる飼い主がいますが絶対ダメ!中毒を起こす事があります。