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猫の肝疾患

肝疾患を理解するにはまず、肝臓はどんな働きをしているのか、簡単に述べたいと思います。

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目次

働き

1.栄養素の取り込み、合成、貯蔵
小腸で吸収したブドウ糖、アミノ酸、脂質などの栄養素は、腸管と肝臓を結ぶ門脈という血管を通って、肝臓に入って行きます。
例えば、肉や魚から摂取したタンパク質は、一旦小腸でアミノ酸まで分解し、門脈から入った肝臓で再び自分の蛋白質へと作り替えて筋肉、皮膚、血液など、自分の体を作っていきます。
グルコースなどの糖質も必要以上の量をとった場合に、グリコーゲンという形に変えて蓄えておき、いざというときの為のエネルギーとして蓄えられます。食事をたべなくても血糖値を維持できるのはこのグリコーゲンを分解し、グルコースを補給しているためなのです。
2.薬物、有害物の分解、解毒
肝臓は、小腸から吸収された毒物、薬物の分解をします。例えば、蛋白質の分解産物であるアンモニアは、そのままでは神経症状などを引き起こす大変な毒物です。これを無毒の尿素というものに分解し、おしっことして体外へと排出します。アンモニアのほか、お酒などのアルコールも肝臓で分解されて、尿中に排泄されます。お薬などでも肝臓で代謝されて初めて、効果を表すものもあります。
3.血液に関与
血液を凝固させる因子や、赤血球の表面を覆う材料も肝臓で合成。破壊された赤血球の残骸(ビリルビン)も肝臓で取り込まれ胆汁中に排泄されます。
4.消化液の分泌
肝臓で合成されたコレステロールをもとに消化液を作り、胆汁として腸内に分泌します。胆汁は脂肪の消化、吸収に使われます。

肝疾患の種類と症状

肝疾患の指標としているのは血液中のALT(GPT)やAST(GOT)、ALKP、LDH5、などの数値の上昇が見られると「肝臓がわるい」となります。これらは肝細胞の中にある酵素なのですが、細胞が障害をうけるとそこから漏れ出してくるため、肝疾患の指標としているわけです。数字が高いほど、広範囲にやられていたり、より障害が重度だったりします。肝障害が軽度のうちは無症状ですが進行すると吐気、下痢、食欲不振、黄疸など様々な症状となってあらわれます。
さらに長期にわたって肝臓がダメージをうけると、再生しきれなくなった肝細胞が線維に置き換わってしまうことがあります。これを肝硬変といい、肝臓が機能しなくなる状態、すなわち肝機能不全を伴います。これは非常に重傷です。肝機能不全では血液中の蛋白の低下、アンモニアの上昇、非再生性の貧血、重度の削痩、血糖値の低下など、非常に危険な状態になります。

原因

1.食生活
一般的な慢性肝炎の原因としては、普段の食生活によるものが圧倒的に多いです。自家で調理した肉、魚主体のフードや半生フードの食べ過ぎなどで慢性肝炎になる例が多いです。肥満も要因のひとつ。
2.ウィルスや細菌、毒物
ウイルスでは猫伝染性腹膜炎に伴う肝炎、高率に黄疸がみられます。総胆管から細菌が感染して胆管炎、胆管肝炎になる場合もあります。
3.肝腫瘍
猫で白血病陽性の場合、肝腫瘍が結構あります。肝細胞が腫瘍細胞に置き換わり、最終的に肝機能不全となります。
4.先天性の奇形
肝臓に行くべき門脈が、肝臓を通らずにそのまま心臓へとバイパスを作ってしまう 門脈シャントという病気があります。若い個体に多く、肝機能不全の症状がでます。これは手術で助かる場合もあります。
5.猫の肝リピドーシス
デブ猫の肝臓は勿論、脂肪だらけ、まともな働きをしません。耳介が黄色い、白目が黄色いなど黄疸がでます。
6.肝硬変(肝繊維症)
肝炎の最終段階で肝細胞がなくなって繊維細胞に置き換わってしまった状態。肝機能は不全状態で骨と皮だけのような外見を示すものが多い。治癒しません。漢方薬で幾分延命が可能です。

診断

血液検査で診断可能です。ALT(GPT) ALP(GOT) bil 等の上昇がみられます。alb、 BUNの低下、NH3の上昇,非再生性の貧血 総胆汁酸の上昇等が認められたら肝機能不全です。肝硬変の疑いも強い。エコー診断に適しています。肝臓にできた腫瘍はなかなかレントゲンでは写りませんがエコーではよく見つかります。肝硬変の診断もできる場合もあり。胆嚢もレントゲンには写らないのでエコーが重要。胆道の太さまででてきます。
腫瘍の確定診断は実物の細胞をとらないと出来ません。お腹をあけてサンプルを取り出す、エコーで見ながら針でさして吸引(これが難しいです)等で腫瘍細胞をとりだし病理検査により診断します。門脈シャントの診断はさらにやっかいです。開腹手術で門脈にカテーテルを設置し、一度お腹を閉じて、カテーテルより造影剤を注入しながらレントゲン撮影。手術室にもレントゲンが欲しくなる検査です。手術はもっとやっかいですが。

以上肝臓の病気を浅く、広くひろってみました。

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