前回の「害虫予防」でお伝えしたとおり、野菜の栽培にはまず害虫が寄り付きにくい環境を作って株を丈夫に育て、害虫が発生する前に予防策を講じることがもっとも大切です。それでもやっぱり害虫が発生してしまったら、初期段階でいち早く適切な駆除をすることが大切です。
今回は、害虫駆除のための薬剤の散布方法や注意すべき点を学びましょう。
1.薬剤を使うときの注意
1.薄め液を作る
作業はゴム手袋をはめて行い、水和剤は小さじで、乳剤の原液はボトルのキャップや計量カップできちんと計量し、適切な量の水で薄めよく混ぜます。
2.適切な服装をし、防護しましょう
長袖の上着、めがね、マスク、ゴム手袋、長靴などを着用して下さい。
また、葉裏に散布する際は手で直接めくるのではなく、棒などを使って上手く散布しましょう。
3.噴霧器の扱い
水和剤や乳剤は、噴霧器を利用して散布します。
使用後は薬液をきれいに洗い流します。まずタンク内をよく水洗いし、再びタンク内に水を入れノズルから水を出してノズル内もよく洗います。その後ノズルやその他部品をはずして、目詰まりのないようによく水洗いしましょう。
4.近隣への配慮
薬剤がターゲットの野菜以外の場所へ飛散することを避けるため、散布する際は風のない穏やかな日を選び、近隣に危険が及ばないように十分に注意しましょう。
2.水和剤・乳剤の使い方
水和剤や乳剤などの液体の薬剤は、葉や茎など目に見える部分に発生する害虫に効果があります。
必要な量は、その野菜によってさまざまですが、キュウリ、トマトなどの果菜類では1株につき100〜200cc、キャベツハクサイなどの葉菜類では30〜50ccが適当でしょう。
散布は、噴霧器の圧力を十分にかけて害虫の発生しているところをねらってその部位を重点的に行います。
ポイントは、葉全体がしっとりとまんべんなく細かい霧状の水滴で覆われるくらいに散布することです。しずくが流れ落ちるほど散布すると、逆に付着しないので適度にまきましょう。
また、アブラムシ・ダニ類などは世代交代が早く、1回の散布では効果が現れにくいので4〜5日ごとに合計2〜3回は散布が必要です。
3.粒剤の使い方
粒状の薬剤は、浸透性の薬剤で土中や根の表面、茎や葉の内部に寄生する害虫や、アブラムシなどの予防に効果があります。
基本的に苗の植え付け前に元肥を散布した後その上にばらまいて土に混ぜておいたり、生育初期の株のまわりに点々とばらまいて使用します。
前者を行う場合は、元肥の上に薬剤をまいた後3〜5cm土をかぶせてから種まきや植え付けをしましょう。
また、ナメクジなどの誘引薬剤はナメクジが活動する夜間に、被害の出た株付近の地面に置いてひっかかるのを待ちます。
<土に混ぜ込む場合>
<株のまわりにばらまく場合>
ワンポイント
【散布後の注意】
薬剤は危険物です。取り扱う際と同様に、使用後や保管の際も以下のことを守って厳重に取り扱いましょう。
・作業後はすぐに下着まで着替え、散布作業時に着た服はその都度きちんと洗濯しましょう。
・散布後は、手足をよく洗ってうがいをし、十分な休息をとりましょう。
・使い残しがある場合、ボトルなどの栓はよく閉め、袋などは密閉し冷暗所で保管する。
・子供の手の届かないところへ保管する。
・噴霧器は、使用後すぐに完全にきれいになるまで洗浄する。(管理が行き届いていないと傷みやすくなります。)
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