今回は、いま注目されている「コンパニオンプランツ(共生植物)」を使った病害虫の予防法をご紹介します。

「コンパニオンプランツ」とは?
一緒に植えると、「お互いによい影響を与え合う組み合わせ」の植物を「コンパニオンプランツ」といいます。
主な効果は、
(1)植物の持つ香りや分泌液で病害虫を寄せ付けにくくする。
(2)天敵となる昆虫を呼び寄せて害虫を駆除する。
(3)生育を促進させる。
(4)風味がよくなる。
などが見られます。
しかし、「コンパニオンプランツ」には、昔からの経験をいい伝えてきたものが多く、科学的な根拠がはっきりしていないものが多くあります。劇的な効果は得られないことをふまえたうえで、取り入れてみてください。
「農薬」とは?
「コンパニオンプランツ」の対極にある「農薬」。
「農薬」と聞くと、「キケンなもの」「害のあるもの」「化学物質」というイメージが浮かびませんか。しかし農薬登録の認可を受けるには、さまざまな試験をおこない、使用量や使用回数、使用する期間が決められ、安全性が確認されているものだけが認可されるのです。
「コンパニオンプランツ」では、「農薬」ような劇的な殺虫効果は得ることができません。
「農薬」は、人間の薬と同じように「適正な量」と「使用方法」を守れば、危険なものではありません。適正な薬を選んで正しく使用することが大切なのです。
どんな「コンパニオンプランツ」を使うと、どんな効果が得られるのか?
主な「コンパニオンプランツ」には、多くのハーブがあります。ハーブには、よい香りを持つものが多く、この香りが害虫を防ぐと言われています。最近ではいろいろなハーブが、ホームセンターなどでも売られているので、比較的入手のしやすいものを取り上げてみました。
マリーゴールド
【効果】
●香りや分泌液で害虫を防ぐ
(センチュウ、コナジラミ)
【効果の見られる野菜】
ダイコン、ニンジン、トマト、キュウリ、イチゴ
ローズマリー
【効果】
●香りや分泌液で害虫を防ぐ
(モンシロチョウ、ヨトウムシ)
【効果の見られる野菜】
キャベツ、ニンジン、マメ
カモミール
【効果】
●害虫の天敵を呼び寄せて駆除する
害虫:モンシロチョウ、アブラムシ
天敵:テントウムシ
●生育を促進する、風味が良くなる
【効果の見られる野菜】
キャベツ、ハクサイ、タマネギ
コリアンダー
【効果】
●香りや分泌液で害虫を防ぐ
(アブラムシ、コナガ)
【効果の見られる野菜】
キャベツ、レタス、トマト
セージ
【効果】
●香りや分泌液で害虫を防ぐ
(モンシロチョウ)
●風味が良くなる
【効果の見られる野菜】
キャベツ、ニンジン、トマト
ミント類
【効果】
●香りや分泌液で害虫を防ぐ
(害虫一般)
【効果の見られる野菜】
キャベツ、ニンジン、トマト
タイム
【効果】
●香りや分泌液で害虫を防ぐ
(害虫一般)
【効果の見られる野菜】
キャベツ
ボリジ
【効果】
●害虫の天敵を呼び寄せて駆除する
害虫:モンシロチョウ
天敵:ミツバチ
●ハチを呼び受粉を助ける
【効果の見られる野菜】
イチゴ、トマト、マメ
レモンバーム
【効果】
●ハチを呼び受粉を助ける
【効果の見られる野菜】
トマト
バジル
【効果】
●香りや分泌液で害虫を防ぐ
(コナジラミ、アブラムシ)
●生育を促進する、風味が良くなる
【効果の見られる野菜】
トマト
チャイブ
【効果】
●香りや分泌液で害虫を防ぐ
(ウドンコ病、モザイク病、萎縮病)
●おとりになって防ぐ
(アブラムシ)
【効果の見られる野菜】
キャベツ、トウモロコシ
デイル
【効果】
●害虫の天敵を呼び寄せて駆除する
害虫:アブラムシ
天敵:アブ、カゲロウ
●生育を促進する、風味が良くなる
【効果の見られる野菜】
キャベツ、トウモロコシ
ナスタチウム
【効果】
●香りや分泌液で害虫を防ぐ
(コナジラミ、アブラムシ)
【効果の見られる野菜】
トマト、キャベツ、マメ、ナス、キュウリ
「コンパニオンプランツ」を上手に使うコツは?
「コンパニオンプランツ」は、植物同士を一緒に植えることで、効果が得られます。ですから、それぞれの植物が、元気に育つ環境を作ってあげなければなりません。栽培条件が似ている植物を選べば、より効果が得られるのです。
・日光(日当たりを好むもの、日陰を好むもの)
・土(栽培に適した酸性度がおなじもの)
・水やり(水を多く必要とするもの、必要としないもの)
・肥料(肥料を多く必要とするもの、必要としないもの)
花の時期や、葉の色、草丈などを考えると、いろんな組み合わせができます。見た目も楽しめる寄せ植えで、季節に合わせた栽培プランを考えてみましょう。
あなたのキッチンガーデンでも、「コンパニオンプランツ」を取り入れて、おいしく食べて安心な野菜づくりにチャレンジしてみませんか?