秋バラの季節です。今年は夏の暑さが過酷だったので、9月の時点で、一体全体この後どうなることかと思っていましたが、秋が来て、元気に咲いてくれる花を見ると安堵し、自然の恵みに対して心から感謝したいような気持ちです。
秋バラとの出会い
秋バラとの出会い。それは、初夏のバラとは違った表情の、秋バラならではの、独特な姿と出会うことで、バラへの認識や好みが変わる時でもあります。
また、一言で秋に咲くバラといっても、10月〜12月まで、その開花時期も様々ですから、自分の庭でそのバラと付き合ってみなければわかりません。
友人の庭で満開のメアリーローズに対して、我が家のラプソディーインブルーはまだ小さな蕾ですし、夏にかなり葉を落としてしまった品種は、体力の回復にまだ時間を要す模様。
メアリーローズ
返り咲き性のイングリッシュローズ。樹型のバランスが美しく、花数も多いのが魅力。
しかし、少なくとも、今の時点で美しくたくさんの花を付けている品種は、やはり、かなり丈夫な品種と言えそうです。
花の色や形だけで庭に植えるバラを決めるのではなく、「とにかく丈夫で、よく咲く品種を植えたい」と思うのが、この時なのかもしれません。
秋バラの主役は、ピンクのバラ?
そして、秋バラ探索をしていくと、ピンクのバラはやはり丈夫な品種が多いようです。強い色彩を放ち、その丈夫な存在感に圧倒されます。
基本的に私が好きなバラは、淡い色や抑えた色調のバラなのですが、元気に花をつけてくれる品種を優先したいのは、庭のデザインの基本です。
アンヌボレイン
四季咲き性のイングリッシュローズ。
もちろん花つきが良く、咲き始めると本当に華やか。
強いピンクのバラは、緑色の葉っぱの色彩とのカラーコントラストもかなり強いので、周囲の植物との調和が難しい。
それでも、組み合わせ次第で素敵に見える方法はあるはず。
濃いピンクの花のある庭を優雅な世界にするのは、ガーデナーの手腕次第です。
うらら
四季咲きのフロリバンダ。丈夫でよく咲く強健種。
この派手なショッキングピンク色を上手に活かして庭を作りたい。
「こんなきついピンクの花は好きではなかったけれど、こうしてみると素敵なものね」
そんな感想をいただける庭作りを目指したいと思うのです。
エメラルドグリーンのアンティークな門扉に濃いピンクのコスモスがぴったり。これがバラでも素敵になりそう。丈夫なクライミングローズのアンジェラなども、こんな色彩のトレリスに似合うのかもしれません。
クライミングローズ アンジェラ
もちろん秋バラは濃いピンクのバラばかりではありません。
今我が家で咲いている、繰り返し咲きのツルバラ“ソンブロイユ”はクリーム色ですが、花数は少ないものの、相変わらずびっしりと花弁をつけています。
友人の庭ではアイスバーグが満開。淡いクリーム色からピンクの濃淡が優しい “サリーホームズ”も立派な房咲きで存在感があります。
ソンブロイユ
繰り返し咲きのクライミングローズ。
クリーム色の豪華な花を咲かせる。
アイスバーグ(シュネービッチェン)
四季咲きのフロリバンダ。房咲きで庭を華やかに彩る強健種。
別名のシュネービッチェンは、白雪姫の意味。
ゴールデンボーダー
花持ちのよい、四季咲きのモダンシュラブローズ。私は、この葉っぱの美しさに魅了された。
エグランタイン(マサコ)
返り咲き性のイングリッシュローズ。
とても丈夫で香りが強いのも魅力。
バラのある秋を楽しむ
これから12月まで、しばらく初夏のような派手さはないかもしれないけれど、バラを楽しむ季節が続きます。ヤブ蚊ともお別れ。
時の経つのも忘れて庭仕事に没頭したい時期です。
そして、今の時期は、秋に美しく咲くバラを品定めするにうってつけ。
もちろん初夏のバラこそが、最盛期ではありますが、開花後、気温の上昇に伴い花期の短くなる5月のバラに比べ、気温が下がってからの秋のバラは花期が長いのも魅力。
秋の夕日に映える、暖色のバラの花のある暮らし。
ぜひともゆっくりと楽しみたいですね。
秋の紅葉とバラの花色が調和することを考えて、四季咲き性ミニバラのテディベア。花もちが良い。
吉谷桂子さんプロフィール
東京生まれ。英国園芸研究家、ガーデン&プロダクトデザイナー。
7年間の英国滞在経験を生かした、ガーデンライフを提案。
TV番組や雑誌等での企画、出演、講師を務める。
また、国際バラとガーデニングショウや東京ミッドタウンのコンランレストラン「Botanica」の植栽デザインを担当。
「吉谷桂子のコンテナガーデニング」(主婦の友社)他、著書多数。
著書紹介