
お花が無くても少なくても心安らぐ庭はありますし、ガーデングッズや雑貨を飾らなくても、素敵な庭にすることはできると思います。どこのホームセンターにでもあるようなありふれたお花でも美しい庭は作れると考えています。
華やかなバラやブランド品種のお花ばかり注目されがちですが、昔から親しまれている平凡なお花たちもそれぞれに美しく、またそれらは一年草であっても丈夫で花期が長いものが多く、育ててみると長く愛され続けてきたのが納得できる素敵なお花ばかりです。そういうお花や植物たちが生き生きと育ち、見直されるような庭にしていきたいと思っています。
南の庭
「南の庭」です。長方形の長い庭が単調にならないよう、かつ、植栽による圧迫感や狭さを感じさせないように、芝生、飛び石、レンガ敷き部分の形、トピアリー、 花壇の配置を、視線が先へ先へと行くように工夫しています。また、コニファーの色や高さに変化を持たせたり、ところどころに中の庭が見える部分を作り、外からも楽しめるようにしています。 天使像は、ここに座って十数年間、このあたりでも被害が出た福岡西方沖地震の時も倒れることなく、ずっとこのうさぎガーデンを見守ってくれています。
東の庭
「東の庭」は、ローメンテナンスのためにできるだけしっかり作り込んだ「南の庭」とは 少し雰囲気の違う、花と野菜とハーブのポタジェガーデンです。
野菜は続けて植えると連作障害が出て、同じ場所には植えられないものが多いので、「東の庭」の風景は、毎年変わります。全く同じ風景は二度とないと言ってもいいです。毎年手を入れることになるため、おのずと東の庭に関わる時間も長くなります。日々、時間ごとに変化する裏山の風景を借景にした、緑あふれる東の庭は少し雑然とはしていますが、自然の力に満ちていて、居心地の良い心安らぐ場所となっています。
モッコウバラは、借景である裏山が望めるように、あまり大きすぎない高さに仕立てています。ジャーマンアイリスは、特に珍しくない品種でも、まとめ植えすると思わぬ美しさを発揮します。
うさぎガーデンには、自分で植えた100本以上の木がありますが、木の成長と共に、その根っこが花や野菜を植える上で影響が出てきてしまいました。しかし、数年前から40℃越えが当たり前となったうさぎガーデンに、木陰はなくてはならないもの。 西洋ノコギリソウなどのハーブや、丈夫で木の根元でも育つものを植えるようにしています。
東南の庭
「東南の庭」です。 長く手つかずの状態が続いていましたが、庭から出てきた石を使って 中央に小道を作ってからは一気に整備が進みました。多年草や球根植物などの お花中心の庭となっています。
小道には昔からある夏の定番のお花、ポーチュラカを毎年植えています。混色で賑やかに植えるのもポーチュラカらしくて楽しいと思います。
大切な花
このミモザは結婚記念日に植えたもので、とても大切に育ててきました。 3つの庭のちょうど境にあり、どの庭からも望むことができます。お花はリースやスワッグを作って自宅で楽しむだけでなく、毎年まだ雪の残る北国の友人にも送って喜ばれています。趣味で作っているものですが、リース作りは私のライフワークとも言えるものです。 庭の植物が大きくなり、今では材料のほとんどを庭から調達できるようになりました。 リースに使える植物は意外に多いことがわかってから、ガーデニングがさらに楽しくなりました。
「南の庭」のユキヤナギは、ここに植えてもう19年目を迎え、春の景色に欠かせないものになりました。亡くなった母が育てていたものなので、ウン十年も前から延々と子孫をつないでいる ことになります。毎年満開になると花の前で家族そろって記念撮影をしています。 アガパンサスも母が遺してくれた大切なお花で、毎年たくさん増えるので、株分けをして「南の庭」以外にも植えるようになりました。人が亡くなっても、いろいろな形で命をつないで植物は生き続けていくということは、ほんとうに感慨深いものがあります。
ご近所から数本の切り花ををいただいて挿し木した時には、アナベルが こんなにも大株になるとは思いませんでした。強健な上に花期も長く、 グリーンから白そしてまたモスグリーンへと変化していくお花がうっとりするほど 美しいので、さらに挿し木して増やし、今では庭のあちこちに植えています。 アナベルが咲くころ、ユリや西洋ニンジンボクの花も次々に咲いて うっとうしい梅雨を爽やかにしてくれます。
アプローチ〜外回り
アプローチにはパンジーを植えることが多いのですが、毎年色や植え方を 変えて楽しんでいます。流木の植木鉢を置いてビオラなどを植えるようになってから、春の玄関前がとても華やかになりました。 中が空洞の流木は根っこの方を上にして埋め込んであります。
玄関前花壇は、さまざまな形や葉色の植物でお花がない時期も楽しめるようにしています。
木が多いうさぎガーデン、夏はいっそう緑が濃くなります。その緑に映えるように、 夏のお花はできるだけ赤や黄色のはっきりした色のお花を植えるようにしています。
北の通路では、友人が、かき氷のいちごミルクみたいだと言う濃いピンクに白が混じった色のサルスベリ 「夏祭り」が咲きます。 南の外回りではランタナや宿根琉球朝顔が夏から秋まで長く咲きつづけます。
世界観を楽しむ
「妖精のおうち」になっている流木。 ガーデンニングブログで作り方が紹介された「妖精の扉」を参考に、流木に直接扉を彫りました。小さな扉一つで、庭にまた別の世界が広がっていくことに驚いています。 庭に流木を使うようになったのは、海が近い環境ということもありますが、ガーデングッズ代わりに庭のアクセントにしたいと 考えたから。レンガ敷きの面積が けっこう広いので、流木などの自然のものがあると庭が温かい感じになる気がします。
「絵本の森」と名付けて、現実の森とは違うけれど、絵本の中には出てきそうな森をイメージした少し可愛いらしい感じの花壇。丸い葉は紫キャベツで、結実して収穫できたら一石二鳥と、カラーリーフ代わりに植えました。リスさんの周りには、今年は 寒さに強いカルーナや葉色が美しいヒューケラなどを植えています。最近取り付けた手作りの赤いプレートは、遠くの友人からのプレゼント。このフレーズがとても気に入っています。 「TO PLANT A GARDEN IS TO BELIEVE IN TOMORROW」
秋の庭
寒い地方に比べて暖かいうさぎガーデンでは、あまりはっきりした木々の紅葉などは見ることができません。
なので、赤く紅葉するコキアや、葉色が緑から黄色、そして茶色におしゃれに変化するシラン、それから雑草扱いであまり庭には植えられることはないお花ですが、濃いピンクの花穂が可愛くて夏の終わりから晩秋まで咲き続けるオオベニタデなどをたくさん植えて季節感を感じることができるようにしています。
お花がだんだん少なくなって寂しくなる秋冬の庭を彩るのはトピアリーに仕立てたピラカンサ。赤や黄色の実が色づくと野鳥たちもやってきます。トピアリーは、家を建てた時に記念にと園芸店で買ったひとつがきっかけで、その後、ピラカンサ、ツゲ、ギンモクセイ、カイヅカなどで、次々に自分で作るようになりました。動物や鳥が主ですが、中には大きな芋虫さんなんてものも。レンガ敷きに落ちるトピアリーたちの影や、夕日が沈む頃のシルエットもまた庭を楽しくしています。
プロフィール
うさぎさん
- 住まい
- 一戸建て
- ガーデニング歴
- 19年
- お気に入りの植物
- ユリ、アガパンサス、アナベル、オオベニタデ、ダルマギク、シラン、ゼラニウム、ミモザ、ユキヤナギ、ブルーアイス、八重山乙女、レモン、アンズ、オリーブ など
- ホームページ
- 座敷わらし犬とうさぎガーデン
編集部より
100本以上になる木々をはじめ、地形や環境に合わせた植栽への工夫に感心しました。思いを込めて大切に育てられたたくさんの植物たちは生き生きと育ち、あたたかな雰囲気を作りだしています。ごく普通のありふれた草花にも魅力を見い出したり、菜園や果樹での収穫を楽しんだり・・・日々の暮らしの中で自然とガーデニングに親しむ姿勢も素敵です。手作りのリースや、トピアリーの可愛らしさ、絵本の中をイメージした花壇などにも心惹かれました。ガーデナーの愛情がたっぷりと詰まった素敵なお庭づくりを、これからも楽しく続けてくださいね。