それはある夕餉のことでした。
食卓にはマイタケがでん!と。その年の初ものです。
「わーい、初もの!」、「去年より10日くらい遅いかも」、「でも今年も食べられてよかったねー」まずはみんなでひと盛り上がり。わが家の初ものの食卓のお決まりパターンです。
いつもなら、そのままパクリ!といくところ、その日はちょっと違いました。
それは婆ちゃん。突然、楽しそうに笑いだしました。正直ね、それがとっても変だったのです。だって、笑い声は「へっへっほー!」。
でも実は、どうやらそれが婆ちゃん流初ものの食し方。
なんでも婆ちゃんのおじさんが、初ものを食べるときに必ずそう笑ってみんなを笑わせていたんだとか。
みんなでよくその真似をしたんだよー、とか、そのおじさんにちなんで、初もののある日を「へっへっほーの日」とまで呼んでいたとか、婆ちゃんはあれこれいろいろ教えてくれました。
どうして今までそのことを隠してきたかは知らないけれど、そこまで気合いをいれて元気に笑うと、はじめはびっくりするけれど、だんだんと、初ものの喜びもひとしお、楽しさも倍増な気分になってきます。なにより、ちょっとかわいいかも。
さて、頃は新年。お正月。
これから一年ひたすらに、初ものに出会うたびに「へっへっほー」と笑ったら、さて、一年で何回「へっへっほー」と笑えるだろう。
そう思ったらわくわくします。
そして、毎日が「へっへっほー」と笑えるような、そんな一年になりますように、そんな風にも思っています。
新年、明けましておめでとうございます。
婆ちゃんのへっへっほー
頃は新年。お正月。初ものに出会い、まずは家族みんなでひと盛り上がり。すると婆ちゃんが突然、楽しそうに笑いだしました。正直ね、それがとっても変だったのです。

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