
家と庭との繋がり、家庭でのエピソードひとつひとつがその絆を強めると信じて、家族みんなで育てている庭です。我が『CHIRO庭』は東南角の恵まれた好立地にあり、家を囲む各スペースを楽しむため、日当たり、プライバシー確保、家との繋がり方などふまえ、独自の工夫を凝らしました。ダイニング横はハーブやベリーのコーナー。東側は半日陰の植物をメインに寄せ植え制作スペースを設け、ベルギーストーンで小径を作りました。南側は植物の色彩を二通りに分け、小径を挟み自然になじむようにしています。また、道行く人から見える部分は印象的な植物や目を引く色調、リビングに臨む部分は落ち着いた優しい色調にし、西向きの玄関は常緑の爽やかなシルバーリーフの中低木で目隠しを。試行錯誤しながら、暮らしや身の丈にあったガーデニングを楽しんでいます。
春の訪れ
毎年約束通り、春を知らせてくれるクリスマスローズ・バレンタイングリーン。この時期、ひときわ目を引く小さなイリスポーリンの江戸紫色。イギリスで一面に咲く姿に一目惚れしてCHIRO庭に仲間入りしました。木柵に絡む夏咲きのクレマチスは枯れ草から新芽が伸び始め、これからの季節に備えています。その脇で可愛らしくも強かなヘレボルスが「私を見て」と最高の笑顔を見せています。
東側道路に面したお気に入りの場所。プライバシーを守りつつも程よい抜け感。実は以前ここから不法侵入が・・・そこで立地条件を生かしつつ植栽した結果こうなりました。クレマチスの絡む木柵、剪定を繰り返し株立ちのような枝振りにしたユーカリ、シンプルなオベリスク、そしてアンティークの馬車の車輪・・・結果良ければ、です。白花エニシダは花も葉も、四季を通して美しくスッとした姿がいい。外壁の穴からもCHIRO庭がこっそりのぞけます。
緑、爽やかに
CHIRO庭のシンボルツリーはユーカリ。生育旺盛で強剪定に耐えます。剪定は息子たちの担当です。No.2のシンボルツリーはイギリスナラ。住宅地の一角で、緑爽やかに。ユーカリとイギリスナラの共演はCHIRO庭のオリジナルです。玄関前のスモークツリーは落ち着いた渋い葉色です。
四季を通して楽しめるジューンベリー。ユーカリ、イギリスナラに続きCHIRO庭では大きな存在です。この春も大豊作!!生で、ジャムにして、焼き菓子に入れて堪能しました。でも、楽しいことばかりではありません。カメムシが大発生した年もあり、家族が口に出来ないことも・・・。庭と共にある生活はいいことばかりとは限りません。鳥たちが集まってジューンベリーを食べている姿を窓辺から見るのも、なかなかいいものですけど。
晩夏、CHIRO庭が杏仁豆腐のような甘い香りに包まれるクレマチスマキシモウィッシアナ香白。秋には花後のお楽しみ♪可愛い果球。この形がたまらなく好きです。
色を楽しむ
いつからだろう。CHIRO庭には橙色、赤紫色、朱色など暖色がたくさん。アンティークレンガの立水栓のミニバラティディーベア。木塀に誘引したハニーサックルロニセラゴールドフレーム。鉢植えのバラ カーデュナルドリシュリュー。オリエンタルな雰囲気のシャクヤク 二ッポンビューティー。
CHIRO庭の愛すべきリーフたち。リーフの美しさを大いに楽しんでいます。腰を下ろしてじっくり見れば、多様な色彩と形状、質感。もう、ただただ素晴らしい!の一言です。
初夏から夏、CHIROの好きなアキレアが咲きました。まずは花姿が好き。暑さに負けず凛と立つ、淡く爽やか、控えめなアキレア。それから庭をかっこ良くまとめてくれる情熱のカンナちゃん。
夏から秋まで繰り返し咲き続けるレウコフィラム、一年中美しいシルバーリーフは優等生です。スプレーマムやサルビアレウカンサは寄せ植えで大きく生長したものを色彩と環境を考えてここに植え込みました。自立しない植物には支柱を立て、横に渡した麻ひもを隠す為に手前にも植物を植えます。秋が深まる中、次々とマムの蕾が開いていきます。
季節によってレギュラー以外の植え替えをする南向きレイズドベッド。葉の形状と質感や枝振りの組み合わせを考慮した植栽。華やかさは無いがリズムがある『大人の植栽』。
CHIRO庭の基本は秋色。中でも明度・彩度ともに低い暖色がメインです。重くなりがちな配色はバランスを見て不調和の色彩を入れ込んでいく。バランスが大切です。
鮮やかな紅葉
プライベートな空間にあるさびさびのアンティークテールは寄せ植え制作を行なう作業スペース。冷たい空気に触れ色鮮やかになっていく黄葉したジューンベリー。ミセバヤの紅葉は冬がそこまで来ていることを知らせます。
玄関前、鉢植えのスモークツリーの紅葉は周りの葉色とのコントラストでとってもきれい!東側の植栽の紅葉は照明の効果もあって一層鮮やかに。冬の空気が紅葉のエンディングを華やかに演出しています。クリスマスが近づくと我が家にもイルミネーションが。三角屋根はこのイルミネーションがしたくて設計から計画したもの。単色に拘ったシンプルなイルミネーションは家族の自慢です。夜の街に我が家の輪郭が浮かび上がります。
自宅で楽しむ寄せ植え
寄せ植え作家として活動しています。ありがとう、いってらっしゃい、おかえりなさい、元気を出して・・・など、メッセージを伝える手段として。または元気、癒し、モダン、和・・・など、色の効果でイメージを表現する『形』として寄せ植えを制作することが多いです。自分の世界観を寄せ植えで作り上げ、飾っています。
オリエンタルな印象のハンギングは葉物だけで仕上げました。ベニシダレモミジとヒューケラなどを苔でまとめた和の寄せ植えは、外壁の前へ。色を重ねて作り上げた塗り壁は植物を引き立てる為のこだわりです。
冬は玄関前の寄せ植えが殺風景にならないように演出します。葉ボタンを使ったカラフルな大人パレット、ダルトーンの渋みを効かせて・・・。
CHIRO流・門松の寄せ植えは我が家の定番。クリスマスから年末年始まで長く楽しむよう工夫して制作しています。3方向から見れることもポイントです。角のある鉢を使い和モダンに。自宅の寄せ植えは限られた鉢で用途に合わせて使います。この鉢は門松寄せ植え用。松の内が過ぎると竹を外しシンメトリーの寄せ植えに。
万人受けではありませんが渋くてかっこいい色が好みです。黒色や茶色などのくすんだ色を選ぶことが多いです。好きな色に囲まれる、そこにCHIROの拘りがあるのかもしれません。
プロフィール
CHIROさん
- 住まい
- 一戸建て
- ガーデニング歴
- 10年
- お気に入りの植物
- たくさんあって選べません(汗)。芽吹きや蕾からの開花直後にドキッとしたもの全てが私のお気に入りです。
- ホームページ
- CHIROのお庭しごと
編集部より
家族同士の繋がりが庭を育て、庭がその絆を強めていく・・・そんな思いを大切にしているCHIROさん。暮らす側だけでなく、外側から道行く人も楽しめるようにする、そんな視点も素敵だなぁと思いました。全体のバランスの良さはもちろん、各スペースの環境に合わせた設計も見事です。コンテナガーデニングマスター、ハンギングバスケットマスター、グリーンアドバイザー、色彩コーディネーターといった資格を持ち、寄せ植え作家としても活動中であるCHIROさん。そのセンスが存分に発揮され、表情豊かなお庭になっています。