
変形した土地のため小さく分断されていた細切れの庭を、視点を変え、少しずつテーマ性のある庭へと造り変えてきました。アプローチガーデン、フォレストガーデン、デッキ、プライベートガーデン、シェードガーデン、クリスマスローズの小道、パーキング、道路側花壇・・・15年の月日をかけて、8つのそれぞれ表情の異なる庭が出来上がりました。和洋にこだわらず中間的で曖昧なテイストを目指し、木から下草まですべて自分で選んで植栽した、どの場所も思い入れのある、私にとってたった一つの庭です。木や草花を育てることの愉しさ、そこから受ける癒しと生きる力・・・日々心穏やかに庭仕事ができることに感謝しながら、これからも終わりのない庭造りをのんびり続けていけたらと思っています。
アプローチ、フォレストガーデン
西洋ブナ・プルプレア、メリアンサス・マヨール、ネムノキ・サマーチョコレート、グミ・ギルドエッジ、ツルアジサイ、ツバキ・ナイトライダー、花笠など、緑でいっぱいのアプローチ。夏に向けて、外壁が隠れるほど生長します。 その他、黒葉のカジカエデやスモークツリー・ロイヤルパープル、黄金葉のイギリスナラ・コンコルディアやスモークツリー・ゴールデンスピリット、西洋カシワ・ピンオーク、紅葉スモモ・システィナなど、大好きなカラーリーフの木で構成されています。 アプローチの入り口とステップのレンガの隙間から生えている大好きなワイルドオーツは繁殖力旺盛ですが、ナチュラル感たっぷりで、秋までずっと楽しめます。
春、アプローチガーデンの入り口にはバイカウツギ・ベルエトワールが枝垂れ咲き芳香を漂わせ、階段を上るとコガクウツギ花笠の白い花があふれるほど咲き乱れます。スモークツリーの株下では楚々とした原種グラジオラス・ピュアベールが花の重みで倒れるほどに一斉に咲きだします。そしてフォレストガーデンにも木陰で透き通るような美しい花のシャクナゲ・フィリスコーンがひっそりと咲き始めます。初夏に近づくにつれてガーデンは緑濃い瑞々しい森へと変化していきます。この時季が一番好きな季節です。
forestgardenと呼んでいる、森のような鬱蒼としたエリア。小さいながらもたくさんの雑木と低灌木で構成されたメインガーデンです。この小さな森を抜けるとデッキがあるりオープンスペース、さらに奥にはプライベートガーデンへ続きます。
アメリカハナズオウ・シルバークラウド、フォレストパンシー、ハートオブゴールド、ツリバナ、ジューンベリー、ニセアカシア・フリーシア、エゴノキ、シラキ、アブラチャン、マルバノキ、ソヨゴ、ツノハシバミ、アロニア、ニオイトサミズキ、シマトネリコ、西洋ハシバミ・プルプレア、アオダモ、ヤマアジサイ、アナベル、カシワバアジサイ・・・まだまだたくさんの低灌木が植わっています。
ユリやアジサイはどんよりと曇った日や雨降りの日にとても美しく映える花です。ジャスミンホワイトプリンセスがいい具合にパーゴラを覆い尽くし強い日差しを優しく遮ります。個性的なレイシェステリアの花が咲きだしました。梅雨の時季はいつも以上にしっとりと落ち着いたガーデンになります。真夏でも木漏れ日が柔らかく差し込むのでホッとできる小さな森です。
駐車場脇の奥行き20センチほどの狭いスペースの花壇ですが、午前中日当たりがよいせいか結構花が咲いてくれます。黒花アイリス、シレネ・ディオイカ、ニューサイラン、銅葉カンナ、ベンケイソウ、八重咲きヘメロカリス、ルドベキア・チェリーブランデー、ユウギリソウ・パープレア、宿根ヒマワリなどなど、個性的でインパクトのある花を植えています。
道路側花壇は、道行く人に楽しんでもらえるように風を感じるナチュラルガーデンのような優しい雰囲気の植栽を意識しています。それぞれがしっかりテーマを持っています。
プライベートガーデン
構想一年、このプライベートガーデンが昨年ようやく完成しました。ペイブメントにはヨーロッパの石畳で使われていたベルギーストーンを。レイズドベッドに使った苔の生えた古びたレンガと喧嘩することなく、お互いを引き立て合う感じになりました。隙間にはいろいろな這性のグランドカバーの植物を植え込み、どれが生き残るか時間をかけて見守っています。
木は、繊細な株立ちのコハウチワカエデ、極細のツリバナとヤマモミジ、山採りのドウダンツツジを入れました。大好きな片流れの樹形が風にそよぐ姿はとても風情があって大満足です。このベンチに座ってぼんやりするのが至福の時間です。 不要になったレンガで、シェードガーデンの小道も作りました。ここを歩くと森林浴をしている気分になります。
山野草から珍しい個性的な植物まで、自分の中でテーマを決めて、それぞれに合った植物を植えるようにしています。調和がとれているようないないような・・・でも全体でみるとそれなりにバランスがとれている、そんな完璧でない崩れ感のある庭が好きな気がします。和と洋の融合・・・というか、実は好きなものを好き勝手に植えているだけのことですが・・・。左から、テリハノイバラ、チベットソバ、ヘメロカリス、シャグマハギ。
アオツヅラフジのマットな黒味がかった青い実、白花マンジュシャゲ、マンリョウ・紅孔雀・・・庭に少しずつ秋の気配が漂う季節。秋の終わりには木々も色づき、冬に近づきます。
春に向けて
年末にはいくつも作るクリスマスリース。瑞々しい緑を見ていると新しい年への期待や希望のような感覚がふつふつと湧いてきます。 黒のビオラとリーフばかりの寄せ植え。春にはこの中からグリーンがかった八重の白いチューリップ・ホワイトタッチが咲き出します。楽しみだわ〜?
ゲートの先には2年前に造った「クリスマスローズの小道」があります。たくさん鉢で育てていたものをこの小道に下ろしました。こだわって探した好きな花ばかりです。突き当りを右に曲がるとシェードガーデンがあります。そしてプライベートガーデン→デッキ→フォレストガーデン→アプローチガーデン→パーキングと狭いながらも一周できるようになっています。
部屋の中では造形的な美しさのアマリリス・パピリオが咲き、庭では春を告げるニオイウチワノキの白い花と、キブシとダンコウバイの黄色の花が咲き始め、いよいよ待ちに待った春の訪れです。またワクワクする季節がやってきました・・・。
プロフィール
vivikoさん
- 住まい
- 一戸建て
- ガーデニング歴
- 15年
- お気に入りの植物
- 樹木、低灌木、カラーリーフ、山野草、クリスマスローズ、
ヤマアジサイ、 - ホームページ
- 木漏れ日の庭からU
編集部より
まるで森の中に入り込んだような、ナチュラルな雰囲気が魅力のvivikoさんのお庭。鬱蒼としたフォレストガーデン、くつろぎのデッキガーデン、石畳のプライベートガーデン、密やかな気配に包まれたレンガの小道など、それぞれ異なる表情の風景を、テーマに沿って作りあげたそうです。可憐な花や、木々の隙間から差し込む柔らかな光、優しくて繊細なイメージのガーデンになっています。
今年もまた、緑いっぱいの瑞々しい季節の訪れが楽しみですね。