原因
高いところから落ちたというのが一般的です。
飼い主さんが犬を抱いていて、犬が地面に飛び降りての骨折というのが多いです。
症状
・跛行:足や骨盤の骨折でよくみられます。
・腫れや陥没:折れて曲がったり、出血や炎症性の滲出液などによります。
・骨折痛:骨折部を動かしたり圧迫すると鋭い痛みがあります。
・異常可動性:骨折部位によっては正常とは異なる動きをすることがありますが、必ず見られとは限りません。
・捻髪音:完全骨折(ポッキリと折れていること)の場合に折れた両端が摩擦して発する音。
診断
・症状から 診断
・触診
・X線検査
治療
骨折治療は骨片を正常の位置に整復した後、骨片の移動を防ぐ固定法をほどこして自然治癒を待ちます。
骨の整復と固定はなるべく早く行うべきで、処置が遅れると筋肉が硬くなったり腫れたりするために骨片が触知しにくく、整復が困難になります。さらに、骨折部の腫脹解消を待っていると骨片が不正に癒合し、処置がいっそう複雑になります。
・外固定:ギプス包帯、添え木のようなものを使った固定。
・創外固定:骨折片に皮膚の上から何本かピンを通し、これらを皮膚外で連結して固定する方法。
・骨接合:骨に金属のプレートをあてがい、直接ネジを打ち込んで固定する方法。
・髄内ピン:骨髄腔(骨の中)にピンを打ち込んで固定します。
・ワイヤー(針金):折れた部分を針金で一周巻いてギリギリと締め上げます。
合併症
・感染:とくに開放骨折(皮膚も損傷し、この傷と骨の損傷が通じている)で骨折部に感染が多くみられ、全身に広がることもあります。感染が骨髄に及ぶと化膿性骨髄炎が起こり、骨折の治癒遅延などがおこります。
・皮膚の損傷:開放骨折で起こり、また骨折部を覆う皮膚が皮下剥離や皮下血腫のため二次的に壊死をおこし、結果として皮下骨折が開放性骨折になる事があります。
・筋肉の損傷:開放骨折で起こります。
・血管の損傷:骨折部付近での血腫形成のほか、太い動脈が損傷を受けた場合、患部の蒼白化・冷却・広範囲の壊死などがみられることがあります。
・神経の損傷:神経の挫傷によって起こります。脊椎の骨折では脊髄が損傷を受けやすく、後躯麻痺が起こります。
・脂肪塞栓:稀に骨髄が損傷され、脂肪が静脈に入り肺に達して広範囲の小動脈・毛細血管に塞栓を生じることがあります。
・外傷性皮下気腫:空気を含む器官(肺など)が骨折によって損傷されたとき、皮下に空気が漏れて皮膚がふくれることがあります。
・発熱:数日内に消失します。