猫の熱中症とは
熱中症とは暑さにより体温調節が出来なくなる機能障害のことです。
人間の場合は気温26℃以上、湿度90%から厳重警戒という指針があります。
猫の体温も気温や湿度の上昇につれて上がりますが、健康であれば体の調節機能が働き、体温を一定に保つことができます。ところが気温が体温より高く、湿度で熱の発散効率が下がると体温調節がうまくいかなくなってしまいます。そうなると体温の上昇が押さえらなくなり、症状が重くなると脳や内臓に大きなダメージを受けてしまいます。
猫の汗腺は犬と同じく肉球の回りにあるだけで、汗で体温を下げることが出来ません。熱中症は風のない、熱気のこもった室内で起こるケースが多く、室内で飼われることの多い猫は注意が必要となります。 窓を開けて風通しをよくしたり、エアコン(冷房)や扇風機などを活用し、熱中症の対策をしましょう。
熱中症の症状
◆熱中症になると、なんとなく元気がなく、平常時に比べ呼吸がやや早くなるといった症状がでます。
症状が進むと犬のように口を開け、舌を出した激しい呼吸になります。
◆酸欠によるチアノーゼや全身のけいれん


◆目や口の中の粘膜が充血し始め、体に触れると普段より明らかに体温が熱いと感じます。
(猫の平熱は38℃くらい・異常時になると40℃を超えます。)
足元のふらつき
◆ふらついて歩けなくなったり、嘔吐や下痢などの症状が起こる場合もあったりします。また痙攣が起こり、意識がもうろうとして声をかけても反応しなくなります。
さらに症状が進むと、血圧が低下して舌や口の中など粘膜が紫色に変わり、体温が下がらなければ臓器が損傷を受け、命が危うくなります。
熱中症を起こしやすい猫
◆ペルシャ、エキゾチックショートヘア、 スコティッシュフォールドなどの鼻が低い品種
◆脂肪を蓄えやすく放熱効率が低いアメリカンショートヘアや被毛の厚い長毛品種
◆老猫、仔猫、手術や怪我などで療養中の猫、心臓や呼吸器に疾患のある猫、肥満の猫
熱中症になりやすい条件
熱中症が起こりやすい条件として
・前日との気温差が大きい
・気温は高くなくとも湿度が高い
・室温と屋外との温度差が大き過ぎる
などがあります。


また熱中症になってしまうケースとして
・留守中の室内が高温になって、猫の体を冷やす手立てがなかった
・ケージの中で飲み水がなくなってしまったり、長時間尿意を我慢していた
・ガレージや物置など、入り込んでいた場所に閉じ込められてしまった
・高齢だったり体が弱っているなどで、急激な温度変化についていけなかった
・冬のアンダーコートが残っていて体が蒸れ、熱を発散できなかった
このような例があります。
みなさんの愛猫は大丈夫かどうか、十分確認をしてください。
熱中症を防ぐには
熱中症を防ぐために毛量の多い猫は、ブラッシングでアンダーコートを取り除き通気を良くしてあげてください。
ボリュームダウンとして毛を刈る方法もありますが、この場合は動物病院で獣医師と充分相談してください。
ブラッシングで風通しをよくします。
猫を家(室内)に残して外出する場合は、必ず涼がとれる場所・環境を確保してあげてください。網戸にする場合は猫が破って逃走する場合もあるので注意が必要です。
熱中症予防として猫をケージに入れておくときは予備の水を用意し、保冷剤やアルミプレートのグッズを活用しましょう。
網戸にしたり窓を開けておくことは防犯上好ましくありませんし、網戸は猫が破って逃走する場合もあります。 南と西側の壁面をよしずやサンシェード、つる性の植物で被い、壁が熱をもたないよう防ぐのも冷房効率が良くなります。
外出の前に、室内外ともに猫が入り込みそうな場所はチェックしてください。ガレージ、倉庫、物置などは、よその猫が潜んでいる場合もあります。
猫をケージに入れておく場合は予備の水を用意します。スペースに余裕があればアルミプレートやアイスジェルマットなどを敷いたり、凍ったペットボトルを数本並べて置くと、そこで涼むことができます。
夏場はまれに、落雷による停電が発生する恐れがあり、エアコン(冷房)や扇風機が止まってしまう可能性があります。 長時間留守にする場合は注意が必要です。
猫とともに出かける場合はキャリーやカートの通気を良くし、中に布に包んだ保冷剤を入れたり、アイスジェルマットを敷いてあげてください。
車に乗せる場合は、直射日光が当たらないよう配慮し、エアコン(冷房)の冷気が循環しているか確認してください。車から離れる際も、決して猫を車内に残さないでください。エアコン(冷房)をかけたまま置いて行くのは、もってのほかです。
熱中症になってしまったときの対応
熱中症になってしまった時には保冷剤や氷で頭部と頸動脈、わき、そけい部を冷やし、濡れタオルで全身を拭くなどして体温を下げ、呼吸がスムーズにできるよう首の向きを正します。水が飲めるようであれば飲ませてあげましょう。
ぐったりして水が飲めない場合は無理に飲ませず、むせないよう布やコットンに含ませた水で舌を湿らす程度にします。
濡れタオルで体を拭く
頭と動脈のある部分を重点的に冷やす
猫は先祖が砂漠地帯の出身なため水浴びをする習慣がなく、ほとんどの猫は体がずぶ濡れになることをとても嫌います。犬の場合は緊急時にそのまま水を浴びせて体温を下げても大丈夫ですが、猫を同様に扱うとショック症状を起こす危険がありますので、扱いに注意してください。
熱中症になってしまった場合は応急処置の間に動物病院へ連絡を入れ、搬送方法など獣医師の指示に従ってください。すぐに回復するような軽症であっても、内臓にダメージを受けている可能性もありますので、必ず動物病院で診察を受けるようにしてください。
最後に...
熱中症は不測の事態とは言いがたく、飼い主の配慮で防ぐことが可能です。自分だけは大丈夫だと過信せず、猫の健康状態を常にチェックして、今年の夏も元気に乗り切ってくださいね。
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