原因
細菌感染や尿路結石症によるものが主です。
<細菌感染>
細菌感染は解剖学的にオス犬よりも尿道の長さが短いメス犬での発生が多く、外部から尿道を経て膀胱に細菌が侵入することで起こります。動物の体には自浄作用があるので健康な体内に細菌が侵入してもすぐに感染するわけではありませんが、飲水量が少なかったり、長時間膀胱内に尿が貯まっているような状況が感染を手伝っていたり、下痢や皮膚病など他の疾病のストレスが背景となっていることもあります。
<尿路結石>
尿路結石症は尿中の成分が結晶化して、これがチクチクと膀胱を刺激して炎症を起こしたり、さらに大きな結石となって尿路中に留まる可能性があります。野菜を常食する食習慣が尿路結石症の一因として考えられています。
犬の尿結石は細菌感染が引き金になっている事も多いです。
<その他>
その他、外傷や腫瘍の発生によって膀胱が傷つけられて起きる場合もあります。
症状
見た目に赤い「血尿」をハッキリ確認できればわかりやすいのですが、その前兆としてトイレに頻繁に行ったり、陰部を気にして舐めていたりなどの行動が見られます。傷んだ膀胱には尿が貯め辛くなるので1回の排尿量が少なく、排泄の姿勢を何度もとることから「便秘なのではではないか」と感じられることもしばしば。進行すると腹部の圧痛や排尿時の痛みなどが顕著になります。
結石が原因の膀胱炎では尿路が詰まってしまう危険を伴います。解剖学的にメス犬より尿道が細いオス犬では、この尿路閉塞に十分な注意が必要になります。オシッコがきちんと出ているかどうかを確認しましょう。
診断
・尿検査
赤色尿でも血尿とは限らず、溶血が原因の色素尿である場合もあります。やはり確定診断には尿検査が必要です。特に結石が原因かどうかの判定が重要になります。
治療
・抗生物質の投与
抗生物質で細菌感染を抑えると排尿の回数は減少し、血尿症状も改善します。
・食事療法
結石が見つかった場合は、その種類を特定して食事療法での管理を行います。尿路結石症は動物の体質に依存しているため食事管理は生涯必要になる場合が多いです。