犬の耳血腫

耳血腫とは、耳介(耳たぶ)が内出血を起こし膨れ上がる状態を言います。餃子のような外観になるので、「ギョーザ耳」なんて呼ばれることもあります。

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目次

原因

耳介は皮膚と軟骨により形成されています。通常の皮膚に比較すると軟骨と皮膚の接着が弱いため、出血があった場合、内部に大量の血液が溜まる事が多いです。

<出血の原因は物理的刺激が多い>
外耳炎が起こり、その痒みから耳を引っ掻き過ぎたり、頭を激しく振る事による物理的刺激が原因となることが多いです。頭を振った場合、耳介の大きな犬ほど遠心力で大きな力が加わるため、耳が大きく、垂れている犬に耳血腫はよく見られます。ラブラドールレトリバー、ゴールデンレトリバー、ビーグル、マスティフ、バセットハウンドなど。これらの犬では外耳炎を放置すると耳血腫を起こす事が多いです。

<物理的刺激以外の原因>
しかし、大した外部刺激が無いのに耳介内部で出血を起こし耳血腫になる犬も一部では存在します。これらは免疫が介在していると予想されています。自己免疫疾患による突発性血小板減少症から耳血腫を起こす例などもあり、耳だけに病気が限定できません。

症状

外耳炎から続発するものが多いので、以下の症状が現れます。

1.耳を痒がり、頭をよく振る
2.耳が非常に腫れる(素人でも確認可能)

腫れた内部は血液の場合がほとんどですので、触った感じは波動感を伴います。痛がるよりも痒がる場合が多く、頭を振ったり脚で掻いたりしてますます悪化します。治癒しても、元のキレイな耳の形に戻る事はなく、縮れた変形した耳になります。

治療

1.外耳炎が原因の場合、外耳炎の治療を行う

2.溜まった血液を排泄する
排泄方法には針で毎日抜く方法と、切開をして血液の出口を確保する方法があります。重症例では耳の表裏を10針ほど貫通して縫い合わせ、血液が溜まって膨らまないように外科的処置をとる場合もあります。溜まる前に抜くのが治療のコツで、症状が良くなったからと治療を数日行わずにいると、また元通りになります。治療を初めた1〜2週は毎日から隔日の処置が必要です。

3.耳を傷つけないように保護したり、血液を吸い取るパットを付ける

4.抗生剤とともにステロイドを投与する

抗生剤とともにステロイドがよく効きます。これは炎症を止めるのみならず、免疫が介在しているためと考えられます。最新の報告ではインターフェロンが効くとの情報もあります。

しかし、いずれの方法によっても治癒後の耳の変形は避けられません。

予防

外耳炎を放置して耳血腫に進展する場合が多いので、外耳炎を早期に治療すれば耳血腫にならない場合が多いです。
免疫介在性の耳血腫は再発を繰り返すので、免疫調節の作用があるサプリメントなどで予防することもあります。

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