犬のアカラス(ニキビダニ)症

ニキビダニと呼ばれる、犬の毛穴に巣食う寄生虫が原因で起こる皮膚病です。
チャイニーズシャーペイやパグに特に多く見られますが、どんな犬種でも発症する可能性はあります。

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目次

原因

ニキビダニ(体長0.2〜0.3ミリほどの寄生虫)が原因です。毛根を包んでいる毛包に潜むために毛包虫とも呼ばれています。このダニは、生まれたばかりの子犬がダニの寄生する母犬の体に寄り添い、母乳を吸うなどの濃密な接触によって感染すると考えられています。

犬にニキビダニが寄生しているからといって必ずしもその犬が発症するとは限りません。
体力や免疫力の低下、遺伝的要素、基礎疾患の存在など様々な要素が発症に関係していると考えられています。よって通常の犬では発症しません。生後間もなく母犬から感染したニキビダニが寄生したまま、発症せずに健康に暮らしている犬もかなりいると思われます。

母と子犬のような濃密な接触がない場合、一般的には感染犬から他の犬への伝播もないと言われています。また人間には人間のニキビダニが寄生するので、犬と人間の間で病気が伝染することはありません。

症状

目や口の周り、前足などの部分が特に感染しやすい部位です。
症状は、以下の経過をたどって悪化していく傾向があります。

1.脱毛
初期症状はなんの痒みもなく、2〜3cmほどの大きさの、ツルンとしたきれいな脱毛になる事が多いです。

2.膿胞の発生
寄生したニキビダニが異常繁殖すると毛根がダメージを受けて部分的に脱毛し、やがてニキビのような膿胞がたくさん出て、皮膚がただれます。
皮膚がただれたまま放置すると脱毛部位は頭から首へ、前足から肩や胴にまで拡がることもあります。

3.二次感染
さらに弱った皮膚に細菌や真菌が二次感染を起こして、痒みや痛みを増していきます。
こうした悪循環を断ち切らないと、最終的には全身の皮膚はかさぶたと化膿だらけになり、敗血症を引き起こして命に関わることもあります。

唇周辺および頬部に病変がみられる。

二次的な感染も見られた。

診断

特徴のある皮膚の状態を観察し、患部から皮脂腺の内容物を削り取って顕微鏡でニキビダニの存在を確認します。 ニキビ状に膿が溜まった状態では簡単に検出できる事がほとんどですが、初期のキレイな脱毛の場合、検出できる可能性はとても低くなります。

治療

治療は、以下の三つの方法から必要な治療を行います。

1.殺ダニ剤の投与や薬浴による治療
この治療で治癒率は(一般的には)50%です。

2.フィラリア予防薬による治療
アカラス症には、フィラリア予防に使用する薬がとても効きます。しかしフィラリア予防の時と比較して300倍くらいの量を毎日服用しますので費用が大変です。犬用のフィラリア予防薬ではなく牛やブタ、馬用のフィラリア予防薬を流用して費用が大きくならないようにします。

3.二次感染や基礎疾患の治療
細菌や真菌による二次感染を起こした場合や、ホルモン分泌の異常などの基礎疾患もアカラスの症状を慢性化、悪化させやすいために並行して治療します。

アカラス症は、症状が軽くても1ヶ月以上、通常は数ヶ月間の投薬が必要になります。うまく治療の効果が現れても、投薬を休止すると再発する例が多いです。表面的な症状の軽減を見て治療を中断すると、薬効の及ばないダニの卵が孵化して繁殖し、再発してしまうことも少なくありません。とにかく治療に根気が必要です。 特に犬が老齢になってからの発症は完治が難しく、治療管理が生涯必要となることもあります。

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