ラブラドール・レトリバーの歴史・特徴・種類について

ここでは、ラブラドール・レトリバーを飼うために知っておきたい、ビーグルの歴史から体の特徴など基本的な知識をご紹介します。

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目次

1.ラブラドール・レトリバーの種類・特徴・体

ラブラドール・レトリバーの歴史

Buccleuch Avon (1885)
現在のラブの基礎となった個体

ラブラドール・レトリバー(以下:ラブ)はカナダで見出されイギリスで発展した鳥猟犬です。大型ですが非常に温厚で頭が良く、誰とでも仲良くなれる才能があります。日本でもラブの愛称で広く親しまれ、見た目のソフトなイメージから盲導犬の代表格にもなっており、犬に詳しくない人でも盲導犬といえばイエローのラブを思い浮かべることでしょう。

「ラブラドール」とはカナダの北大西洋岸、グリーンランドにほど近い半島一帯の名称で、1498年にポルトガルの探検家、ジョアン・フェルナンデス・ラヴラドールがこの地を発見したことに由来します。

St Johns dog
セント・ジョーンズ・レトリバー

ラブの先祖は16世紀にイングランドからニューファンドランド島へ入植した人々が持ち込んだ使役犬と島原産のニューファンドランド犬との交配種、セント・ジョンズ・レトリバーです。 入植から約300年後、漁師の手助けをするなど水中作業犬として活躍していたセント・ジョンズ・レトリバーは、能力の高さに興味を抱いたイングランドの貴族・初代マルムズベリー伯爵によってイングランドへ輸入され、他の伯爵家と共に改良が行われて現在のラブの基礎となりました。ラブラドールと呼ばれるようになったのは、ニューファンドランド犬が先に輸入されていたことから両者を明確に区分けするために出身地の地名を用いたようです。

この頃のラブの毛色は黒を理想としていましたが品種改良にハウンド種やチェサピークベイ・レトリバー、フラットコーテッド・レトリバーなどを用いたことから、イエローや茶色の個体が出るようになりました。当時はこれを良しとせず、黒以外は間引かれることもありました。 1903年にはイギリスが黒いラブを公認犬種と認定し、アメリカでは14年後の1917年に認定されました。 イエローやチョコが正式に認められるまでには更に30年近くを要しています。

ラブラドール・レトリバーの特徴

ラブの体のサイズは国によって多少違いますが、日本の基準ですとオスの体高は57〜62cm、体重は29〜36kgで、メスは若干小さく体高が54〜59cm、体重は25〜32kgまでです。オスは大柄で逞しく、マズルも太く頭部に幅があります。メスは小顔で細っそりとした印象です。 実猟犬として多くが活躍するアメリカでは脚が長くスリムなラブを多く見かけます。イギリス系は鼻のストップがとても明確で、どっしりとした印象を受けます。

※性格・能力
ラブは高い作業能力と従順さを評価され、猟犬はもとより盲導犬、介助犬、薬物や爆発物の探知犬、軍用犬、警察犬、てんかんや心臓発作、急激な血糖値の低下を感知するアラート犬として世界中で活躍しています。 ディスクキャッチやアジリティなどの競技も得意で高いパフォーマンスを発揮し、家庭犬としても不動の人気を誇っています。

充分にしつけられて落ち着いたラブは老若何女問わず良い伴侶となります。 猫や小鳥、小型のペット類にも穏やかに接し、弱い者や幼い者を優しく見守ることができます。ユーモアのセンスもあり、楽しいことが大好きです。

ラブは誰にでも友好的なので番犬には向かないと言われていますが、不穏な気配は察知します。普段吠えないラブが吠え続ける時は何か起きているかもしれません。すぐに原因を探りましょう。

犬種発展の歴史から水に入ることが大好きです。日本では狩猟にラブを用いる人はごく少数ですが、ダンベルなどの回収遊びは誰にでもできます。近くに水泳可能な池や川、海があれば泳がせてあげましょう。水泳は足腰に荷重がかからず、高齢犬にも良い運動と気晴らしになります。流れや岩のある場所では怪我の防止に犬用のライフジャケット着用を心がけましょう。 暑い時期はタライなど大きめの容器に水を入れて水遊びさせることもおすすめです。

※ラブを飼う
ラブを飼うにはペットショップ、ブリーダーから子犬を求める、レスキューなどを通じて里親になる、盲導犬の育成ボランティア、パピーウオーカーになる、引退した盲導犬を預かる老犬ボランティアなどの方法があります。 ペットショップでは生後8週齢に満たない子犬の展示と販売は禁じられています。(2016年8月31日までは生後45日を期限とするという条件付き。)法令をきちんと守る店か確認しましょう。

若年齢のラブは非常に腕白で、訓練にも膨大なエネルギーを要しますので、しつけの入った成犬を里子に迎えることも一考です。そんなに多くはありませんが、繁殖ラインから外れた成犬をブリーダーが里子として出す場合もあります。年齢を重ねていてもラブは新しい家族によく慣れます。飼育環境や世話をする人をメインに考えて決めましょう。

近年、ペットが飼えるマンションも増えましたが、大型犬は除外の物件も多いです。転勤の多い家庭は引っ越しとなった場合、連れて行けるかも熟慮してください。

大型で寒さに強いので外の犬舎で飼うことも可能ですが、その場合も犬舎はなるべく家族の顔が見える場所に置いてあげましょう。悪天候の日は、玄関の中に入れるなどの配慮も欲しいです。

ラブラドール・レトリバーの種類

*毛色・タイプ
被毛カラーは3種類あります。

◎ブラック
全身くまなく濃淡のない黒い被毛であることが理想です。 鼻、唇、目の周り、爪やパッドも黒いです。

◎イエロー
白に近いクリーム色からフォックスレッドと呼ばれる赤みの強い黄褐色まで幅が広いです。目の周り、鼻、唇、パッドが黒または濃色です。加齢や冬季に鼻の色が薄くなりますが、これは問題とされません。

ラブの毛色は外見上の色と遺伝的因子として持っている色があり それらを合わせると9パターンに分けられ、DNA鑑定をすれば、その犬の遺伝的な情報が判明します。これによって生まれてくる子犬の色が予想可能となります。

チョコでイエローの遺伝子を持つ個体(bbEeタイプ)同士の組み合わせは色素が薄く、聴覚や視覚、内臓に疾患を持つ個体(bbeeタイプ)が生まれやすいので、ブリーダーはこの組み合わせを禁忌として避けています。確率は低いですが3色の遺伝子を持つブラック(BbEeタイプ)とイエロー遺伝子を持つチョコ(bbEeタイプ)の組み合わせも確率は低いですが(bbeeタイプ)が生まれますので避けた方が良いでしょう。

近年、シルバーのラブも登場しましたが、アメリカのケンネルクラブAKCやラブラドールのクラブLRCはこれを認めておらず、賛否について対立が起こっています。 シルバーが公認カラーとしてとして認められるにはクリアすべき問題が多く、解決のめどは立っていません。

2.ラブラドール・レトリバーの性格・しつけ

ラブラドール・レトリバーの健康

大型犬ブームの頃は子犬が高値で取引されたため、安易な交配が横行し健康や性格に問題のある犬が多く輩出されましたが、現在はブームも沈静化し、子犬の繁殖や販売には「動物取扱業」の登録が必要になりましたので、当時に比べ状況はかなり改善されてきました。

ラブが大流行した頃は股関節形成不全が多く見られましたが、愛好クラブの努力により、股関節、肘関節、目の検査を受けることが広く啓蒙され、検査結果は血統書に追記が可能です。 どんなに見た目や性格が良くても、検査結果が好ましくなければ繁殖を断念するという英断がラブの未来を安定させていくことにつながります。ブリーダーの良心に期待したいところです。

ラブは人と共に過ごすことが大好きなので、ひとりぼっちで長時間過ごすのは苦手です。暇を持て余してしまうと自傷行為や破壊活動で気を紛らわすようになり、無気力となって精神を病む場合もあります。心の健康も大切に考えましょう。

ラブは大変な食いしん坊で肥満になりやすい犬種です。飼い主の目を盗んで冷蔵庫やフードの保管容器を開けたり、同居のペットの餌まで失敬することもあります。外に出れば散歩の途中で落ちている物を食べてしまうなど、食欲に関する悩みが付きまといます。 太ったラブは関節や腰を痛めやすく糖尿病を発症することもあります。理想的な体重維持は長寿にもつながりますので、肥満防止は飼い主の責務です。

定期的な健康診断と予防注射を受け、夏場はフィラリアやノミ、ダニなどから守ってあげましょう。 繁殖を考えていないなら、不妊手術を受けておきましょう。 成長にも個体差があるので、手術の時期は獣医さんと相談してください。

*ラブのライフステージ
◎子犬期・1歳までは小さかった体が一気に成長しますので、成長期に合わせた良質のフードを選びましょう。カルシウムなどのサプリを与える場合は、獣医さんと相談してください。日々の運動は無理のない自由運動で。簡単な服従訓練を始めましょう。

◎青年期・疲れ知らずでエネルギーの塊と化する時期です。興味のあるもの目掛けて猛ダッシュしたり、飼い主の隙を見て脱走することもあります。飼育環境の安全確認と制止のコマンドは必ず教えましょう。

◎シニア期・落ち着きが出て、ラブとの生活がたっぷり楽しめる時期です。代謝が少しずつ落ちてくるので肥満には注意しましょう。

◎高齢期・活動もゆるやかになり、眠っている時間が多くなります。無理のないペースでゆったりとした散歩を楽しませてあげてください。ドッグランなどで顔見知りの犬と会うことも精神的な刺激となります。あまり考えたくはないことですが、お別れの日のことも頭の片隅に入れておきましょう。

ラブラドール・レトリバーの病気

◎外耳炎
垂れ耳は蒸れやすく外耳炎を発症することがあります。 マセラチアなどの真菌やブドウ球菌による細菌、ダニや皮膚アレルギー、異物の侵入が原因で炎症を起こすと痒みや痛みが出て、しきりに頭を振ったり耳かき動作をします。梅雨時などは特に注意して見てあげましょう。

◎関節炎
ラブは太り易く、体重の増加や加齢、遺伝的要素によって関節炎を好発します。ディスク競技などの激しい運動で発症する場合もありますので、競技参加を目指す場合は肘、股関節、膝蓋骨の状態をレントゲンで調べてもらいましょう。

◎胃捻転
胴の容積が広く胸が深いラブに好発する病気です。 食後の激しい運動や遺伝的な要素が原因で発症することが多く、高齢犬では胃を支えている靭帯が衰えるため、空腹、満腹に関わりなく寝返りと同時に胃がねじれてしまうこともあります。発見が遅れると命にかかわりますので、腹部の異常な膨満や吐こうとしているのに何も出なかったり、よだれを垂れ流す、呼吸が早いなどの症状が認められた場合は胃捻転を疑い、様子を見ていないですぐに病院へ向かってください。胃捻転は時間との勝負になります。近くに夜間の緊急手術をしてくれる病院があるか必ず調べておきましょう。 胃捻転は胃を腹壁に固定する手術で予防や再発防止が可能です。手術で助かった犬のほとんどは、この処置を施されています。 アメリカのような広大な国では、スタッフの揃った病院まで数時間を要す環境も多く、病院に着くまで犬がもたないことから、好発犬種に対し、不妊手術と一緒に固定手術を受けるよう勧めています。

3.ラブラドール・レトリバーのしつけ・お手入れ

ラブラドール・レトリバーのしつけ

ラブは覚えが良く集中力もあるので、トレーニングのやりがいを感じる犬種です。状況判断能力も高く、突発的な事故から飼い主を救った事例も多数あります。飼い主に対する無償の愛や忠誠心を汲み取り、良い犬に育て上げてください。

子犬の頃は好奇心が強く、身の回り全ての物が彼らの興味を引きますので感電、火傷、誤飲につながるようなものは絶対に床に置かないようにしてください。 歯の生え替り時期は家具を齧るなど破壊活動も盛んになります。歯固め用のおもちゃを与え、齧って良いものと悪いものがあることを根気よく教えましょう。 人間の手はおもちゃではありません。甘え噛みであっても手を噛ませるようなことはしないでください。

個体差もありますが2歳くらいまでは悪戯の限りを尽くします。大切な物や食品の保管場所を考えましょう。室内で留守番させる時はケージに入れておいた方が安全です。

ラブは体が大きくパワーもあるので、急に走り出したら引き留めることが困難です。興味を持ったものに突進したり、嬉しさのあまり見境なく飛びついたりしないよう、ストップのコマンドは必須です。ストップのコマンドで必ず止まる、行為を中止することで、ほとんどの危険を回避できます。ドッグラン開催の教室や訓練所で手ほどきを受けても良いですし、参考になる躾けの動画もたくさんあります。良いと思ったことを試してみましょう。

トイレのトレーニングは寝起きや食後が狙い目です。トイレスペースへ連れて行き、シーシーなどと声をかけてみてください。うまくいったら褒め、トイレスペース以外の失敗は決して叱ったりせず静かに片付けます。排泄の失敗を強く叱ると、犬によっては排泄自体が好ましくない行為だと思い、見つかりにくい場所を探して排泄するようになってしまいます。 排尿、排便のリズムが把握出来たら、決められた言葉で促し、任意の場所で排泄をさせることが可能になります。盲導犬は子犬の頃からこれを習慣づけており、ワン・ツーの掛け声で排泄をします。お出かけの際、ここから先の排泄は困るという場合に役立つコマンドです。

しつけが上手くいかない時は必ず何らかの原因があります。 例として…
コマンド用語がその都度変わって犬が混乱している。
 →用語決めて使用しましょう。

同じことをしても、日によって飼い主の態度が違う。
→その時の気分で褒め方が変わったり、怒りに任せて叱り過ぎるのは好ましくありません。常に一貫した態度で接しましょう。

充分な運動をさせていないため、運動欲求がたまりすぎて集中できない。
→ラブは活動的で運動量も多く必要です。排泄だけの散歩では満足できません。

最初から無理と決めつけて、真剣に取り組んでいない。
→子犬時代のはしゃぎっぷりに疲れ果ててトレーニングを諦めてしまうケースもあります。そのままにしておくと必ず後悔します。ラブを飼っている人たちから話しを聞いたり質問をしてみましょう。

犬が様々なサインを発しているのに飼い主が気づかない。
→犬はカーミングシグナルというボディランゲージを使って意思疎通をはかっています。犬の気持ちを知るためにも、どんな種類があるか調べてみましょう。

犬が様々なサインを発しているのに飼い主が気づかない。
→犬任せにしておくと、犬が主導権を握って判断を下すようになるので、好ましくない行為をした場合、矯正するのに時間がかかります。明確な主従関係の構築と、座る、伏せる、待つなど最低限のしつけは必要です。

トレーナーの言うことは聞くのに飼い主の言うことは聞かない。
→コマンドをかけるタイミング、声の調子などちょっとしたことで反応に差が出ます。実際にやってみて直すべき点を指示してもらいましょう。

体罰は賛否両論ありますが、怒りに任せた暴力は避けていただきたいです。 叱る時は低い声できっぱりと、長時間罰を与えることも好ましくありません。

ラブラドール・レトリバーのお手入れ

ラブは被毛が短く濡れても乾きやすいので、簡単なブラッシングや蒸しタオルで拭く程度で清潔が保たれます。外出のたびにシャンプーをする必要もありません。過度のシャンプーは被毛や皮膚を守っている皮脂を取りすぎて、かえって良くありません。 換毛期には毛がたくさん抜けます。専用のブラシで手入れをしましょう。

垂れ耳なので、梅雨時に蒸れて雑菌が繁殖し、悪臭がすることもあります。 耳をめくって耳垢がたまっていないか定期的にチェックしましょう。耳垢の除去だけで改善されない場合は洗浄用のローションもあり、病院でも出してもらえます。

野外で遊んだ後は、腋の下や腿の付け根、首輪で隠れている箇所、指の間など見えにくい場所にダニや草の種が付いている場合があります。そのままにしておくと皮膚炎や感染症を起こしますので、必ず全身くまなくチェックをしましょう。

数日経って膨れ上がったダニを発見することもあります。無理して引っ張ると、体に食い込んでいる頭部だけが残ってしまい、皮膚トラブルを発症します。食酢やエタノール、ミントの精油などをダニの周囲に塗布して、ダニが自然に離れるのを待ちます。メスは卵を体内に持っていますので絶対に潰さないよう粘着テープなどで包んで処理してください。ノミを見つけた場合も同様です。

爪は普段の運動で自然にすり減りますが、高齢犬や療養中の犬は伸びやすくなっています。家具や敷物などに引っ掛けて怪我をしないよう、定期的な爪切りをしてあげましょう。

若いうちは歯も綺麗ですが、徐々に歯石が付着してきます。これも定期的な手入れで防ぐことができます。奥歯に固くついてしまって取れないような歯石は獣医さんで除去してもらいましょう。

ラブは人に触れてもらうのが大好きなので、身体各部の手入れは容易です。スキンシップも兼ねて習慣としましょう。

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