ジャック・ラッセル・テリアは、小さな体にはち切れんばかりのエネルギーを持つ小型テリア種です。
ジャック・ラッセル・テリアの歴史
ジャック・ラッセル・テリアを作出したのは1795年生まれのイギリスの牧師、ジャック(ジョンの別称)・ラッセルです。
ラッセルは少年時代から小動物の狩りに親しんでおり、狩りに使用する犬や馬の訓練にも長けていました。牧師になるべく大学に進んだラッセル青年は、散歩中に見かけた小柄なテリアに目を奪われます。そのトランプという名のメスのテリアは牛乳屋が連れていたものでしたが、ブリーディングの基礎にうってつけの姿であったため、その場で持ち主に頼み込んで買い取りを果たしました。
ラッセル青年は大学を卒業後、牧師の道に進みましたが、キツネ狩りへの情熱は高まるばかり。トランプを繁殖プログラムの基礎とし、テリア系や小型のハウンド種をいろいろ掛け合わせてキツネ狩りに特化した犬を多数育て上げました。 ラッセル牧師のテリアは勇猛果敢に穴に飛び込んでキツネを追い出し、馬と共に20マイル(約32km)もの距離を走破したので、たちまちハンターたちの人気者になりました。
週の3日以上を狩りにあてていたと言われるラッセル牧師はイギリスのケンネルクラブ設立にも貢献していました。周囲からは自慢のテリアを品評会に出すよう勧められていましたが、性能よりも見た目重視で華やかさを増す品評会に疑問を感じ、自分の生み出したテリアはフィールドでこそ評価されるべきと、終生品種登録を行いませんでした。彼の存命中は犬種名もつけられることなく、見た目そのままのフォックステリアと呼ばれていたそうです。
ラッセル牧師の死後、彼が繁殖させたテリアは2つのタイプに分かれました。
ラッセル牧師から継承した真横から見て正方形に近い体型をした系統をパーソン・ラッセルテリア、足がやや短く長方形の体型をしているものが現在のジャック・ラッセル・テリアで、オーストラリアに渡って改良が進みました。温暖なオーストラリアではスムースコートが人気を博し、ラッセル氏がトランプと出会ってから184年後の2003年、ジャック・ラッセル・テリアはFCI(国際畜犬連盟)に正式な犬種として承認されました。
ジャック・ラッセル・テリアの種類
被毛タイプは3種類
◎スムースコート: 全身にぴったりと張り付くような短毛です。 換毛期には大量の毛が抜け落ち、抜け毛は衣服や絨毯などに刺さりやすいので、取り除くには思いのほか手間がかかります。日々の手入れが物を言います。
◎ブロークンコート: テリアらしい硬めのワイヤーヘアーです。柔らかい毛を抜く作業、ストリッピングで手入れをします。
◎ラフコート: ブロークンコートより毛が長く、手入れをしないと全身フワフワの毛に覆われてしまいます。精悍な容貌を維持したい場合はストリッピングナイフで手入れをしますが、ショーなどに出さず家庭犬として可愛い姿を楽しむなら、そのままでも構いません。口元や肛門周辺など、清潔を保つためのトリミングはしておいた方が良いでしょう。
視認性の比較(白い被毛が少ない個体は狩猟現場では避ける)
毛色はキツネやウサギなどに誤認されることを避けるため白がベースで、頭部や背、尾の付近に色が入ります。(白は全身の51%以上であることが理想です。) 全身がブリンドルや白い部分が僅かな個体は誤射の危険が生じますので狩猟現場の使用は避けます。
断尾していた時代もありますが、現在はしないで良いことになっています。
2.ジャック・ラッセル・テリアの性格・飼育について
ジャック・ラッセル・テリアの性格
ジャック・ラッセル・テリアは陽気で遊び好き、頭も良く何があってもへこたれないポジティブな性格です。仕草も愛らしく、彼らの遊ぶ姿は見ていて飽きる事がありません。 猟犬としての歴史も長いので、体は小さくとも勇敢で長時間作業ができるスタミナも兼ね備えています。
ジャック・ラッセル・テリアの最大の敵は「暇」です。何もすることがないとエネルギーを持て余し、自分なりの暇つぶしの方法を考えますが、それは破壊活動や脱走など、ありがたくないものばかりです。 始終構ってやる必要はないですが、飼育を考えるのであれば家に誰かがいる環境が望ましいです。
ジャック・ラッセル・テリアの飼育について
興奮しやすく噛むことにためらいがないので、犬の扱いに慣れていない子供さんや初対面の犬には安易に近づけないでください。
多頭飼いは犬同士で遊ばせておくことができて犬も退屈しないで済みますが、群れが形成されたことにより気が大きくなり、強硬な態度に出る場合があります。ドッグランなど色んな犬が集まる場所では、決して目を離さないようにしてください。普段から相性の良くない犬がいる場合は要注意です。喧嘩が始まると仲間が加勢しますので相手に深手を負わせる恐れがあります。
体高が低く、非常に俊敏なので飼い主の足元をすり抜け脱走することがあります。 追いかけて捕まえることは非常に困難なので、玄関のドアを開ける際は十分注意し、可能であれば飛び出し防止用の二重扉や柵を取り付けるなどしてください。 脱走して楽しい思いをすると、常習化する場合があります。 お出かけ、帰宅の時は静かに行動し、玄関先での「行ってきます」や「ただいま」のセレモニーは興奮させないためにもやらない方が良いでしょう。
身体能力が高く、ジャンプ力もあります。柵があるからと庭に放しておくのも良くありません。高い柵でも足がかかれば登ってしまいますし、根元が土ならば穴を掘ります。樹木を足がかりに外へ出てしまうこともあります。
子犬の頃から一緒に育てれば、別種のペットとも同居は可能と言われていますが、キツネ狩りの他に納屋のネズミ退治なども請け負ってきたので、小動物や虫などに非常に敏感です。小鳥やハムスターなどには近づけない方が安心です。
外で見かける猫も例外なく追いかけようとします。散歩に出る前に首輪とリードに不具合がないか必ずチェックしましょう。
猟犬としての資質が高いため、小型ですが初心者向きとは言い難い犬種です。飼うのであれば、犬舎を訪問してみたり実際に飼っている人たちの犬を見せてもらうことをお勧めします。今はネットで情報が得られるので事前調査はしっかり行ってください。
子犬は乳歯が生え変わる頃からいろんな物をかじるようになります。かじられたら困るもの、危険なものは必ず片付けてください。歯固め用や噛んでも少々のことでは壊れない丈夫なおもちゃが市販されていますので、適当なものを与えてください。タオルや古いTシャツなどを流用せず、おもちゃとして作られた物の方が犬を混乱させずに済みます。手をおもちゃ代わりに甘噛みさせるのも厳禁です。
野外では野ネズミやモグラの穴に興味を示します。掘り出したら止まらず、時にネズミを捕らえることもあります。連れ出す前には必ず予防注射を済ませておきましょう。
オスは成犬になると他のオスに対して対抗意識を持つようになり、喧嘩などのトラブルを起こしやすくなります。家庭犬として飼うのであれば、獣医師の診断のもと、不妊手術を受けましょう。出産をしないメスは高齢期に子宮蓄膿症を発症しやすくなるので、元気で回復の早い時期に手術を済ませておくと安心です。
繁殖を思い描いているなら、ブリーダーとしてやっていけるかどうか、じっくり考えてください。ブリーディングは奥が深く経費もかかります。思いつきだけでは良い結果は得られません。
ライフステージ別
◇子犬時代・・・
良質のフードを与え、首輪やリードに慣れさせましょう。 ワクチンを終えたら少しずつ外の世界に慣らしていきます。 骨格が出来上がっていないので、高いところから飛び降りるようなことや過剰なジャンプは避けましょう。従順な時期に遊びを通して服従訓練を行いましょう。ハウスなどのクレートトレーニングも始め、ひとりで静かに過ごすことも教えましょう。
◇青年期・・・
生後1〜2年程で体も出来上がってきます。新しいことをどんどん吸収しますので競技会やスポーツ、アウトドアなど存分に楽しんでください。不妊手術もこの時期に受けておくと、回復も早いです。
◇高齢期・・・
若い頃のような爆発的なパワーもなりをひそめ、ゆったりと穏やかな時間が訪れます。運動量が減った分、食べ物に興味が行って太りやすくなりますので、体重管理には気をつけて下さい。近年、飼い犬の平均寿命も延びて認知症に罹る犬も増えています。時々散歩コースを変えてみたり、ドライブに連れて行くなど、精神的な刺激を与えるようにしましょう。歩くのが大変になってきたら、カートに乗せて、外の空気を吸わせてあげましょう。
3.ジャック・ラッセル・テリアのしつけ・健康管理について
ジャック・ラッセル・テリアのしつけ
ジャック・ラッセル・テリアには厳格なトレーニングよりも、一緒に遊びながらゲーム感覚で日常のルールを教える方が向いています。楽しいことが大好きな彼らは喜んで付き合ってくれるでしょう。犬種の特性として興奮を即座に鎮めることは難しいのですが、様々な危険を回避する手立てとして「ストップ!」の掛け声で止まることを教えてください。呼び戻しの訓練も必須です。
問題行動を認めたらすぐに対処し、放任しないでください。どうしても上手くいかない場合は専門家の手を借りましょう。
ジャック・ラッセル・テリアの健康管理
定期的な健康診断と予防関連は必ず受けましょう。また、野外で遊んだ後はノミやダニがついてないか、目や耳に異物が入ったり刺さったりしていないかチェックしましょう。ジャック・ラッセル・テリアは健康に恵まれた犬種で、好発するような遺伝性疾患はありません。運動面で無茶をすることが多いので、骨折や膝蓋骨の脱臼、穴掘りに夢中になって爪やパッドを痛めたり、硬い物をかじって歯を欠けさせるなどの怪我に注意が必要です。動くものに敏感なため自転車やバイクを追いかけようと道路に飛び出し、車に轢かれるケースもあります。日本では聞き慣れない例ですが、獲物を追って入った穴が崩れて生き埋めになることもあります。野山で見失うと見つけるのに苦労しますので、ロングリードを利用するなど安全面の配慮は常に忘れないようにしてください。
ライター:R・Yamamoto
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