犬の行動学その2〜しつけについて

人間の間違った解釈によって、犬が上手にしつけられないことも多々あります。前回に引き続き今回は犬の行動からわかるしつけについてご紹介します。

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目次

人間の間違った解釈によって、犬が上手にしつけられないことも多々あります。
前回に引き続き今回は犬の行動からわかるしつけについてご紹介します。

1.人間の解釈、犬の解釈の違い

いつも接しているときはうちの子は私にべったりで飼い主である私の事を下に思うはずはない、でも噛まれる時もある、という方が多いですがそれも勘違い。

<勘違いその1抱っこ>
犬がすりよってきて前足で飼い主の足などをかりかり引っ掻く動作を例にすると…

●飼い主側の解釈
「お母さん、抱いておくれよう。お願いだよう。」

○自分が上と思っている犬の本音
「おい、俺様の舎弟。俺を抱っこしろ。命令だ。」

そこで飼い主が抱いてあげると…

●飼い主側の解釈
「お母さん抱っこしてくれてありがとう。うれしいワン」

○犬の本音
「抱けという命令によく従った。やっぱ俺の方が偉いのだな。代は満足じゃ。」

<勘違いその2食事>
食事を与える場合も犬が要求して吠えている場合は…

●飼い主側の解釈
「早くごはんをください。お願いします。」

○自分が上と思っている犬の本音
「何モタクタしてやがる。偉いやつから先に食うんだ早くよこせ。」

このような互いの解釈の違いにより犬はどんどん飼い主より偉くなっていくんですね。

ソファーで犬が寝ているとかわいそうだからと犬をどかせずに飼い主が違う所に座ったりするというのもよくあるお話。居心地の良い場所を優占するのは地位が上の者ですから「おまえはそこどけ」と犬をどかして飼い主が座るのが正しい。
これをしないと犬は「気持ちいい場所とったけど、なにも文句言わずにあっちに行ったぞ。俺の方が偉いんだ。」となるわけです。
自分が優位と思っている犬にこれをやるとガブリときますから要注意。

2.しつけの基本

まずはお手・オスワリなどをさせてから。
優しくしたつもりで犬に気を使うと犬の習性による思考から飼い主より偉くなっていくパターンが結構多いのです。特に室内飼育の小型犬は蝶よ花よと育てられ家で一番偉いと勘違いしている率が高いと思われます。

「お手」も大事なしつけです。犬が飼い主より偉くならない為にはコツがあり、さきほど例(勘違い:その1)をあげた犬が抱いて欲しいと要求してきた時はすぐに抱かず、お手・オスワリ・フセなどこちらの要求を満たしてから抱く。
食事の時も同様、何するにもお手、お座りの後。飼い主の命令に従わない場合は犬の要求は満たされないというパターンを作ります。
お手なんてなんの役にも立たないと思っている方が多いのですが、実はとっても重要なしつけだったのです。

他にも食事は飼い主の後、遊びなどでタオルのひっぱりっこ等は最終的に必ず飼い主の勝ちにする、抱くときは上まで登らせない、散歩の時には犬に前を引っ張らせない、その他たくさんあるので省きますが、犬の気持ちがわかると犬とのつき合い方も変わってくると思いませんか?

3.外犬も幼児期からの環境が大切

「うちは外で飼ってるのでそんな事はないぞ」という意見もあります。
しかし飼い犬に噛まれて大怪我するのは外犬の方が多いです。これはなぜか。
犬は群で行動する動物といいましたが外飼いの犬は群に属しきれていないタイプが日本ではかなり多いです。散歩とご飯には尻尾振って喜びますが、主という意識は低く毎日食事をくれる気前のいい隣人関係と訳している専門家もいます。

最も良くない飼育方法が、子犬を1〜2ヶ月でもらってきてすぐに屋外飼育というパターンです。子犬は生後3〜4ヶ月までが社会化期といわれる時期で、親犬、兄弟犬と接しながら噛むと相手が怒る、噛まれると痛い、等の犬同士のコミュニケーションの取り方や飼い主以外の人間への接し方など社会性を身につける重要な時期です。
この時期を過ぎてからではなかなか身につけられません。
そんな大事な時期にいきなり外に出され犬小屋に1匹で放置されると全く社会性のない犬が出来上がってしまいます。

子犬の時はかまってくれた飼い主も大きくなると相手にしなくなり、犬と顔を合わせるのは散歩と食事と自宅からの出入りの時のみになってしまい、ますます犬は疎遠になります。犬は飼い主の言うことを全く聞かず、やみくもに吠える、嫌なことをするとすぐに噛みつくなど問題行動が出てきます。
こうなると犬を飼うというよりはなんとなく犬を庭につないでなんとなく世話をしてるだけ。こんな犬を飼う楽しさの1割もわからずに犬を飼っているという人があなたの周囲にもきっといるのではないでしょうか。

最後に…
犬の行動学と一言で言っても本来はその家庭、その犬によって様々で簡単にパターン化できるものではないです。しかし犬の気持ちを理解する事によってより良い関係が築けるきっかけになると思います。
飼い主も犬とより理解を深めるためにもちょっとしたお勉強をしてもいいのかもしれません。

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