犬の熱中症予防ガイド

今年も熱中症が起こる可能性がある暑い夏がやって来ます。
気温が25℃を超えると、暑さによる体調不良で動物病院に担ぎ込まれる犬や猫といったペットが増えてきます。
真夏の最大課題となる犬の熱中症について考えてみましょう。

熱中症の症状

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目次

熱中症の症状

犬の体には肉球の裏に汗腺があるだけで、人間のように大量に発汗して体温を下げ、体温調節をすることができません。呼吸だけで体温を下げるのは効率が悪く、人間にはちょっと暑いかなと感じる程度でもかなりの負担となります。
では、熱中症になった時にはどんな症状が起こるのか見ていきましょう。

浅く早い呼吸→粘膜の充血

◆犬は暑さにさらされると浅く速い呼吸を始めます。これを「パンティング」と呼び、舌を出し唾液を蒸発させて体温を下げ、体温調節をしようとします。
熱中症の初期症状はこのパンティングがさらに速くなり、喘ぎながらよだれを流し始めます。

◆体温が上昇し、脈も速くなって口の中や目の粘膜が充血します。

けいれん→脱水酸欠状態

◆呼び掛けに鈍くなったり、けいれんや嘔吐、下痢といった症状を起こす場合もあります。体温の上昇がさらに続くと脱水症状により血液が濃くなり、酸欠症状により舌の色が紫色になります。
心拍数の低下にともない血圧が下降して呼吸不全となり、応急処置が遅れればショック症状を起こして死亡する可能性があります。(現れる症状は個体差があり、記載した症状が出ない場合もあります。)

熱中症を起こしやすい犬種・条件

鼻孔や鼻腔が狭く鼻呼吸の効率がよくない

咽頭気道が狭いので熱の発散効率が低い

◆セントバーナード、シベリアンハスキーのような 北方出身で被毛が厚い犬種
◆犬種を問わず、仔犬、老犬、療養中の犬、肥満している犬や些細なことでも興奮してしまう犬

一方、ミニチュアダックスフンドといった長いマズルの犬は熱中症になりにくくなっています。

スムーズな鼻呼吸で空気の温度を下げる

咽頭気道が広く効率よく熱を発散できる

家庭での熱中症を防ぐには

熱中症対策として、室内・室外(屋外)ともに、風通しが良いスペース・環境を確保します。
室外犬の犬舎は移動が可能であれば日陰の涼しい場所へ置きましょう。水分補給ができるように飲み物に配慮し、アルミプレートやアイスジェルマット、保冷剤などのグッズを利用して過ごしやすくしましょう。

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移動できない場合は、よしずやサンシェード、つる性の植物を植えるなどして日陰を作り、水分補給の際にいつも新鮮な水が飲めるよう対策をしてください。
水遊びが好きな子には、簡易プールやタライなどに水を入れておくと、自発的に浸かったりかき出したりして遊んでくれます。

冷房(エアコン)温度は外の気温との差が5℃くらいが体に負担がないと言われますが、35℃を越す猛暑日では老犬や仔犬、療養中で体力が落ちている犬への配慮や対策が必要です。
凍ったペットボトルを布に包んで枕にしたり、保冷剤やアルミプレート、アイスジェルマット、扇風機などを利用して過ごしやすくしてあげてください。

散歩など外へ連れ出す場合も、外気温との差を少なくしてからにしましょう。飲み水の減りが早くなるので、水分補給ができるように複数の容器で準備します。ケージを置く場所も、南西の窓際を避け、風通しの良い涼しい場所に設置してください。

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夏場はまれに、落雷による停電が発生する恐れがあり、冷房(エアコン)や扇風機が止まってしまう可能性があります。日常的に長時間家を空ける飼い主さんは、不測の事態に対応できるような手立てを考える必要があります。

外出先での注意点

真夏になると午前10時頃にはアスファルトも高温になり、路面に手を触れてみると、いかに熱いかが実感できると思います。私たちは衣服や靴を履いているので気付きにくいですが、体高の低い小型犬、足の短い犬種は照り返しの熱気と路面の熱さに晒されることになります。

地面からの高さで温度差が生じます

やむを得ず日中に外出する場合は、熱い路面を歩かせないようカートやキャリーバッグを利用し、大型犬の場合は専用の靴を履かせるなどの対策をしましょう。カートやキャリーバッグの中に保冷効果のあるアイスジェルマットを敷けば、さらに快適に移動できます。

冷房(エアコン)の風は届いてますか?

車で出かける際は、犬を乗せる場所も考慮しましょう。
後部座席やラゲッジスペースにトラベルキャリーを乗せる場合は冷房(エアコン)の風がちゃんと届いているか確認しましょう。直射が当たり続けないよう、サンシェードで日陰を作ったり、アイスジェルマットを敷く、水を入れて凍らせたペットボトルや保冷剤を入れておくなど快適な移動ができるよう車内にも配慮しましょう。
夏場はバッテリー上がりも多いので、出かける前にバッテリー液の量もチェックしてください。

時間が経つと・・・

わずかな時間であっても、車から離れるときは犬を残さないでください。
日陰に駐車しても、それまでに日光とエンジンの熱で車体は相当熱くなっています。窓を開けておく程度では車内温度の上昇は押さえきれません。
冷房(エアコン)をつけたままにしておいても、エンジントラブルや、バッテリーあがりなどで止まってしまうことがあります。キーをつけたままは、防犯上好ましくありませんし、犬が立ち上がって外を見ようとした際にロックを掛けてしまったという事例があります。

外へ出して日陰へ係留する際も、太陽の移動で日陰のエリアが変わることを考慮してください。
海や山などで遊ばせる場合、適度に休息させましょう。日陰も太陽と共に移動します。長時間目を離さないようにしましょう。

熱中症になってしまったときの対応

犬が熱中症になってしまったときには、まずは体を冷やします。体を冷やさないまま動物病院へ行くのは症状を悪化させ非常に危険です。
全身に水をかけ、意識があって水が飲めるようであれば好きなだけ飲ませ、水分補給をさせましょう。氷や保冷剤などを頭部と動脈のある頸部、わき、そけい部にあて冷やします。この間に動物病院の獣医師に連絡をとり、指示に従いましょう。内臓にダメージを受けている場合もありますので、回復が早かったとしても必ず動物病院で診察を受けてください。

水を全身にかけて急いで体温を下げ、動脈のある部分と頭を冷やします。

気道を塞がないよう舌は外へ出しておきます。

最後に

近年は猛暑日と呼ばれる非常に厳しい暑さが何日も続き、健康被害がでないよう、ニュースや天気予報で高温注意報が呼び掛けられるようになりました。
犬たちは人間よりも暑さに弱いことを念頭に、暑い夏を乗り切ってくださいね。

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