うさぎの斜頸(しゃけい)

うさぎの斜頸(しゃけい)についてご紹介します。

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目次

    斜頸は、うさぎの頭が一方に傾いて斜めになった状態を表すことばで、病名ではありません。すべての年齢で発生がみられ、主な原因は、細菌や寄生虫の感染によるものです。

    斜頸の原因

    斜頸をおこす原因はさまざまですが、実際は次の2つが大部分を占めています。
    斜頸の2大原因
    (1) パスツレラ感染による内耳炎
    口腔から耳管を通って細菌が浸入し、内耳に膿が形成される。
    (2) エンセファリトゾーン病
    寄生虫の感染により脳炎をおこして斜頸となります。

    症状

    発病当初は、小首を傾けるようなポーズにみえます。症状が斜頸だけの場合は、通常食欲は正常です。パスツレラが原因の場合には斜頸と同時かそれより前にくしゃみ等のスナッフル症状がみられることがあります。
     斜頸症状の進行は遅い場合も速い場合もあって、進行の遅い場合は斜頸のまま長期にわたって元気に過ごす場合もあります。進行が早い場合には、眼振(眼球の揺れ)がみられ、さらに体が横に転がる(ローリング)するようになると、うさぎは自分で姿勢を保てなくなり、食べることが難しくなります。
    また、パスツレラが全身に広がれば腹膜炎、肺炎などをおこして死に至る場合もあります。エンセファリトゾーン感染の場合は、さらに痙攣や麻痺などをおこし、腎不全により死亡することがあります。

    治療

    細菌感染による場合は抗生剤を投薬すると症状は改善しますが、中途半端な投薬では再発する場合があり、長期間の徹底的な抗生剤治療が必要です。斜頸が完全になくなるまで休まず投薬し、症状がなくなってもさらに2週間は投薬を続けるべきです。
     エンセファリトゾーン感染の場合には原虫に有効なベンツイミダゾール系の駆虫薬を投与しますが、原虫の完全排除は難しく治療は非常に困難です。
     実際には原因がどちらなのか確定するのが難しい場合も多く、両方の治療を併用しながら治療を進める場合があります。加えてビタミンBの補給をします。これは食糞ができなくなり栄養不良(特にビタミンB12不足)が心配されることから、支持療法として推奨されます。
     ローリングがみられる場合は、回転する方向の側の眼球を傷つける可能性があるので、よく観察して、必要ならば点眼薬を使用して保護します。採食が困難な場合はフードを口にもっていってやったり、流動食の強制投与をするなど体力の低下防止に努めます。
     斜頸の治療は、根気よく看護や投薬を継続することが重要で、最終的には飼い主の手厚い看護が回復を導きます。

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