猫の妊娠と出産

今回は猫の発情から、妊娠、出産までをごしょうかいします。
出産の際の注意すべきことや、子猫が生まれた後の離乳食の注意についても知っておきましょう。

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目次

1.発情期と妊娠期間

<発情期>
雌猫の発情は1年中訪れます。単独行動がメインの猫科動物にとって、発情期にちょうどよく雄がやってきてくれる確率は自然界ではとても少ないと思われます。少ない機会できちんと妊娠できるような排卵の仕組みをとって対処しているのです。

犬や人では、ある時期が来ると勝手に排卵が起こりますので、このタイミングに合わせて受精させなくてはいけません。しかし、猫の場合は逆で、交尾をすると排卵がおこるシステムになっています。受胎には大変効率がよくできています。
逆にいうと、交尾をしないと排卵がおこりませんのでエンドレスに雌猫の発情は繰り返されることになり、飼い主の不眠の種になります。

<妊娠期間>
猫の妊娠期間は交尾後約60日です。犬と違い、いつ交配したのか正確な日時がわからない場合がほとんどですから予定日を算定するのは難しいです。妊娠の判定は妊娠後4週ほどで可能になります。多くは超音波での画像診断になりますが、妊娠後期になると触診でも明確にわかる時期もあります。妊娠する頭数は3〜6頭が多いです。

2.出産・難産

<出産>
猫では明確に予定日が算定できることはまれですが、出産の目安になるのが体温です。通常だと直腸温(肛門から測った体温)で38度台が平熱になります。出産直前になると37度台まで低下することが多いです。ちょっとした運動でも体温は上昇しますので、安静時にリラックスして測ったものでないと正確ではありません。

出産時に巣作りを始める事が多いので、ダンボール箱などで外部から見えない暗くて狭い空間を準備してあげます。分娩が始まると透明な液が陰部より出てきます。その後膜が垂れ下がってきて水を蓄えた風船のようなものが出てきます。この膜の内側に胎児がいて、胎盤がはがれると胎児は膜とともに外に出てきます。胎盤がはがれると緑の液体が出るのですぐにわかります。
子猫の臍と胎盤が数本の太い管で繋がっています。通常は教えたわけでもないのに親猫が舐めて管を食いちぎり、ついでに胎盤まで食べてしまう事が多いです。栄養になるので胎盤を食べたほうがいいという意見もありますが、胎盤を食べて下痢をする場合が多いですから無理に食べさせる必要はないでしょう。
<難産>
猫の難産はとても少ないです。犬の場合は骨盤の胎児が通る穴よりも胎児が大きくなることは頻繁に見られますので頻繁に難産を起こしますが、猫の場合は犬のように固体による体格の差がほとんど無いためか、胎児が大きすぎて骨盤につっかえることはまずありません。

しかし、胎児の体位が異常な場合に難産になることがあります。片手だけ産道に突っ込んで体が二重に折りたたまれてしまった、などの場合です。1頭も産まれていないのに緑の液が出て子供の出てくる気配が無い時、また1時間以上いきんでいるのに進行しない時は、難産の可能性もあります。もしも難産になった場合はすみやかに獣医師に相談し、検査を受けましょう。

3.産後・離乳食

<産後>
生後1週ほどで眼が開くようになってきます。4週までは母乳で育て、それ以降から離乳食を混ぜるようにします。親から離すのは必ず45日以降にします。子猫の社会性を持たせるのに非常に重要な時期ですので、できれば生後2ヶ月くらいは親兄弟と同じ環境で育てたほうが性格のよい猫になりやすいです。
早くして親から離され、社会化期を適性に過ごせなかった子猫は凶暴になりやすいので、これはとても大事です。社会性は後から矯正できません。

<離乳食>
離乳食の内容は子猫用のフードや缶詰をお湯でくずして与えます。ここで注意するのは絶対に魚だけでできた猫缶、煮干などを与えないこと。幼児期の食生活が一生の食事の嗜好にかかわりますので、子猫専用になっているきちんとしたフードだけを使用します。この時点で魚の味を憶えてしまうと、魚しか食べない猫に成長してしまいます。偏食の猫は大人になってから尿結石などで大変苦労します。
栄養的に問題のあるフードも多いですから、中身をよく吟味しましょう。

4.中絶(妊娠中の避妊手術)

妊娠中でも避妊手術は可能です。妊娠30日くらいまでならば(通常の避妊手術よりも傷は大きくなりますが)危険度はあまり高くはなりません。分娩するまで手術は可能なのですが、妊娠後期になると失われる血液の量が増加しますので母猫の負担と危険が増加します。
妊娠後期に避妊手術をする場合は摘出した子宮より血液を回収して自己輸血を行います。妊娠末期の避妊手術では費用も通常に比べて2倍ほどもかかる場合もありますし、手術をする獣医師も飼い主もかなり心が痛む手段です。
愛猫に出産させる予定がない場合は、前もって避妊手術をすることをお勧めします。

※避妊手術については、「猫の避妊と去勢」をご覧ください。

最後に…

いかがでしたか?猫などの動物は自分で子供を産まないことを選択することができません。出産の予定がなければ、病気のリスクが減る、避妊手術を検討してみてください。

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