猫の避妊と去勢

猫の去勢と避妊は、望まない子猫が産まれることを防ぐだけでなく、
猫の生殖関係の病気を防ぐために重要です。
去勢と避妊をすることによって、猫の体や性質はどう変わるのでしょうか?

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目次

1.なぜ避妊・去勢をするの?

◆子供を産ませない
◆メス猫の発情を抑えたい
◆オス猫のマーキングの防止
◆病気の予防

など、目的は様々ですが、オス猫の場合は、マーキング(「自分の縄張りですよ」というアピールから、おしっこをあちこちひっかける行動のこと)をやめさせるために去勢を行うというのが目的になる場合が多いようです。

また、避妊・去勢の手術は、猫が大人になる前に早めに手術すればいいかというと、そうではないのです。手術の時期が早すぎると、次のようなトラブルが起きる可能性があります。

(1)肥満

避妊・去勢後の猫はホルモンのバランスが変化し、食欲が増進します。体脂肪の蓄積もそれまでよりは増加すると考えられています。成長期の段階で手術を行うと肥満になる確率がかなり増加します。成長期に体脂肪が過剰になると脂肪細胞の数が増加するためにそのまま一生肥満への道を歩むことになりがちです。

(2)尿疾患

オス猫では早期に去勢した場合、ペニスのサイズが去勢した時期のままで、それ以上大きくならないと考えられています。しかし、小さなペニスでは尿道に結石がつまりやすくなり、尿結石の危険度が増加する可能性があります。

2.避妊・去勢の時期

トラブルを防ぐためにも避妊・去勢は猫の成長が終わるくらいの時期に手術をするのがよいでしょう。
オス猫では約10ヶ月、メス猫では約8ヶ月で体重の増加は止まりますから、ここまで待って手術をすれば、肥満や尿結石の危険性をいくらかでも回避できます。
オス猫のマーキングは、マーキングが始まって癖となってしまった場合に去勢をして止まる確率は50パーセントです。手術で止まらなかった場合は内服薬を併用するとほとんどの猫でマーキングを止めることが可能です(去勢の手術無しで内服のみの場合効果はありません)。

マーキングが始まる前に去勢を行えばほぼその行動はおこらなくなります。マーキングを始めるのは生後8ヶ月くらいからですからその前に去勢をしてしまえばマーキングに限っていうと予防効果はあります。ただし、前述のように生後約10ヶ月まで待って手術をしたほうが尿疾患の危険性が低くなります。手術の時期については獣医師によく相談の上、決定しましょう。

3.手術の方法

(1)避妊手術の方法

メス猫の避妊手術では卵巣と子宮を同時に切除する卵巣避妊全摘出手術というのが一般的です。子宮や卵巣のある場所は腹腔内の腎臓や膀胱の近辺となりますので、獣医師にとっては気を使う手術です。
手術の機会が多い為おおむね何処の病院でも安価に設定されていますが、内容的には立派な手術です。吸入麻酔による全身麻酔下において行われ、手術中の呼吸のモニターも必要になります。設備や手当ての点では、人間の手術と変わりありません。

(2)去勢手術の方法

オス猫の手術は雌に比較すれば腹腔内を開けない分だけ容易かもしれませんが、やはり全身麻酔は必要です。近年は切開にレーザーメスを使用し、痛みを無くす手術を行う病院も出てきています。

4.病気の予防

避妊・去勢手術は「病気の予防」という大きな利点があります。

(1)メス猫の場合

・乳腺腫瘍の予防
・子宮蓄膿の予防

メス猫の乳腺腫瘍は多くが死に至る悪性腫瘍で、腫瘍を摘出しても助からない場合がほとんどです。しかし、生後発情3回目を迎えるまでに避妊した猫はほぼ乳腺の腫瘍は発生しません。3回目以降はどうなのかというと、今のところはっきりしていませんが、乳ガンで来院するのはほとんど避妊していないメス猫ですので、たとえ発情3回目を越えていても避妊をすれば効果はあると考えられます。
子宮蓄膿という病気も、高齢の猫では命とりになる場合がありますが、避妊をしていれば回避は可能です。

(2)オス猫の場合

・創傷からくる感染症(エイズ、猫白血病)の予防

外出する雄猫は喧嘩をしてけがをする場合があります。喧嘩による外傷は治りますが、傷からウィルスに感染する危険性があります。エイズ、猫白血病ウィルスといった創傷感染を起こすウィルス陽性猫のほとんどが去勢をしていないオス猫です。去勢をしていると喧嘩をする確率が低くなり、ウィルスに感染する危険も低くなります。

最後に…

避妊・去勢手術は、子供を産ませないということ以外に、マーキングや病気の予防について大きな効果があることがわかっていただけたと思います。事実、去勢・避妊手術を受けた猫の方が未手術の猫に比べて平均寿命が延長しています。
しかし、手術の時期については、かかりつけの獣医師によく相談の上、決定しましょう。

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