猫の血栓塞栓症

血の塊が血管に詰まった状態を血栓といいます。全身性血栓塞栓症は心筋症で頻繁に生じる致命的な併発症です。拡張した房室内の血液の停滞と血小板の活性増強により、心筋症の猫は全身性血栓塞栓症を起こしやすいです。

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目次

    原因

    血栓の一番詰まりやすい部位はお腹の大動脈がY字に別れて両足へと向かう分岐部です。詰まった血栓は本来、止血をするのが目的ですから血管を収縮させる物質が分泌されます。それによってさらに血流を妨げ、後ろ足への血液の供給ばかりでなく、脊髄の末端部位に向かう血液の量も減少させてしまいます。
    確率は少ないですが前肢や脳、腎臓などの血管に血栓が生じる場合もあります。

    症状

    後肢不全麻痺、脈拍の触知不能、チアノーゼ、皮膚の冷感など。通常後肢の筋は硬くなり、痛みを伴います。
    血栓の部位によっては臓器の機能不全が起こることがあります。

    診断

    ・身体検査(触診)
    ・X線検査
    ・超音波検査

    治療

    ・外科的手術での血栓除去
    ・ウロキナーゼなどの血栓溶解剤の点滴
    ・心筋症が原因であれば、心臓に対する処置
    ・血栓開通後の高カリウム血症(血清中のカリウム濃度が高い病態)への対策

    動脈カテーテルによるウロキナーゼの局所投与法やレーザーの照射などを支持する獣医師もいます。

    予防

    来院後24〜72時間以内に改善が見られない場合、予後は悪い。 延命しても再発の危険性がある。
    一命は取り留めても、血液が行かずに脚がミイラ化して切断の必要が出る場合があります。

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