原因
日ごろの食事の偏り。
慢性の炎症疾患(慢性口内炎など)、ウィルス疾患、その他原因不明も多いです。
肝臓の仕組み
腎臓の役割は、
1.老廃物の除去
2.尿の生成
3.ホルモンの分泌です。
.簡単に、その仕組みを追っていくとまず、糸球体という部分で血液から液体成分をこしとります。ザルみたいなものでしょうか。赤血球、蛋白、等の分子量のおおきなものはザルの網目にひっかかり、血液に戻されます。網目を通り抜けた液体を原尿といいます。原尿の量は実に1日数リットル。これが、全ておしっこになっては、いくら水を飲んでも、間に合いません。
また、老廃物以外にも体に必要なものもたくさん含まれています。そこで、尿細管という部分で原尿中から水分や電解質、ブドウ糖等必要な物を体に戻します。この再吸収という過程を経て濃縮されたものがおしっこになります。障害を受けた腎臓では、糸球体のザルの網目が詰まって、外に出て行くべき老廃物が体に残ります。この有害な老廃物が体に溜まり、悪影響を受けた状態を尿毒症といいます。
さらに再吸収もうまくいかなくなりますので、濃縮された尿にならず、うすい尿を大量に排泄するようになります。喉が渇くのは尿に水分をとられすぎて脱水する為です。
また、腎臓は電解質や血圧を調節するホルモンを出しています。これらは他の臓器にまかせてもなんとかなります。問題なのは赤血球を作るホルモンが腎臓から出ているということです。
「エリスロポエチン」と言いますが、このホルモンの影響がないと新しい赤血球が造られません。赤血球の寿命は100日くらいなものですから、古いものから順に壊れていくと補充がない場合、どんどん貧血していきます。非再生性貧血と言われるものです。
症状
始めは無症状です。
腎臓は本来ついているうちの75%を切り取ってしまっても生体には異常がありません。
残り25%の腎臓で生活していけるので、症状が出始めた、血液検査でひっかかったということは、きちんと機能している腎臓はあまり残っていないという事なのです。
- ・第一段階:この症状がでてきたら要注意!
- 薄い尿を大量に出す。喉が渇く。
- ・第2段階:尿毒症になってる可能性あり
- 涎を流す。胃液を吐く。食べたものまで吐く。食欲が無い。痩せてきた。
- ・第3段階:尿毒症です
- ぐったりして、寝てばかりいる。吐き気がとまらない。ふらつく。
診断
血液検査でBUN、クレアチニン、P(リン)等の上昇をもとに診断します。
治療
だめになった腎臓は再生しませんので、いかに残りの腎臓を長持ちさせるかが勝負です。
- 1.初期〜中期腎不全
- 尿毒素により胃液の分泌が多くなり吐き気、ひどいと潰瘍になりますので胃液の分泌を抑える薬を服用します。さらに過剰な尿毒素の産生を抑える為に、蛋白同化ホルモンの定期的注射、食事中のリン、ナトリウムの制限等で維持します。
初期の腎不全では、極端な蛋白制限は特に重要ではないようです。通常の高齢動物用のペットフードを与えてください。
さらにクレメジンというお薬があって、内服すると、尿毒素をこの薬に吸着させて便とともに排泄させる役割をしてくれます。中期の腎不全までは結構この薬が有効です。 - 2.末期腎不全で尿毒症になっている場合
- 点滴で循環血液の量を増やし尿毒症と脱水の改善を図るのが第一です。
ある程度症状が改善したら、初期から中期の腎不全と同様の対処を行います。
食事は尿毒症を抑える為、尿毒素の原料であるタンパク質をできるだけ制限し、良質な蛋白を必要な分だけ摂るようにします。
さらにリン、ナトリウムを制限し、失いがちなビタミンを強化した腎疾患専用のフードもあります。
しかし点滴によってもBUN,クレアチンの値が改善しない場合の終末期の腎不全では、人間の場合は血液透析、腹膜透析、腎移植などで延命処置をするところでしょうが、保険のきかない猫で1回2〜3万程の透析を週1〜2回も続けるというのは非現実的なのが現状です。
こんな食べ物をあげていませんか?
高塩分なちくわ、カニかまなどの練り製品、(ペット用も含め)煮干。ジャーキー。その他刺身、肉、などの味付けをしていなくてもあまりお勧めできません。
このような食餌で長年生きてきた猫は、まずもって塩っけの少ない処方食や高齢用のフードを食べようとしません。
幼年期からのきちんとした食餌管理、質のよいペットフードと水のみを与える。
『(ペット用のものも含めて)おやつはできるかぎり与えない。』が長生きの秘訣、腎不全の最大の予防法となります。