飼い主と愛猫を結ぶ〜マイクロチップ装着を考える〜

マイクロチップを知っていますか?
動物病院ではマイクロチップの装着をすすめるポスターを貼っているところもありますので、
見たことがある人も多いと思います。
今回は、「一生ものの名札」と言われるマイクロチップについて考えてみましょう。
(執筆・取材/本田真智子)

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目次

    1.マイクロチップとは

    マイクロチップは、直径2mm、長さ約11mmの特殊ガラスで出来た棒状のもので、中には世界でただひとつの固体識別の情報(番号など)が入っています。これを使い捨ての太い注射のようなもので猫の体内に挿入し、固体識別の情報を登録しておくと、迷子などになった時にリーダーという機械でその情報を読み取り、飼い主を探すことが出来るというものです。種類はいくつかありますが、世界的に通用するISO規格のものがもっとも一般的です。また、発売するメーカーによって種類や特徴の多少の違いはありますが、機能はほぼ同じです。

    マイクロチップは首などにつける鑑札や名札などと同じですが、体に埋め込むことで、取れてしまうことありません。また、30年以上もつので、その猫が生きている間には取り替える必要がない、一生ものの名札と考えてよいでしょう。

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    2.最大のメリットは飼い主が分かること

    マイクロチップを猫が入れているメリットは、迷子や逃走した猫が保護された際に、動物愛護相談センターにあるリーダーで情報を読み取ることで、身元がすぐに分かるので、飼い主が見つからないことでの処分を未然に防ぐこと。また、事故にあって死んでしまった猫が飼い主の元に帰ることが出来ます。地震や火事などの災害時に、マイクロチップが入っていると保護と飼い主への返還がスムーズに行きます。

    また、現在は猫をオーストラリアやイギリスに連れて行く場合にはマイクロチップの装着が必須になっていますし、海外から連れて帰る場合にもマイクロチップが装着していると(その他の必要な書類がそろっていることが必要ですが)、検疫の係留検査の期間が短くて済みます。

    実際にマイクロチップを愛猫に装着するきっかけは、迷子防止、災害対策、海外への引越しなどが多いようです。

    その他、猫の盗難防止、捨て猫の防止、血統登録の管理、動物医療保険の個体証明などがあります。

    2006年ごろから、マイクロチップの普及が進んでいますが、これは行政が普及に力を入れていること、2005年に検疫制度の見直しが実施され、マイクロチップの装着が必要になったこと、集合住宅で猫と一緒に暮らす場合、マイクロチップの装着が義務付けられることが多くなったためなどが原因として考えられます。自治体のよっては、マイクロチップの装着の補助金を出しているところもあります。

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    3.マイクロチップを装着するには

    愛猫にマイクロチップを装着しようとする時には、まず、行きつけの動物病院に相談します。

    動物病院では申込書を書き、マイクロチップを注射器のようなもので体の中に装着します。装着の後には、必ずきちんと読み取れるかリーダーを当ててみることが大切です。

    また、マイクロチップ自体には、飼い主の住所・電話番号などの情報が入っていないので、マイクロチップの情報と飼主の情報を照合させるために、データベースへの登録が必要になります。登録先は、AIPO(Animal ID Promotion Organization 動物ID普及推進会議)と大日本製薬があります。登録先は自分の猫がどのメーカーのマイクロチップを装着したかによって違います。獣医師によって扱っているメーカーが違うと思いますので、登録先やメーカーによる機能の差などが気になるようでしたら、かかりつけの獣医師に十分説明を受けるといいでしょう。また、マイクロチップの番号は動物病院のカルテ、飼い主が常に身につけておく、自宅に保管しておくことが大切です。もしもの時に、愛猫を探す手立てになります。

    猫の背側頚部(首の後ろ側、真んよりやや左側)の皮下へのマイクロチップの挿入が一般的で、痛みはあまり感じないといわれています。去勢や避妊など麻酔をする時に、一緒に挿入すると簡単ですし、猫への負担も少なくて済みます。装着は猫は生後2週間、猫は生後3週間から可能です。自分の猫の状態を考え、動物病院で相談するとよいでしょう。

    料金はマイクロチップ代、獣医師への手数料、登録料で数千円(動物病院によって違う)。

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    4.マイクロチップのデメリットは

    デメリットはないといってよいでしょう。挿入に痛みもなく、猫の一生もち、安全面でも心配がありません。

    ただし、まだ普及率が低いので、保護されて動物愛護相談センターなどでリーダーを当てられる時に、当てる位置が悪くて読み取れなかった場合、マイクロチップを装着していないとされるかもしれないという心配があります。もっと普及率が上がり、猫はマイクロチップを装着していて当たり前だという認識になれば、読み取るまでリーダーを当ててくれるので、飼い主が見つかる確率もぐんと増えるでしょう。

    それでも、迷子や災害など万が一の場合を考え、愛猫を思って、マイクロチップを入れておくとよいでしょう。みんなが入れると、普及率が上がり、結果的に愛猫の命を守ることになります。

    取材協力:エルザ動物小鳥の病院 菅又恒子院長
    撮影協力:テッツ猫猫病院 大角哲也院長

    ※この記事は2007年8月のものです。以前よりだいぶ普及が進んできています。

    最後に…
    いかがでしたか?迷子になった猫にマイクロチップが入っていると保護と飼い主への返還がスムーズに行きます。愛猫がどこかに行ってしまったらと不安に感じている方は、マイクロチップを検討してみてはいかがでしょうか?

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