鮭は生まれた川から大海に出て数年すると、産卵のため同じ川に4000〜7000キロを泳ぎ母川回帰(ぼせんかいき)します。この時期のしろ鮭を秋鮭と呼びます。なぜ案内もなく母なる川に戻れるか不思議ですね。研究が進んで 鮭が持つ、臭覚や太陽コンパスなど色々な力を使い帰ってくると最近では考えられているそうです。
鮭は白身魚!!
きれいな赤い身の鮭ですが 実は白身魚なんです。
赤身魚の色はヘモグロビンなどの色素たんぱくですが、鮭はアスタキサンチンという、自然界が生み出す代表的な色素の1つカロテノイドの一種です。
ですから、赤身魚を加熱調理すると茶色っぽくなりますが 鮭は調理しても鮮やかなサーモンピンクを保っていられます。
鮭のサーモンピンクは食物連鎖から
アスタキサンチンは藻類(ヘマトコッカスなど)に含まれています。
でも直接 藻類を鮭が食べるわけではありません。
まずは、プランクトンが藻類を食べ→オキアミなどがプランクトンを食べ→それを鮭が食べて、身に蓄え赤くなります。
アスタキサンチンは抗酸化物質で、大海を泳ぎきる鮭の元気の素。
これを人が食べることでアンチエイジングにも役立つといわれています。
抗酸化物質って・・
私たちは毎日 呼吸で酸素を取り入れ生きていますが そのために体内では 体に悪影響を及ぼす活性酸素が生まれてしまいます。
たとえば、鉄を屋外に置いておくと段々とサビて行く状態です。
鉄にサビ止めを塗るように、私たちも抗酸化力のある食品を食べることで 活性酸素を消去することができます。
アスタキサンチンの抗酸化パワー
アスタキサンチンは私たちの細胞を傷つける活性酸素除去に強く働き、
下記のような健康効果が研究されています。
・目では・・・眼精疲労の軽減
・脳では・・・脳卒中の予防、記憶力の改善
・顔では・・・シミ、しわ、たるみ
抗酸化作用が特に多いと広く知られているビタミンEですが、アスタキサンチンはその1000倍の抗酸化力を持っています。
このパワフルな抗酸化力を逃す手はありません。
幸い、アスタキサンチンは通常の加熱調理では働きを失われることはないので
安心です。
秋の行楽のおともに!
行楽の秋、焼き鮭をほぐしてごはんに混ぜたおむすびをお弁当に。美味しく食べてスタミナを付けてください。
おすすめ秋鮭メニュー
<秋鮭のフライパンワイン蒸し>
両面をフライパンで中火でさっとやいたら白ワインを掛けふたをして弱火で蒸し焼きに。蒸すことでふっくらとした仕上がりに。
秋の味覚をお楽しみください。
若宮 寿子先生のプロフィール

若宮 寿子(わかみや ひさこ)
料理研究家・栄養士
若宮ヘルシークッキングスタジオ主宰。
あらゆる世代の健康を考えたヘルシー料理を雑誌・テレビで紹介。
農水省食育レシピにも携わる。
著書「大人の自炊」泉書房「おいしくなる料理のコツワザ」池田出版 他
若宮ヘルシークッキングスタジオHP
http://www.cooklook.jp/