秋に始める寄せ植え
#13 ゆっくり仕上げるサヤエンドウの寄せ植え

サヤエンドウのトレリス仕立て
秋に鉢の奥側にサヤエンドウのポット苗を植え、翌年の3月に矮性スイートピーの苗を鉢の手前にプラス。4月になってから真ん中の空きスペースにペチュニアをポットのまま仲間入りさせた寄せ植えです。
組み合わせた植物
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【植付けプラン】
※上から見た配置
- サヤエンドウ(白花) 2ポット(4株)
- 矮性スイートピー 2株
- ペチュニア(白色) 2株
- ペチュニア(ピンク) 1株
プランター&鉢サイズの目安
今回使用したのは傾斜した開口部がユニークな背の高いテラコッタ製の鉢(高さ:後部58、前部34×口径:前後40、左右38cm)です。
組み合わせのポイント
- 鉢の形を活かして縁高の部分にトレリスを立ててサヤエンドウを登らせ、スイートピーは背の低い矮性種を選んで手前に垂らします。
- 時間をかけて寄せ植えにするので、後列をエンドウ用、中央部をペチュニア用、前列を矮性スイートピー用と鉢内のスペースをあらかじめ配分しておきます。
- ペチュニアはポットで育て、花が咲いてから中央のスペースに入れます。寄せ植えの傍にペチュニアとカモミールの寄せ植えを添えても良いでしょう。カモミールはまわりの植物に活力を与えるといわれています。

鑑賞のポイント
- サヤエンドウは秋に定植してから収穫まで半年以上かかるので、その間は鉢が寂しい状態のままになってしまいます。そこで秋にはバーベナやナデシコ、冬にはビオラ、パンジーなどの耐寒性のある小型の花を鉢植えのまま飾るとよいでしょう。
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バーベナ
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ナデシコ
- 春になってサヤエンドウがトレリスを登りだすと、その下ではスイートピーのピンクの花が咲きます。さらに気温が上がってペチュニアが加わる頃、エンドウの白い花も開き、ピンクと白に彩られた華やかな鉢はようやく完成です。
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サヤエンドウ
育て方
- ◆タネ播き時期:
サヤエンドウ・・・9月下旬〜12月上旬 - ◆苗の植えつけ時期:
サヤエンドウ・・・11月下旬〜12月 - ◆収穫時期:
サヤエンドウ・・・翌4月〜6月
- マメ科の植物は、根に共生する根粒菌がチッソ分を供給してくれるので、肥料はチッソ分の少ないもので育てます。
- マメを播いている時にカラスに見つかると、マメは掘り出されて食べられてしまいますから、タネ播きはあたりを見回してからこっそりと。
- サヤエンドウの芽が出始めたら早めにトレリスを立てます。そして、芽の周りには細かく枝分かれした竹や剪定した小枝を密に差し込むなどして、野鳥に芽を食べられないように工夫します。うっかり全部食べられても、芽は再び出てくるのであきらめずに待ちましょう。
- マメ類もペチュニアも湿潤を嫌うので、水遣りは控えめに。
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ペチュニアの効力

ペチュニアの名前は、原産地の一つブラジルでタバコを意味する「petun」に由来しています。タバコの花とよく似ているので、以前はタバコ属に分類されていました。
ペチュニアは春から秋まで溢れるように咲き続けるので、圧倒的な人気を誇っていますが、観賞用以外の利点もあります。アメリカでは、マメの葉を食べるテントウムシ科の害虫を防除するコンパニオンプランツとして利用されているのです。
この虫はメキシコからアメリカに移入したもので、幸い日本にはいませんが、私のささやかな経験では、マメ類にペチュニアを寄せ植えすると、マメの葉の表面に白線で絵を描いたような痕跡を残すハモグリバエ(通称エカキムシ)の被害が少なくなるようです。
◆「木原先生のおいしい寄せ植え講座」に掲載されている写真は、木原先生が自宅の庭で楽しんでいる寄せ植えを撮影したものです。
◆植え付けと収穫の時期は神奈川県横浜市が基準となっています。皆さんのお住まいの地域に合わせて調整してください。
木原先生プロフィール
- 木原 ゆり子(きはら ゆりこ)
- 京都生まれ。(財)木原生物学研究所勤務を経て、木原記念横浜生命科学振興財団理事。神奈川県在住。自宅の庭に来るリスや野鳥や虫を友に花と野菜を栽培しながら、動植物に関するエッセイを各誌に執筆。
著書に「花もコンパニオンプランツも楽しむ〜オーガニック野菜の寄せ植え」(文化出版局)がある。
