
引っ越しにより新しい庭作りを始めて1年半。過去20年以上半日陰の庭と付き合ってきたので、日当たりの良すぎるこの庭では昔から育てていたホスタなどの植物が上手く育たず、どうしたものか思案に暮れることもあります。でも「植物は適材適所」が身上。今まで育てたことのない植物にもどんどん挑戦してみようと思っています。
私の庭作りはマダマダ途中。いつになったら私という人間を感じていただける景色になるやらわかりませんし、試行錯誤が永遠に続くかも知れません。そうであっても、庭作りをライフワークとし、庭を巡る冒険の旅を続けていこうと心に決めています。
春爛漫♪

10坪強の庭、フラットな土地を高低差のある庭にするのも新しく取り組んだテーマの一つ。掘った土を積んで作った築山には勿忘草やネモフィラなどブルーの小花を植えておき、春を迎え球根花が咲き、次第に華やかさが増すよう演出しました。ベル付きのオベリスク越しに見えるベニバナトキワマンサク・紅花ブラックパールは通りがかる方々に大変人気です。スイセンのフレグラントローズは芳香性とのことでしたがほんのり香る程度で、ちょっとがっかりしましたが、春の球根花は窓枠の色とのコラボレーションを意識して選びました。大好きな黄エビネも咲きました。新しい庭でも無事に根付いてくれてホッとしています。
人通りの多い住宅地にあるので、庭仕事をしていると「頑張ってね」と声をかけられることが増えました。最も日当たりの良い道路沿いの一角にはバラ・コーナーを設けました。庭が一年で一番華やぐ初夏、大好きなイングリッシュローズ、グラハムトーマスが我が家史上一番の花つきで咲いて、バラのアーチが黄金色に輝きます。
地植えにして二年目のカージナル・ドゥ・リシュリューや、通り沿いに植えたバフ・ビューティもたくさん花をつけました。通りがかる方々は思い思いに好みのバラを選んでいるそうです。
新しい庭作りで、実現したかったのは「ジキタリスが林立する庭」。林立といっても20本ほどですが、中央のオープンスペースを囲むように植えました。シャスターデイジーとのコンビも一寸カントリーっぽい風景になりとても気に入っています。シャスターデイジーは幼いころから身近に咲いていて、私がイングリッシュガーデンを目指すきっかけとなった花。たくさんの思い出があります。ルゴサ・ハンザとの組み合わせもお互いが引き立て合っています。
梅雨入りするころになると玄関前ではアジサイが咲いて、季節を感じます。道路側から見た築山はとても華やかで、イメージしていたイギリスのコテージガーデンチックに。花びらの外側が赤紫色で、花弁は厚く、内側が白く中心が黄色と、一輪で雰囲気の違いを楽しめるリーガルリリー。原種に近いらしく、毎年咲いてくれる丈夫なユリのはずなので、これからウチの庭の夏のシンボルとなって欲しいです。
庭を描く
上から眺めた7月の庭です。一番の大仕事はバーベキュー用のスペース作り。枕木風杉板とタフステイングストーンと煉瓦で土止め。椅子に座ると目線の位置となる場所に一年草と宿根草を組み合わせて植えて、通年花を眺められる場所にと考えています。今はアンゲロニア・セレニータが元気で、次々爽やかな色合いで咲いてくれています。庭の東道路側にはトキワマンサク・ブラックパールと、その両側に細く背丈のあるコニファーを。狭い庭を一種類の樹木で囲っても、ただ単調なだけな気がしたのです。
レンガを並べて作ったガーデンパス(というとカッコ良いけど、要は通路)です。レンガは縦に置いた方が奥行き感が増しますね。グランドカバーのヒメイワダレソウが良い仕事をしてくれます。大きなポイントはベンチ前に足置きも兼ね、レンガの質感や形を変えたアクセントスペースを作ったこと。ベンチの下には雑草除けに胡桃の殻を敷きました。まだまだ庭作りは途中ですが、まずは導線をイメージし、骨格をハッキリさせると、後々ゴチャゴチャにならずに済むように思います。
晩夏、東側から見た庭は大きく育ったノリウツギ同様、黄色の宿根ヒマワリの大株が初夏からずっと咲き続けて夏の庭らしい彩りに。オレガノ・ヘレンハウゼンも赤紫色に咲き続けています。一ヶ月以上はこの様な感じで、夏も淋しくならずに済んでいます。何よりハマナスの葉が散らずに残って緑のフェンスになっているし。玄関ドアの目隠しにはカロライナ・ジャスミンとローズマリーを植えた大型コンテナを置いています。アジサイの色に秋が感じられて気に入っております。
新しく庭を作る際、「これだけは外せない」と思っていた花木がいくつかあります。私の故郷の北海道に咲く花で、特に思い出の多いライラック、スズラン、ラベンダー、ハマナスなど、こちらの気候に合う種類を選んで育てています。子供の頃に道端に咲いていたり、学校行事の頃によく見かけた花だったり、私の世代が子供の頃は、田舎でも都会でもその土地ならではの園芸植物が身近にあったと思います。植物を選ぶ際、ガーデン雑誌やネットやショップなどで素敵と感じた植物だけでなく、何かしら思い出になった花など育ててみるのも良いのでは。その人なりのオリジナリティがより表現できると思うのです。
秋、冬を彩る花
秋らしい花といえばサルビア・レウカンサ。紫色のモフモフした花は長く咲き、花の少ない庭で目立っております。道路側法面にレモンイエローのカレンデュラ・かれんシリーズとカレンデュラ・コーヒークリーム、パンジーを植えてみました。花がら摘みをまめにすると長持ちするんですよ。玄関前は、カルーナ・ガーデンガールズを。本物のヘザー(群生している場所を「ヒース」というそうです)を植えたかったけど、それは気候的には無理なのでカルーナで。冬中花を楽しみその後は緑を楽しみたいです。旧庭から持ってきたリコリス・アルビフローラもコスモスの傍らに植えました。同じ花でも背景や周りに植えられている植物などの違いで、その輝きが違ってきます。咲いた時の風景を考えながら植えると、庭も美しくなるし、花も一層引立ちます。
パンジーやビオラで彩りから元気をもらいながらも、冬枯れた庭も私の好きな風景です。以前、花の空き地で刈り込まずに放置しておいた草花が、季節を感じる静かな佇まいを見せてくれたのが「枯れ花愛」に目覚めたきっかけ。新庭でもそのような風景をチョッピリでも味わいたくて、枯れ花の風景を作る植物を植えました。晩秋は枯れかけた風景を楽しまなくっちゃ。四季があるからできることじゃないかしら。
秋に作った寄せ植え。ミシン台の上が賑やかになりました。ブリキのジョウロ型ポットに植えた新顔のパンジー・フレアブルーは青と黄色の色合いと花びらの白い覆輪が超私好み。我が庭に初登場の個性的な花なので、寄せ植えにするより、こうして一鉢で眺めて楽しもうという魂胆。
額縁のハンギングは春まで変わりつづける花色も楽しみ。
春に近づくと玄関前では地植えのミニアイリスが満開。冬中咲いてくれたエリカ・ウィンターファイヤーは花が終わり、今後は黄緑色のグランドカバーとして育ってくれるでしょう。コンテナにはヘレボルスを。周りがシンプルな雰囲気だから、青いアイリスが一層目立ちます。バスケットの寄せ植えには、斑入り葉のナスタチウムを加えました。暖かくなって初めから植えているレモンイエローのブラキカムも次々花をつけています。こうした自然素材の鉢には素朴な花が似合うかなと思います。
プロフィール
Joさん
- 住まい
- 一戸建て
- ガーデニング歴
- 引っ越し前を含めて20年以上。
- お気に入りの植物
- バラ、アジサイ、宿根草
- ホームページ
- 旅するガーデナー(仮)
編集部より
20年以上のベテランガーデナーであるJoさんが取り組む、これまでとは異なる環境での庭作り。植物の適材適所を心掛け、新しい風景を一から作り上げています。家の外壁との色合わせや、限られた中でのメリハリある構成はお見事です。道行く方々も制作中の様子や、四季折々の変化を楽しみにされていることでしょうね。自分自身の経験に関わってきた植物を選ぶことでお庭にオリジナリティが生まれるとの考えは、とても心に響きました。Joさんの想いが伝わってくるお庭作りを、これからも楽しみにしています。