
アリを見て悲鳴を上げ、蝶に怯え、芋虫なんてもってのほか、バッタやカマキリを捕まえた男の子たちからは猛ダッシュで逃げる。私はかつてそんな子供でした。しかし今は、図書館に行っては昆虫図鑑を読みあさり、アリを見ても動じず、コガネムシの幼虫を手に集めて主人を驚かせ、小さな青虫くらいだったら手でもつぶせるくらい強くなりました。
人間って変わるものです。


菜園や庭を持つ人にとって、この虫との関係は必ずつきまとうもの。特に今の季節見ない日はありません。すぐそこの茂みからは蛾が飛び出し、隣の公園から渡ってきたであろう巨大な毛虫がひょっこり私の足を這っていたり・・・なんて事も結構あります。基本的に薬剤を使わない私にとって、虫を見つけたらすぐ捕殺がルールになっています。もちろん悪さをする虫に限ってのことですけどね。
ここ数年菜園と庭と虫たちと向き合って気付いたのは、彼らにもそこにいる理由が必ずあるという事。大抵この季節に卵を産み、こういった場所に付き、そしてこのような行動を取るといったお決まりの行動を繰り返しているのです。だから卵の産みつけ場所や発生の時期を知ってその段階で捕獲できれば、大量の虫にうんざりする事もないし、彼らにとって心地よい葉の密集した通気の悪い環境を提供するのではなく、居心地の悪い風通しの良い環境を作れば、どうにもならない程の虫の発生に悩む事もなくなるのです。虫を知り観察する事は、すなわち菜園や庭を健全に保つヒントになるのです。
でもこれからシーズン、木にしがみついて大音量で鳴きまくり、近くを通る物ならば羽音を立てながら飛んで行く夏の定番のセミだけは、なぜか苦手のまま。特に夏の終わりに予測不可能に飛んではあっちの道に転がる彼らの行動に、毎年怯え続けています。彼らだけは、どう努力しても好きにはなれそうにないけど、菜園に悪さをする訳ではないから、まあいっか。