本来なら食べられるのに期限切れや食べ残しなどで、無駄になる食品を減らす活動への関心が高まっています。日本の家庭で廃棄される食品の量が、世界の食糧援助に必要な量に近いのです。国際的にも家計的にも、食品を無駄なく大切に消費するための整理収納法をご紹介します。
1.冷蔵庫内を一目瞭然に整理整頓
食品保存に欠かせない収納と言えば冷凍冷蔵庫。食材の鮮度を保つための性能が向上したり、大容量で出し入れのしやすい機能が高まったりして、使い勝手がどんどん良くなっています。鮮魚やブロック肉はマイナス約3度のパーシャル室、豆腐やスライス肉は0度のチルド室、野菜や果物は野菜室、多めに買った食材やホームフリージングは冷凍庫で保存して、早めに使いきって無駄にならないようにしましょう。
そのためには、冷凍冷蔵庫の扉を開けたらどこに何があるのかが、ひと目で分かるようにしておくことが肝心。手前に置いてある食材の奥に隠れているものがあると、使い忘れてしまいます。そんなうっかりミスを予防するには、食材をバラバラに並べるのではなく、種類ごとにトレイやカゴを使ってひとまとめにしておくのがおすすめ。冷蔵室の棚は奥行きが深いので、引き出しのような使い方のできる細長い収納グッズを活用すると便利です。
参考にしたいこと
四角い形状の保存容器を並べたり積み重ねたりして一目瞭然に。トレイも四角い形状で揃えて種類ごとにひとまとめ。容器の正面にラベルを貼ると中身が見えない容器でも大丈夫
冷蔵室のドアポケットに定位置を設けて家族にも分かりやすく、在庫の管理も簡単
冷凍室ではホームフリージング用の保存袋を立て入れにして、見やすく取り出しやすく。残り物の小さな食品をカゴに入れておくと迷子にならない
2.食品収納は期限を守って在庫管理
食品には「消費期限」か「賞味期限」が表示されています。「消費期限」は、安全に食べられる期限を示しているので、それを超えたら食べない方が安全。「賞味期限」は、おいしく食べられる期限なので、それを超えたら臭いや見た目の状態で自己判断することになります。ただし、いったん開封したものは期限にかかわらす早めに使いきるのが基本です。また、砂糖や食塩など賞味期限の表示を省略できる食品があるので、高温多湿な状態を避けるなど適切な保存方法を守って未開封で保管しましょう。
乾物など保存のきく食品の場合は、「まだ大丈夫」と思っているうちに期限を過ぎてしまうことがあります。そこで収納するときには、期限の近い食品を手前に並べたり、重ねるときには一番上に置いたりするなど、取り出しやすくしておくといった工夫が必要です。
参考にしたいこと
開封か未開封か、乾物か調味料かといった区別をしてカゴに入れ分けてストック。期限の長い食品を一カ所に集めておくと管理しやすい
引き出し一段を食品専用の保管スペースにして容器を統一。ラベルを貼っておくと見つけやすい
床下収納庫には保存のきく食品をストック。フタを開けたときに、上から眺めて何処に何があるのかがすぐ分かるように詰め込みすぎないことが肝心
3.防災備蓄の定期点検
災害用に食品を備蓄する家庭が増えています。非常食として賞味期限の長い缶詰や乾物などを保管していても、期限を過ぎてしまって廃棄することが多いようです。そうした無駄をなくすために、日常の食事に取り入れて、備蓄する目的だけで収納しないという考え方を取り入れるといいでしょう。その一つとして「ローリングストック」といった方法があります。
長期保存といった視点で食品を選ぶだけではなく、日常食として食べやすいかどうかを考えて購入します。缶詰や乾物、レトルト食品などを使ったアレンジレシピを覚えて、普段から作り慣れておくと、いざというときにもサッと調理ができるので安心です。さらに、食べたことのある献立なら、非常時でも日常の食卓を感じることができます。
参考にしたいこと
1日3食で1週間ぶんを家族の人数から割り出して、必要な数量をラベルにしておくと、ストックを一定量に維持できる
飲料と煮炊き用の水として1人1日3リットルを目安に家族分を用意。ペットボトルの水も期限があるので、キャップなどにマジック書きしておくと安心
備蓄食品を収納するときには、キッチンの中か近い所に定位置を設けておくと、消費して補充する「ローリングストック」のサイクルが回りやすい
4.買い方と使いきり・食べきり方
「安いから」といって、使う当てがないまま食材をまとめて買ったりすると、使いきれずに腐らせてしまうことになります。たとえば、あらかじめ1週間分の献立を決めて、計画的に食品を買うといった方法があります。主菜と副菜、汁物の組み合わせを考えてみてはいかがでしょう。
傷みやすい葉物野菜は、その都度購入するか冷凍するといった使い方もあります。また、時間のあるときに惣菜を作りおき用に調理したり、残り物を使い切るためのレシピを身につけておいたりするのもいい手です。さらに、醤油や油などの調味料を大きなサイズから小さなサイズに切り替えて、早めに使い切って買い足すようにすると、収納スペースを有効に使うことができます。
参考にしたいこと
残った惣菜を食器のままラッピングして冷蔵庫に入れるのではなく、保存容器に移し替えて保管。スペースの無駄がなく見て分かりやすい
野菜が傷まないうちに、チャプチェやナムル、ピクルスにするなど作りおきして、もう一品ほしいときに食卓をにぎわしたい
たまねぎやにんじんの皮、長ネギの青い部分、セロリの葉など、捨てずにベジブロス(野菜だし)としてスープやカレーに応用。栄養価が高くておいしい料理ができる
まとめ
食品の無駄をなくそうと思うと、収納法と在庫の管理法について考えるようになると思います。さらに食材をフルに活用して、おいしく栄養価の高いレシピとは?といった発想へとつながります。その結果として食費の無駄がなくなり健康になる!家族にも良いことがもたらされますね。
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プロフィール
すはらひろこ (片づくおうちプランナー)
一級建築士、インテリアコーディネーター
株式会社アビタ・クエスト代表取締役
共働き経験をいかした収納術とおしゃれなインテリアで、雑誌のビフォアアフター企画でも活躍。 TV東京TVチャンピオン【お部屋リフォーム王】、TBS系「王様のブランチ」、NHK総合「あさイチ」ほかテレビ・ラジオ出演や講演、著書など多数。
総合情報サイト【オールアバウト】で収納ガイドを務め、連載記事は幅広い読者層に好評。
著書:『1分からはじめるかたづけ術』(だいわ文庫)
『朝、着る服に迷わないハッピー収納術』(大和書房)
ほか
