原因
生後間もない仔犬で成長に伴う臍輪の閉鎖が不十分で、その孔が大きい時に起こります。便秘や激しい運動、肥満などによる腹圧の急上昇が発生・進行の原因になることがあります。
シーズーで発生が多いです。
避妊手術の後に縫い目が閉鎖せずにヘルニアを起こす事もよく見られます。
本来は腹壁ヘルニアと呼ぶべきでしょうが、状態としては全く同一です。
症状
ヘルニア嚢(出べそ)の大きさはその内容によって、くるみ大〜リンゴ大まで様々です。触るとやわらかく、出ているものが押して戻ったりする程度であれば様子見で大丈夫です。腹腔内の孔近くにある脂肪組織が皮下に飛び出している軽症例がほとんどですが、小腸が大量に入り込んで絡まったりするとヘルニア嚢やその周辺が腫れ、腸内容の通過障害を起こすこともあります。腹部の痛みや便秘などの症状に注意しましょう。
今まで何でもなかったのに、突然腸や脂肪が脱出して梗塞を起こすこともあります。
治療
臍ヘルニアが小さいものは、生後1ヶ月の間に自然治癒することがあります。生後6〜8ヶ月までの間に自然治癒することも少なくありません。したがって小さい臍ヘルニアは6ヶ月以上経過を観察し、治癒しない場合に治療することが多く、避妊手術等の開腹手術の際に同時に整復することも可能です。
ヘルニア内に脂肪が固着して引っ込まなくなる場合もよく見られますが、この方がかえって腸の脱出の危険がなくなりますので安全です。
多くの臍ヘルニアは無処置でも問題は生じません。
腸管や脂肪が脱出したまま締め付けられた状態(カントンという)になると、血行阻害を起こして硬化・変色します。このような症例ではかなり痛みを伴います。
こうなると外科手術による治療が必要になります。