眼は房水と呼ばれる液体で満たされ、一定の固さを保っていますが、何らかの原因により、この房水の流れが阻害され、眼圧(眼球内の圧力)が高くなってしまうことによって起こる一連の症状を緑内障といいます。
白内障ほど多い病気ではありませんが、症状が激しく、痛みを伴うため、重要な眼疾患のひとつとされています。
原因
次の3つに分類されます。
1.先天性
生まれつき、眼房水の流出路に異常がある場合です。
2.続発性
他の病気が原因で起こります。原因となる病気としては、ブドウ膜炎、水晶体の脱臼、外傷や腫瘍の発生などがあります。これらの原因疾患が房水の排出を担っている隅角の閉塞を引き起こして緑内障へと進行します。
3.原発性
原因不明の場合です。
症状
激しい痛みを伴って発症することが多く、眼を細めたり、眼の周囲を触られるのを嫌がります。
人間もそうですが、犬の場合も眼が痛いと目を閉じたままとなり、涙も多くなります。
外観上の変化としては、眼は充血、瞳孔は散大、角膜が混濁していることもあります。
多くは光をあてても瞳孔が収縮しなくなります。片目だけでなる場合もあれば両目同時になる場合もあります。
視野の異常から末期には視力低下、眼圧の上昇が持続すれば永久に失明状態となり、眼球が大きくなって突き出てしまうこともあります。
診断
眼圧測定検査、隅角鏡検査、眼底検査などを含む眼科検査によって確定診断されます。
治療
急性の緑内障の場合、眼圧を下げるために緊急の処置が必要になります。
治療は状況に応じて、点滴や注射などの入院治療、点眼や内服薬などの在宅治療で内科的に行われます。初期の緑内障では瞳孔を収縮させる点眼薬で進行を遅らせます。
対策
早期発見が難しい病気です。残念ながら受診時に視力を失っている場合が多く見受けられます。緑内障は原因疾患から続発するケースが多いため、眼に関してはささやかな異常であっても病院で受診することが大切です。
眼は動物の生活の質に大きく影響している感覚器のひとつです。また精巧で傷つきやすく、活動時は休む間もなく働いているので、体の変化、年齢の影響が最も現れやすい器官とも言えます。普段から愛犬の眼の健康に注意しましょう。