
インスリノーマとは、すい臓に腫瘍ができることで、生命に関わるような低血糖をひきおこす病気で、一般的には中年(3歳)以降に多発します。 すい臓は、血糖値を下げる働きをするインスリンというホルモンを分泌して、常に血糖をコントロールしていますが、そのホルモンが必要以上に分泌されてしまうのがインスリノーマです。逆に分泌がたりなくなる病気が糖尿病です。 フェレットのインスリノーマは、高齢のフェレットに一般的にみられる腫瘍性の病気で、完治は困難ですが、早期に発見できれば手術や内服薬にて一定期間良好に保つことができます。 通常時血糖値が80mg/dl以下、空腹時血糖値が60mg/dl以下の場合はインスリノーマと診断されます。
【症状】
一般的な症状は、よだれを流したり、口元を手で掻いたり、ふらつきがみられ、進行すると歩けなくなり、やがては昏睡状態におちいります。 しかしそのような症状が現れる前に、よく観察すると、時々ボーッとしたり、視線が宙をさまよう感じが初期症状としてみられます。 そのような状態の時は血糖値が低くなっているときですが、血糖値が上がるとまた自然に元に戻ります。インスリノーマでは通常、食欲や元気は特に変化はありません。 昏睡状態におちいった時は、お湯で薄めたはちみつなどをなめさせて(なめない時は歯茎にすりこむ)至急に血糖値を上げなければ危険です。
【治療】
内服薬による治療と手術による治療があります。しかしすい臓にできた腫瘍は、悪性のものが多く、どちらの治療も病気を完治するものではありません。しかし、状態を良好に保ち、生命に関わる低血糖を起こさないようにするには、どちらもたいへん有効な治療です。 内服薬による場合は、血糖値を上げるように作用するホルモン剤を1日2回投与して、コントロールしますが、次第に増量が必要となり数ヶ月から1年程度で効果がなくなってしまいます。また薬による副作用(免疫力低下や、ホルモン異常など)の心配も少なからずあります。 手術による場合は、すい臓にできた腫瘍を切除することでインスリンの分泌を減らす方法です。早期に実施するほど経過は良好となります。 効果は、内服薬よりも持続し、副作用もありませんが、手術に耐えられる体力があるか慎重に検討しなければなりません。 2つの治療法はどちらがいいということはありません。フェレットの年齢、体力、病気の重症度などを総合的に考慮して最終的に判断します。 低血糖を予防するために、フードは常に与えて切らさないようにします。糖分の入ったものは与えないようにして、高たんぱくの良質のフードを与えてください。