使いこなそう!ワールドスパイス

買ったけれど、いつも余ってしまいがちなスパイスを使って簡単につくれる夏メニューのレシピを、インド・スパイス料理研究家・香取薫さんにお聞きしてきました!

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目次

    料理にちょっと加えるだけで、味をグンとひきたててくれる魔法のスパイスたち。でも、上手に使いこなせない、最後まで使い切れず…とお悩みの方は意外と多いのでは?
    そこで今回は、買ったけれど、いつも余ってしまいがちなスパイスを使って簡単につくれる夏メニューのレシピを、インド・スパイス料理研究家・香取薫さんにお聞きしてきました!

    香取薫さん

    この方に教えていただきました!

    インド・スパイス料理研究家 香取薫さん

    1885年、ボランティアで訪れたインドでスパイス料理に魅せられ、本格的に研究を始める。インドのさまざまな地方を訪れ、主婦たちから本場の家庭料理を習う。1992年に「キッチンスタジオペイズリー」をスタートさせ、料理教室などを通じてスパイスの普及とインド文化の紹介に取り組んでいる。日本アーユルヴェーダ学会評議員、日本香辛料研究会会員。著書に『5つのスパイスだけで作れる! はじめてのインド家庭料理』ほか多数。

    ●「キッチンスタジオ ペイズリー」のサイトはこちら: http://www.curry-spice.jp/

    かつお節とココナッツファインの意外な組み合わせは、一度食べたらやみつきに!
    食べるラー油で下味をつけたコリッコリの砂肝は、ビールのお供にぴったり
    中身の具を変えたり、タレを変えてバリエーションを楽しむインド風タコ焼き
    ひと手間加えるだけで、スパイスの香り高い本格派ピクルスが完成!
    こんなことにも使えちゃう! スパイスの意外な活用法を伝授!
    ナンプラー×ココナッツファイン
    セロリのサンボーラ風
    本場のサンボーラは、日本のカツオ節によく似た乾燥食品「モルディブフィッシュ」とココナッツファインを使ってつくるスリランカの伝統料理。
    野菜のシャキシャキっとした食感とココナッツのほんのりとした甘みのコラボレーションは、一度食べたらやみつきに。 暑さで食欲が落ちてしまいがちなこれからの季節も、さっぱりおいしくいただけますよ。 お好みでレモン汁を絞ってもGOOD!
    材料(4人分)
    セロリ 1本半
    紫玉ねぎ 1/4個
    トマト(固めのもの) 1/4個
    かつおぶし 3g
    ココナッツファイン 大さじ2と1/2
    塩 小さじ2/3
    砂糖 小さじ1/3
    こしょう 小さじ1/4
    ナンプラー 数滴

    作り方
    (1)セロリはすじを取って4cmくらいの長さに細切りにし、熱湯に約10秒間つけてしんなりさせ、すぐザルにとる(写真a)。
    (2)紫玉ねぎは縦半分に切り、さらに繊維と直角方向に半分に切って薄切りにする(写真b)。トマトは5mm厚の薄切りにする。
    (3)大きめのボールに、セロリ、紫玉ねぎ、トマト、ココナッツファイン、塩、砂糖、こしょう、かつおぶしを入れて混ぜる(写真c)。
    (4)最後にナンプラーを数滴加え、味を調える。

    セロリは、食感を残したいのでさっと熱湯にくぐらせる程度でOK。

    玉ねぎは生で食べるので、臭みの少ない紫玉ねぎがおすすめ。和えたときの彩りにも。

    最後にナンプラーを加えれば、アジアンテイストな仕上がりに。
    セロリの代わりに、セリやみつばなど、
    苦みのある菜っ葉を使っても美味しくできますよ。
    食べるラー油×カレー粉×五香粉
    砂肝野菜炒め
    一時期、スーパーから姿を消してしまうほど大人気だった「食べるラー油」を使った炒め物。「カレー粉」「五香粉」のスパイスをさらに加えて、ストックバックを使って砂肝にしっかりと下味をつけることで、噛むごとに口の中に奥深い味わいが広がります。ビールのおつまみにもぴったりの一品です。
    材料(4人分)
    砂肝(筋をとってあるもの) 200g
    ピーマン 2個
    パプリカ(赤) 1個
    食べるラー油 小さじ2
    カレー粉 小さじ2/3
    塩 小さじ2/3
    サラダ油 大さじ1
    酒 大さじ1
    五香粉 少々

    作り方
    (1)砂肝は横向きに包丁を入れ、スライスする(写真a)。ピーマンとパプリカは5mm厚の細切りにする。
    (2)スライドジッパー付きストックバックに砂肝、食べるラー油、カレー粉、塩を入れ(写真b)、袋のままもみ込んで下味をつける。
    (3)フライパンか中華鍋にサラダ油を熱して、砂肝を炒めて酒をふり、火が通ったら一度出しておく。
    (4)3で使ったフライパンで野菜を炒めて、軽く塩こしょう(分量外)をし、取り出しておいた砂肝を戻して、最後に五香粉をふる(写真c)。

    砂肝は、筋取りされたものを買うと下処理をする手間が省けて便利。手に入らない場合は、鶏肉や豚肉で代用してもOK。

    袋の上からよくもみこむ。最低30分は冷蔵庫に入れてやすませます。

    五香粉は中国の代表的な混合香辛料。シナモン、クローブ、フェンネル等の粉末が入っています。
    インド料理風に仕上げたい時には、五香粉の代わりに
    ガラムマサラをふると香り高く仕上がります。
    ピーマン、パプリカは、冷蔵庫の残り野菜で
    自由にアレンジしてみてください。
    スパイスコラム スパイスの意外な活用法@
    食前のクミンティーで
    消化力アップ!


    カレー粉によく使われるクミンシードは、エジプト原産の一年草の種子を乾燥させたもの。食欲増進や消化吸収を促す働きがあるので、食前に少し飲むのがおすすめ。煎ったクミンシードは、サラダにトッピングしても美味!
    切り傷、打ち身には
    ターメリッククリーム


    ウコンの根茎を乾燥させて粉末にしたターメリックには、鎮痛、殺菌作用があります。ギー(※)で練って作った軟膏は、外用薬として切り傷や打ち身、捻挫、かゆみに使えます。
    ※ギー:バターから不純物、たんぱく質を除去した純粋なオイルのこと
    クローブを舐めて口臭予防

    甘い香りがする常緑樹のつぼみを乾燥させたクローブには殺菌力があり、舐めることで口臭を予防する効果が。また、麻酔効果があるので、歯医者で鎮痛剤としても使われています。
    スイートチリソース×コチュジャン
    パニヤラム風インドスナック
    見た目はタコ焼きっぽいですが、タコは入っていない「パニヤラム」という南インドのスナック。現地では、朝食やおやつとしてよく食べられています。
    来客時に、ワイワイおしゃべりしながら焼くのが楽しい、もちっとした食感がたまらない一品です。
    材料(24個分)
    小麦粉 1カップ
    上新粉 1カップ
    だしのもと 小さじ1
    卵 1個
    ししとう 8本
    玉ねぎ 1/2個
    しょうが 1かけ
    クミンシード 小さじ1
    塩 小さじ1
    水 350〜380cc

    タレの材料
    ・スイートチリソース(市販品)
    ・コチュジャンタレ(以下の材料をよく混ぜる)
    コチュジャン 大さじ1
    酢 大さじ1
    しょうゆ 大さじ1
    ごま油 小さじ1/2
    砂糖 小さじ2
    長ねぎみじん切り 大さじ1
    白ゴマ 小さじ1
    作り方
    (1)玉ねぎ、ししとう、しょうがは全てみじん切りにする。クミンシードはカリッとするまで、から炒りする(写真a)。
    (2)ボールに小麦粉と上新粉、だしのもと、塩を入れてよく混ぜる。さらに、水と卵をよく混ぜたものを少しずつ加え、泡立て器でなめらかになるまで混ぜる(写真b)。生地の様子をみながら水の量を調節する。
    (3)1の野菜とクミンシードを入れて混ぜる。たこ焼き器にサラダ油(分量外)をひいて焼く(写真c)。


    香りが十分に出るまでから炒りします。黒く色づき、食べてみてカリッとしていればOK。焦げやすいので注意。

    生地は、上新粉を加えることでサクッとした焼き上がりに。クミンシードのプチプチとした食感も楽しめます。

    お好みで、コーン、ひよこ豆、刻みベーコン、ツナ缶などの具を混ぜて焼くと◎。
    南インドでは、辛いチャトニ(ペースト状のソース)に
    つけていただくパニヤラム。
    ホームパーティなどでは、タレをいくつか用意して
    いろんな味を楽しんでみてはいかが?
    フレンチドレッシング× ガラムマサラ×ローレル×たかのつめ
    ゴーヤのインスタントピクルス
    市販ドレッシングにから炒りしたスパイスを入れる、というひと手間をプラスするだけで、スパイスの香りがアクセントになった本格派ピクルスが完成!程よい苦みと酸味のあるピクルスは、食前に食べることで唾液の分泌が促され、消化促進にもつながります。ストックバッグの中で簡単に作れるので、季節の野菜を漬けて常備菜にしてみては?
    材料(中サイズ1本分)
    ゴーヤ 1本
    にんじん 小1本
    塩 小さじ2
    <インスタントピクルス液>
    フレンチドレッシング 1本
    たかのつめ(種ごと輪切り) 1本分
    ローレル 2枚
    黒こしょう(粒) 10粒
    ガラムマサラ(お好みで) 少々

    作り方
    (1)ゴーヤは縦半分に割り、種とわたを取って4〜5mm厚さに切る。にんじんは、長さ4cmの細めのスティック状に切る。
    (2)切ったゴーヤと、ニンジンを同じボウルに入れ、塩を振りかけてまぶし15分置く。水が出てきたら、ザルにあげて水をきっておく(写真a)。
    (3)フライパンに、たかのつめ、ローレル、黒こしょう粒を入れ、から炒りする(写真b)。
    (4)ジッパー付きのストックバックにフレンチドレッシング1本分をあけ、3のスパイスを入れ、2の野菜を漬ける(写真c)。冷蔵庫に入れて30分ほど味をなじませる。

    ゴーヤの白いわたの部分は苦みになるので、しっかり取り除きましょう。

    中弱火でから炒りします。ローレルに色がつき、香りが出て来たら取り出します。

    インスタントピクルス液に野菜を入れたら空気を軽く抜いてもみこみます。
    その日からすぐに食べられるピクルス。
    食べる直前にガラムマサラを少々ふると、
    香りが生き返っておいしくなります。
    一週間以内に食べきるようにしましょう。
    スパイスコラム スパイスの意外な活用法A
    寝る前にサフランミルクで
    ほっと一息♪


    アヤメ科蕃紅花の花一輪から少ししかとれないめしべを乾燥させたもので、古来より高級スパイスとして使われていたサフラン。女性の生殖器系を活性化させる働きがあり、生理痛、月経不順などを改善してくれます。また、体を温めてくれるので、夏の冷房による冷え対策ドリンクとしてもおすすめです。
    フェンネルシード×シュガーを
    食後の新習慣に


    セリ科の植物の種であるフェンネルシードは、インドでは消化を促進するスパイスとして食後によく摂られています。噛むと口の中がすっきりし、消化を促進するだけでなく口臭対策にもなります。女性には、月経を促進し、授乳期の母乳分泌を促す働きがあります。
    イラッとしたときにはカルダモンでリフレッシュ!

    緑色のさやの中に入った黒い種子でさわやかな芳香のあるカルダモン。一口噛めば、清涼感が口の中に広がりリフレッシュ効果があります。また、カフェインの毒性を中和する働きがあるので、コーヒーに入れてカルダモン・コーヒーとして飲んでも◎。
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