空気が乾燥する日本の冬。どうしても喉が渇き皮膚もカサカサしがちです。それだけでなく、空気が乾燥していると風邪を引きやすくなります。
そこで登場するのが加湿器。空気の乾燥を防ぎ、居心地よい室内の環境を作るためには欠かせない存在です。冬場は加湿器をフル稼働させているという家庭も多いのではないでしょうか。
加湿器をどのように使えば効果的に湿度を上げ、心地よい部屋を作ることができるか知っていますか?加湿器の賢い使い方をお伝えします。
1.加湿器の効果は?風邪やインフルエンザ予防になる?
冬は風邪を引いたりインフルエンザにかかったりする人が増えますが、これは単純に寒くなったからというだけではありません。日本の冬、とくに太平洋側では雪や雨がほとんど降らず、乾燥した日が続きます。
空気が乾燥すると、風邪の原因になるウィルスも軽くなり空気中を漂いやすくなります。そして私達の口や鼻に簡単に入り込んでしまうのです。
また、空気が乾燥すると鼻やのどの粘膜も乾燥します。すると体内に悪いものが入ってくるのを防ぐ力が弱まり、吸い込んだウィルスがあっというまに増殖してしまうのです。
風邪を防ぐためには、室内の湿度が下がり過ぎないように注意することが大切です。
理想的な湿度は50%〜60%。このくらいに保つと、それほど乾燥を感じず、ウィルスにも感染しにくくなります。
加湿器でじゅうぶんに室内を加湿し、風邪を引きにくく心地よい空間を保ちましょう。
2.加湿器の種類、メリットとデメリット
「やっぱり冬場は加湿器が必要」とお店に加湿器を見に行くと、たくさんの種類があって驚くのではないでしょうか。加湿器は大きく分けると4つのタイプがあり、それぞれに特徴があります。
- スチーム(加熱)式
タンクの水を沸かしてお湯にし、蒸気を放出することで加湿するタイプです。
メリット ・お湯を沸かすため雑菌が繁殖しにくい
・シンプルなデザインが多いので手入れが簡単
デメリット ・消費電力が高くなる(電気代が高い)
・吹き出し口が熱くなるため火傷の危険がある - 気化式
フィルターが水を含む構造になっており、そのフィルターに風を当てて湿った風を送り加湿すると言う仕組みです。
メリット ・消費電力量が少ない
・タンクの容量が大きいタイプが多いため、こまめに水を注ぎ足さなくても良い
デメリット ・冷たい風が出てくるため、寒いと感じる可能性がある - 超音波式
超音波で水を震わせて、水を細かい粒子にして放出させる加湿器です。
メリット ・本体の値段が安い
・おしゃれなデザインのものが多い デメリット ・水に含まれる塩素なども全部放出してしまう
・雑菌が繁殖しやすいためこまめなお手入れが必要 - ハイブリット式
2つの機能をあわせた加湿器で、気化式+ヒータータイプと、超音波+ヒータータイプがあります。
- 気化式+ヒータータイプ
濡れたフィルターに温風を当てて効率よく水分を蒸発させる加湿器です。
メリット ・気化式よりも早く加湿できる デメリット ・消費電力が高い
・音がうるさい機種がある - 超音波+ヒータータイプ
ヒーターで加熱した水を霧状にして放出する加湿器です。
メリット ・水を加熱するので雑菌が繁殖しにくい デメリット ・消費電力が高い
3.加湿器の効果的な範囲
加湿器は、タンクに入れた水を水蒸気や細かい粒子にして空気中に放出することで湿度を上げていきます。どのくらいの量の水分を空気中に放出できるのかというパワーが加湿器により異なるため、使う部屋の広さに合った能力を持つ加湿器を選ばなくてはいけません。
加湿器の能力は「ml/h」や「kg/h」で表示されます。これは1時間あたり何ミリリットル(もしくはキログラム)の水分を空気中に放出できるかという値です。この値が大きくなるほど、1時間に加湿できる能力が高いのです。
一般的に、使用する部屋の広さとそれに適応する加湿器の能力は以下の通りです。
- 300ml/h プレハブ8畳・木造5畳
- 400ml/h プレハブ11畳・木造7畳
- 500ml/h プレハブ14畳・木造8.5畳
- 700ml/h プレハブ18畳・木造11畳
- 800ml/h プレハブ22畳・木造13.5畳
木造住宅で6畳の部屋なら、300ml/hもしくは400ml/hの能力の加湿器が適しているということになります。
また、部屋の床面積だけでなく、部屋全体の広さや利用する暖房器具をもとに加湿器を選ぶことも大切です。
例えば、加湿器を使う部屋の天井が高い場合は室内の空気量も多くなります。また、暖房にエアコンを使う場合、そのほかの暖房器具と比べて空気が乾燥しがちです。
そのような場合は能力の高い加湿器を選ぶようにすると、より効率よく部屋を加湿できます。
できれば、加湿器の水替えの頻度は少ない方が良いという人が多いでしょう。その場合はタンクの容量に注目します。加湿器によってタンクの容量が変わり、大きな容量のタンクは長時間使えることが多く、水を入れ替える手間が省けるのが魅力です。
しかしその分、水を満たしたタンクは重くサイズも大きい点に注意しましょう。大きな加湿器をどこに置くのか、重たい加湿器のタンクを運ぶことになるが大丈夫なのかなども考慮する必要があります。
4.加湿器の効果的な置き場所はここ!
加湿器を部屋のどこに置くかによっても、加湿の効果は変わります。加湿器を置くときに注意したいポイントは以下の通りです。
- ・置く場所はできるだけ部屋の中央(エアコンを使用しない場合)
- ・床に直置きではなく、椅子の上やテーブルの上など高い位置に置くと良い
- ・テレビやオーディオ家電製品の近くは避ける
- ・エアコンの風が当たるところには置かない
- ・エアコンの真下がおすすめ
加湿器は部屋の中央に置くと部屋全体に湿った空気が行き渡りやすくなります。部屋の隅に置くと一部だけを湿らせて部屋の湿度が一定になりにくいので、できるだけ中心で使いましょう。
但し、エアコンと使う時は部屋の中央ではなく、エアコンの真下に置くとより効果的です。エアコンの温かい空気は上へ、冷たい空気は下に溜まります。エアコンの真下に置くと、加湿器から出た空気がエアコンの温かい空気に乗って部屋全体に広がりやすく、効果的に室内を加湿できます。
反対に床近くの低い場所は、温度が低く空気が動きにくいため、加湿器を床に近い場所に置くと、なかなか部屋全体が加湿されません。エアコンの下の少し高さがある場所に加湿器を置くのがおすすめです。
ただし、エアコンの風が直接当たる場所に加湿器を置くと、加湿器のセンサーが誤作動しやすくなります。エアコンの真下はエアコンの風が当たりにくいので、そういう意味でも「真下」が良いのです。
また、テレビやオーディオ家電製品の近くは避けましょう。精密機械にとって、水分は大敵。加湿器から出る水分も、長時間浴びせると故障の原因となります。
5.まとめ
加湿器にはさまざまなタイプがあり、それぞれ特徴が異なります。消費電力や手入れの頻度、出てくる空気の質に違いがありますので、特徴をよく知った上でどんな加湿器を選ぶかを決めましょう。
また、使用する部屋の広さや使う暖房器具によっても、どの程度の能力を持つ加湿器が良いかが変わります。加湿器ごとに「このくらいの広さの部屋にちょうど良い」という広さがありますので、使う部屋に合った加湿器を選びましょう。加湿器は床よりも少し高い場所で、部屋の隅ではなく中央付近に置くのがおすすめです。
もっともおすすめなのはエアコンの真下。とはいっても、エアコンの下は壁沿いになるため、エアコンをつける時はエアコンの真下、エアコンをつけていないときは部屋の中央など、状況によって加湿器を移動させても良いでしょう。