冬場は空気が乾燥していて、暖かくしようとエアコンをつけるともっと乾燥してしまいますよね。そんな冬場の必須アイテムとなっているのが加湿器です。おしゃれなデザインのものや、いろいろな機能が付いている加湿器が発売されています。
冬は手放せない加湿器ですが、実は内部がとても汚れやすいということを知っていますか?種類別の加湿器の汚れや、お手入れ方法をお伝えします。
1.実はこんなに汚れている加湿器
「加湿器は水を水蒸気にして空気中に放出するだけだから、汚れようがない」と考えている人が多いかもしれません。確かに使用するのは水だけなので、たとえ汚れたとしてもたかが知れているように思えます。
しかし、加湿器を使っていると、水が触れる部分にいつのまにか水垢が付いていることに気づくのではないでしょうか。加湿器に入れる水道水には塩素やカルシウム、ミネラルなどのさまざまな成分が含まれています。
それらが水垢となってフィルターに付着すると、嫌なニオイが発生することがあります。また、水垢によってフィルターの目が詰まり加湿能力が落ちます。

加湿器にはいろいろな種類がありますが、その中でも超音波加湿器は、タンクの水をそのまま超音波で細かい粒子にして放出しています。そのため、水の中に雑菌が混じっていた場合、雑菌も一緒に部屋の中にまき散らしてしまうのです。
雑菌が混じった水が放出されると、呼吸をするときに雑菌も一緒に吸い込むことになり、いろいろな病気になる可能性が高くなります。

さまざまな雑菌の中でも注意が必要な雑菌のひとつがレジオネラ菌です。レジオネラ菌は土の中など自然界に存在する菌で、自然界にある分には問題ありません。
しかしお湯を循環させる方式のお風呂や噴水、そして加湿器など、人工の環境下で増殖しやすくなります。

特に、水や設備が衛生的に保たれていない場合に増殖することが多く、レジオネラ菌がたくさん含まれた水がある環境下にいると、どうしても空気中に交じる菌を吸い込んでしまうのです。
レジオネラ菌をたくさん吸い込むと肺炎などの重篤な症状を引き起こすことがあり、死亡するケースもあります。特に体力がない子どもや高齢者は感染しやすいため、加湿器を清潔に保って菌が発生しないように注意しなくてはいけません。
加湿器を使用する際は、毎日水を入れ替えてきちんとお手入れすれば、風邪予防にもつながる便利なアイテムです。加湿器を選ぶ時は、デザインだけを重視するのではなく、お手入れする手間も考えて選ぶ必要があります。
2.加湿器の種類とお手入れ方法
加湿器にはいろいろな種類があり、それぞれ水を空気中に放出する方法が違います。また、種類によって汚れやすさが変わります。
汚れやすい順に加湿器の種類とお手入れ方法をお伝えします。
- 1位 超音波式
加湿器の中で最も汚れやすいのが超音波式の加湿器です。
デザイン性が高くおしゃれな見た目のものが多いのが特徴で、値段もリーズナブルです。超音波式の加湿器は、タンクの水を超音波で細かい粒子に変え、細かい粒子を空気中に放出します。
このとき、水に含まれるものをそのまま全部放出するため、水に雑菌が混じっていると雑菌混じりの粒子が出てくるという危険性があります。
お手入れ方法タンクの水は毎日交換します。交換時にタンクに少量の水を入れてフタをし、振り洗いして水を捨てましょう。
本体に残っている水を捨て、柔らかい布で拭きます。水位センサーや超音波振動子は柔らかいブラシまたは綿棒で掃除します。フィルターやトレーなど外せるところがあれば外し、一緒に流水で洗う、布で拭くなどのお手入れをしましょう。
- 2位 気化式
気化式の加湿器は、水をフィルターに吸わせてファンの風を送ることにより湿った空気を放出します。
電気代が安いのが特徴ですが、フィルターが常に水を含む状態となるため、こまめに水を変えてフィルターのお手入れをしないと雑菌が繁殖しやすくなります。抗菌仕様のフィルターを使用している場合もありますが、こまめな手入れが必要です。
お手入れ方法タンクの水は毎日交換します。交換時にタンクに少量の水を入れてフタをし、振り洗いして水を捨てましょう。
フィルターは1ヶ月に1度掃除をします。お手入れサインが点灯してお手入れ時期を教えてくれるタイプもありますので、サインが点灯したらすぐにお手入れをしましょう。フィルターは外して水ですすぎながら洗います。加湿気化フィルターは水で押し洗いします。洗った後すぐに加湿器を使う場合は、濡れたまま取り付けて問題ありません。
においが気になるときは、加湿気化フィルターをクエン酸水でゆすいだり、浸け置きをしたりして洗うと汚れが簡単に落ちます。(気化フィルターは定期的な交換が必要です。取扱説明書を見て交換時期が来たら新しいものに変えましょう。)
トレーは水洗いして、フロート周りは細めの綿棒などで汚れを落とします。 吸気口・吸気口カバーは外して掃除機などで汚れを吸い取り、元通りに取り付けます。
- 3位 スチーム式(加熱式加湿器)
スチーム式の加湿器はタンクのお湯を沸かし、その蒸気を放出するシステムです。お湯を沸かすため煮沸消毒されるので、放出される蒸気に雑菌が混じる心配がぐっと少なくなります。
ただし、お湯を使うので吹き出し口が熱くなりやすいのがデメリット。小さなお子さんやペットがいる家では、置く場所を注意しなくてはいけません。
お手入れ方法タンクの水は毎日交換します。交換時にタンクに少量の水を入れてフタをし、振り洗いして水を捨てましょう。
本体に残っている水を捨て、柔らかい布で全体を拭きます。気になる汚れは古い歯ブラシなどでこすって落としましょう。
汚れがひどいときは、クエン酸水をタンクに注ぎ入れ、1時間程度運転させます。その後、クエン酸水を捨てて全体を水でもう一度洗うと汚れがきれいに落ちます。
- 4位 ハイブリッド式
気化式にヒーターをプラスし、フィルターに温かい空気を当てて空気を放出するのがハイブリッド式の加湿器です。また、超音波式にヒーターをプラスしたタイプもあります。値段が高いことが多いのですが、その分抗菌作用が施されているモデルが多いので、安心して使える加湿器だといえるでしょう。
お手入れ方法タンクの水は週に1度交換します。交換時にタンクに少量の水を入れてフタをし、振り洗いして水を捨てましょう。吸気口カバーも週に1度外してフィルターを水洗いし、完全に乾かしてからセットします。
ハイブリッド式は加湿気化フィルターやトレーのお手入れが必要です。お手入れサインが点灯してお手入れ時期を教えてくれるタイプもありますので、サインが点灯したらすぐにお手入れをしましょう。フィルターは外して水ですすぎながら洗います。
トレーは水洗いして、フロート周りは細めの綿棒などで汚れを落とします。洗った後すぐに加湿器を使う場合は、濡れたまま取り付けて問題ありません。
3.加湿器を清潔に保つ方法
超音波式や気化式はこまめに、そして汚れにくいとされるスチーム式やハイブリッド式も、定期的なお手入れをして加湿器を清潔に保つことが必要です。
気化式・スチーム式の加湿器に使えるお手入れグッズのひとつがクエン酸です。加湿器にはどうしても水垢がついてしまいますが、これはアルカリ性の汚れです。
水垢を効果的に落とすには、酸性の性質を持つクエン酸を使うのがおすすめ。
クエン酸を水に溶かして約5%のクエン酸水を作ります。クエン酸水でこすったり浸け置きをしたりすると、簡単に水垢の汚れを落とすことができます。

一方、超音波式・ハイブリッド式の加湿器は、クエン酸でお手入れすると超音波を発生させる素子の傷み・劣化の原因となる可能性があります。お使いの加湿器の取扱説明書を確認いただき、指定の方法でお手入れすることをおすすめします。
また、シーズンオフの保管方法も大切です。詳しくは次の項目をご覧ください。
4.シーズンオフになったら

シーズンオフになり加湿器をしまうときが来たら、分解できるところは外し、すべてのパーツを洗ってお手入れをします。本体も柔らかい布で拭き、外側の汚れは中性洗剤を溶かした水を含ませた雑巾で拭き取っておきましょう。フィルターは陰干しして乾かします。
しばらく組み立てずに置いておき、しっかりと全体を乾燥させてから元通りに組み立てて、次のシーズンが来るまでしまっておきましょう。
水分が残っているとカビが生える原因になりますので注意して下さい。
5.まとめ
冬場は欠かせない存在となりつつある加湿器ですが、加湿器の種類によっては雑菌が繁殖しやすく、こまめなお手入れが必要です。特に超音波式の加湿器は水に含まれているものを全部粒子にして飛ばすため、毎日必ずタンクの水を交換して雑菌の繁殖を防ぐことが大切です。
また、高い価格帯の加湿器は抗菌機能が付いていることが多く、お手入れの頻度が少なくて済みます。加湿器を購入する際は、お手入れのことまで考えて何を買うかを決めることをおすすめします。
正しく使えば、風邪予防にもなる便利アイテムですのでぜひ活用してください。